2025.11.19

CARS

“バットモービルの如き”オーラと存在感!AMG GT 4ドアクーペ「ファイナルエディション」専用装備と走りの実力に迫る

メルセデスAMGが誇るハイパフォーマンス4ドアサルーン「AMG GT 4ドアクーペ」、その最終限定車に乗った。

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巧みな“変身”に唸る

AMG GT 4ドアクーペ・ファイナルエディションには3リッター直6エンジンを搭載する「53」と、4リッターV8エンジンを搭載する「63」が用意される。今回試乗したのは前者だ。

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「53」では3リッター直6ツインターボエンジンを搭載、最高出力435ps、最大トルク520Nmを発揮する。

パワートレインはエンジンの他にISG(モーター)を組み合わせるMHEVで、両者の協調は完璧。アクセルワークに対して自在に速度を変えながらも、決して車内にはその存在を主張せず、ひたすら黒子に徹しており、そのワルそうな見た目からは想像できないほどにジェントルな走りを見せる。

あくまでメルセデスの本流は「フラット&コンフォート」であるということをしみじみと感じさせる、快適な4ドアクーペの姿がそこにはあったのだ。

しかしながら、ひとたび走行モードを「スポーツ」「スポーツ+」に変更すれば、巧妙に隠された鋭利な爪が顔をのぞかせ始める。

まず感じたのは足回りの変化だ。それまで大型船のようなゆったりとした乗り心地を提供していたサスペンションは、一本芯が通ったかのようにシャキッとし、ロードインフォメーションを克明にドライバーに伝えてくれる。

ほぼ無音だった車内にも、ボーーと低く唸るエキゾーストの音が混ざり始め、否が応でも心拍数が高まる。目の前に現れたストレートに合わせて、待ってましたとばかりにアクセルを踏みぬけば、刹那のダウンシフトの後、身体がグッとシートに押し付けられ、直6エンジンの淀みない快音とともに一気に加速していく。

迫るコーナーに向けてブレーキを踏みつつ、パドルシフトでシフトダウンすればパパパンッ!と乾いた音が響く。脳内ではドーパミン全開だ。

4ドアでありながら、スポーツカー顔負けのパフォーマンスを誇る。

ハンドリングも非常に軽快で、このクルマが全長5m越えのボディであることなど忘却の彼方。正直、公道の速度域では限界値が全く見えず、本領を発揮するにはサーキットへ行く必要があるだろう。

ひとつだけ欲を言えば、上位グレードでV8を選択できるだけに、直6エンジンのサウンドは「もうちょっとドラマがあれば……」と思う場面もあった。直6は粒がそろい過ぎていてどこか優等生なのだ。V8エンジンの多重奏のような野性味溢れるサウンドならば、公道の速度域でもより充足感を得られるはずだ。

とはいえ、普段は4ドアクーペとしての利便性や快適性を享受しつつ、ひとたび鞭を入れれば立派なスポーツカーへと変身。この巧みな変身こそAMG GT 4ドアクーペの持つ大きなアイデンティティだろう。

なによりこのバットモービルのような圧倒的な存在感は唯一無二だ。何者も寄せ付けないオーラを纏ったAMG GT 4ドアクーペ・ファイナルエディションは、「53」が限定30台、「63」にいたっては限定5台だという。この快速サルーンの集大成を手に入れたければ迷っているヒマはなさそうだ。

文=浅石祐介(ENGINE編集部) 写真=篠原晃一

■メルセデスAMG GT 53 4MATIC+(ISG) Final Edition
駆動方式   フロント縦置きエンジン+電気モーター4WD
全長×全幅×全高   5050×1955×1440mm
ホイールベース          2950mm
車両重量       2080kg
エンジン形式       直列6気筒+ターボ+モーター
総排気量       2996cc
エンジン最高出力       435ps/6100rpm
エンジン最大トルク    520Nm/1800-5800rpm
電気モーター最高出力   16kW
電気モーター最大トルク  250Nm
トランスミッション      電子制御9速AT
サスペンション(前)4リンク/エア
サスペンション(後)マルチリンク/エア
ブレーキ       (前後)通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後)          275/35R21/315/30R21
車両本体価格(税込み)   2550万円

(ENGINE Webオリジナル)

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