ベントレーが、新型「スーパー・スポーツ」を発表した。コンチネンタルGTをベースにした市販モデルとしては初の後輪駆動を採用した、2シーターのアグレッシブなモデルだ。
4度目の登場となるベントレーの“スーパー・スポーツ”とは?
ボディには、ルーフをはじめカーボン素材を多用。フロント・バンパーは、市販ベントレー最大のスプリッターを一体化。左右両端には2段のダイブ・プレーン(カナード)を設置し、ブレーキとエンジンを冷却する経路を新設計している。専用グリルは、アルミをレーザー・カットした軽量メッシュを採用した。ドア・ミラーとエンジン・カバーもカーボンだ。

前輪の後方に配置したB字型フェンダー・ブレードは、前輪アーチから空気を排出し整流。その下には、専用形状のサイド・シルが備わる。リア・バンパーには、後輪アーチからの通気口と新型ディフューザーが組み込まれ、トランク・リッド上のスポイラーは固定式とされた。

ダウンフォースは「コンチネンタルGTスピード」より300kg以上アップし、54:46の前後重量配分は、速度が上がるにつれ後輪寄りへと移っていく。エグゾースト・システムはチタンを使用し、アクラポヴィッチと共同開発した。

パワートレインは、新開発という4リットルV8ツイン・ターボ。ハイブリッドではないピュア内燃エンジンで、最高出力/最大トルクは666ps/800Nmを発生する。これにクラッチを強化し、専用の変速プログラムを採用したZF製8段デュアルクラッチ式自動MTを組み合わせ、電子制御LSDを介して後輪のみを駆動する。「コンチネンタルGT」より500kg程度軽い、2tを切る車両重量もあって、0-100km/h加速は3.7秒、最高速度は310km/hをマークする。

シャシーは、リア・トレッドをコンチネンタルGTより16mm拡大し、エア・スプリングと、新型のツイン・チャンバー式のダンパー、48V電動アンチロール制御を搭載。ブレーキはディスクがカーボンSiC素材で、自動車用では世界最大という前440mm/後410mm、キャリパーは前10ポット/後4ポットだ。
ホイールは、ポルシェのチューニングでも知られるマンタイ・レーシングと共同開発した22インチで、タイヤはピレリPゼロを標準装着。新アイテムのトロフェオRSを選べば、コーナリング・スピードは「GTスピード」の約3割増しとなり、横加速度は最大3Gに達するという。



キャビンはリア・シートをカーボン・タブに置き換え、後席周りの遮音材削減や前席専用オーディオの採用、運転支援システムの一部削除など重量軽減を徹底。軽量な11ウェイ電動スポーツ・シートは、通常の「コンチネンタルGT」などより低く設置される。ダッシュボードからドアへ続くパネルはカーボンだ。
生産台数は500台で、センター・コンソールにはシリアル・ナンバー入りエンブレムが取り付けられる。受注は2026年月に開始される予定で、日本での販売については調整中だという。

“スーパー・スポーツ”の名は、1925年に初登場。3リットルをベースに18台が生産され、短く軽いシャシーと強化したエンジンにより、はじめて100mph(約161km/h)を超えたベントレーとなった。その後、2009年と2017年に「コンチネンタルGT」ベースで開発され、今回は4度目の設定となる。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)