メルセデスAMGのハイパフォーマンスサルーン「AMG GT 4ドアクーペ」。現行モデルの最後を飾る限定車「ファイナルエディション」が登場。ENGINE編集部のアサイシがリポートする。
クルマ界のダーク・ヒーロー見参
「こりゃまたワルそうなクルマだ……」
集合場所に現れたAMG GT 4ドアクーペ・ファイナルエディションを目の当たりにした時、思わず口からこぼれた。

ボディ全体を包むマットブラック塗装。そして各所に奢られたカーボンパーツの数々が、まるでバットモービルのようなダーク・ヒーローの雰囲気を漂わせ、近寄りがたいオーラを醸し出している。
もし、このクルマが高速道路で後ろから迫ってきたら、問答無用で道を譲る。そんな畏怖にも似た感情が、AMG GT 4ドアクーペ・ファイナルエディションの第一印象だった。
さて、このAMG GT 4ドアクーペ・ファイナルエディション、”ファイナル”と言うだけあって、多くの特別装備が奢られている。
初見で圧倒されたマット塗装は「MANUFAKTURグラファイトグレーマグノ」と呼ばれるオプション色。ここにカーボン・エクステリア・パッケージと、エンブレムなどがブラック・クローム仕上げとなるAMGナイトパッケージIIが組み合わされる。
足元に目を向ければ、力強い2×7スポークが印象的な21インチ鍛造アルミホイールも黒く染められており、その徹底ぶりに息をのむ。

そしてスポークの隙間からチラリと覗くのはAMGイエローキャリパーで、闇夜の曇天に浮かぶバットシグナルのように、ダーキッシュなこのクルマにおけるひとつのアクセントになっている。
インテリアではカーボンを使用したAMGパフォーマンスステアリングや、フルレザー仕様のAMGパフォーマンスシートが目を引く。
実際にコクピットに身体を納めてみると、ちょっとやそっとの前後左右Gでは、びくともしないくらい身体をがっちりとホールドしてくれる。その座り心地はスーパーカーに近いものがあり、このクルマが実用的な4ドアクーペあることを微塵も感じさせず、「これからどう楽しく走ってやろうか」と否が応でも気分が高まる。

また、ダッシュボードやセンター・コンソールにもカーボン・パーツがふんだんに使用されており、実際ここまでやる必要があるのだろうか、と素に戻りそうな場面もあったが、せっかくの“ファイナルエディション”に、そんなツッコミは野暮。
この徹底したダーク・ヒーローのような雰囲気が、AMG GT 4ドアクーペ・ファイナルエディションの持ち味なのだ。