2025.11.01

CARS

これぞ日本の誇り!「センチュリー・クーペ」が目指すのは鳳凰が降臨する平和な世界!?【ジャパン・モビリティ・ショー2025】

鳳凰をかがけた日本の誇り! センチュリー・クーペが登場!

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トヨタ・グループが占めたJMS(ジャパン・モビリティ・ショー)2025の国際展示場・南館における最大の注目車が、新たなセンチュリーのクーペ・モデルだとしても異論はないだろう。

なんと全長約5メートルのクーペ・クロスオーバー


2年前、JMS2023に登場したSUVタイプに比べれば、クーペが超高級車のバリエーションとして用意されることの驚きは薄いかもしれないが、クルマそのものの放つオーラははるかに強烈だ。



あわせて、センチュリーを新たにブランド化することも発表。センチュリー「サルーン」と「SUV」に続く新たなラインナップとして市販化が期待されるクーペ・モデル。



しかしそれは、単に海外のプレミアム・ブランドに対抗するだけではなく、トヨタのセンチュリーに対する特別な想いの結晶だ。



まず外観を見ると、片側4灯のヘッドライトや、組子細工を思わせる大きなグリルはSUVにも見られる要素だが、ライトの両端に入る目張りのようなラインや、ボディ同色のグリルは、シャープさを感じさせる。ボンネット上にはスポーティなダクトも備えるが、いっぽうで下まわりにはオフローダーのようなスキッド・パッド風の造形も見られ、スポーツ・クーペというよりはクロスオーバー的な風貌だ。



タイヤは低扁平だがSUV志向の銘柄で、ホイール・ハウスとのクリアランスも小さくない。黒いホイール・アーチやボディの下まわり、リアにも見られるアンダーガードのような造形もオフローダー風だ。24インチというサイズから推測するに、全長は5m程度というところだろう。



ボディの側面を見ると、右側はドアが1枚、左側は前後2枚で、運転席側は前ヒンジだが、助手席側は前後へスライド。





ドアを開いた際には、足元にステップが展開する。フロアの高さや着座位置は、センチュリーの「サルーン」より「SUV」に近い印象だ。あくまでも推測だが、プラットフォームはSUVと共通で、となればパワートレインも同種のものを使用していると思われる。



運転席と助手席の間は、センター・コンソールと天井を結ぶ糸状の光が区切る。これはトヨタのルーツである、織機がモチーフだ。運転席は包まれ感のあるスペースに、リムの上部がないステアリング・ホイールがコックピット感を強めている。



対して助手席側は後席が設けられず、前後のロング・スライドやフル・フラットに近いリクライニングも可能にした、3座レイアウトを採用。「センチュリー・クーペ」は高級感のみならず、特異性も強いクルマに仕立てられている。



そもそもセンチュリーの名は、明治100年やトヨタグループの創始者である豊田佐吉の生誕100年に因むといわれるが、豊田章男会長はプレゼンテーションの中で「次の100年をつくる、という意味に受け止めております」と述べた。そもそも、父である章一郎氏が、トヨタ初の主査となった中村健也氏とともに目指したのは、当時の日本では無理だろうといわれた、世界に通用する最高峰の高級車。その思いは、江戸彫金のエンブレムや西陣織のシートなど、日本の伝統と文化を取り込んだことにも表れている。



その志を受け継ぐ「センチュリー・クーペ」も、手彫りの鳳凰を顔の真ん中に据え、室内は西陣織や輪島の漆塗り、山形・天童木工の本木目といった伝統工芸を随所にあしらった。いちブランドのフラッグシップとして豪華さを追っただけではなく、日本の誇りを体現するクルマづくりへの決意表明と言えるだろう。



また、エンブレムの鳳凰は「世界が平和な時代にのみ姿を見せる伝説の鳥」なのだとか。いまは自動車業界の状況も、世界情勢においても、決して平和なときとは言えないが、次の100年はそうあってほしいとの願いが、この日本車離れした超高級クーペや、センチュリーの独立ブランド化には込められている。



クルマの生きる道を探り、モビリティと社会の未来を模索するトヨタが、次に目指すのは世界平和。それを日本から世界へ発信していこうという意志こそ、章男会長がネクスト・センチュリーに託した一番のジャパン・プライドなのかもしれない。

文・写真=関 耕一郎 写真=望月浩彦/トヨタ

◆ジャパン・モビリティ・ショー2025の最新情報はこちら!

(ENGINE Webオリジナル)

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