2025.12.01

CARS

新技術のテスト・ケースか? 少数限定の生産車“フュー・オフ”モデルは「ランボルギーニ」の未来予想図だ

ランボルギーニの極少数生産車ばかり集めたオーナーとは?

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一車種あたり百数十台規模ではじまったが、いまや年販1万台規模を生産するランボルギーニ。そのいっぽうで、この20年ほどは“フュー・オフ”と呼ばれる、ごく少数の生産車もたびたび発表してきた。

はじまりは18年前のレヴェントン


その流れのはじまりとなったのが、2007年の「レヴェントン」だ。



「ムルシエラゴ」をベースに21台が製造され、ステルス戦闘機のF-22をモチーフにしたというエクステリアは、次期フラッグシップの「アヴェンタドール」を示唆するものだった。2年後には、ロードスターが15台登場している。



これに続くのが、2010年の「セスト・エレメント」。第6の元素を意味する車名は、ランボルギーニが力を入れるようになっていたカーボン素材の主要素である炭素の原子番号に由来する。



「ガヤルド」のコンポーネンツにカーボン・パーツを数多く組み合わせ、999kgの超軽量に仕上げたショー・モデルだったが、反響が大きく、サーキット専用車ながら20台が販売された。



2013年には、3台限定の「ヴェネーノ」が登場。「アヴェンタドール」をベースに、レーシング・カーのノウハウを活かした空力デザインや、ランボルギーニが特許を持つカーボン素材を導入した。同年末には、9台限定のロードスターも追加。その技術要素は、のちに「アヴェンタドール」の“SV”や“J”に採り入れられた。



2016年に発表されたフュー・オフ・モデルは、創業者フェルッチオ・ランボルギーニの生誕100年を記念し、100周年を意味する「センテナリオ」と名付けられた。クーペとロードスターが各20台生産され、ベースはこれも「アヴェンタドール」だが、ポイントはブランド初採用の後輪操舵システム。これは翌年には「アヴェンタドール」の改良版である「アヴェンタドールS」に、“LRS”の名称で搭載された。



2019年の「シアン」は、ブランド初の市販ハイブリッド・モデル。「アヴェンタドールSVJ」のV12をベースに、エンジンの最高出力を785psに引き上げ、34psのモーターとスーパー・キャパシタを組み合わせた。生産台数は、クーペの“FKP37”が63台、ロードスターが19台だ。



このパワートレインは、2021年公開の「カウンタックLPI800-4」に継承される。「カウンタックLP500」のデビュー50周年を記念し、元祖カウンタックの開発プロジェクト名となった、縦置きリア・ミッドで1番目の12気筒を意味する“LP112”にちなみ、112台が生産された。



なお、LPIのIは“イブリダ”、すなわちハイブリッドを示す。

次世代モデルに採用するデザインや技術のショー・ケースとして、これまで6モデルが世に送り出されたフュー・オフのランボルギーニ。今後も折に触れ登場するであろうそれらも、サンタアガタの未来予想図として、見るものを楽しませてくれるはずだ。



なお今回、一堂に会した6台は、スイスの愛好家であるアルバート・スピースのコレクションだ。彼は1979年に「カウンタックLP400S」を入手して以来、数多の猛牛たちをガレージに収めてきたという。



彼のような顧客がいてこそ、フュー・オフというビジネスが成立しているのだと思うと、嫉妬よりむしろ感謝を覚えるところだ。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

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