日産とNMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社)は、2025年12月16日に、NISMOブランドを通じて、モータースポーツ・カスタマイズ・レストアを強化し、日産ブランド全体の価値向上を目指す新たな取り組みを発表した。
日産ならではのDNAを受け継ぐ伝統的なモデルを通じてブランド価値を高めるNISMO
日産は、経営再建計画Re:Nissanの商品戦略において、日産のDNAを体現するアイコニックなモデル(スカイラインやフェアレディZなど)を「ハートビートモデル」と定義している。

NMCは、これら日産の伝統を継承するモデルを通じて、Emotion(感性・感情)とExcitement(興奮・感動・刺激)を創出することにより、NISMOブランドの価値向上に取り組むとともに、日産ブランドを強化することを目指している。
具体的な取り組みは、「モータースポーツ」、「カスタマイズ」、「ヘリテージ・レストア」の3つだ。
第2世代のGT-R(R32/R33/R34)以外のレストアも始まる!?新たなNISMOの3つの取り組み
NISMOは、「モータースポーツ事業」、「カスタマイズ事業」、「ヘリテージ・レストア事業」の3つを通じてNISMOおよび日産ブランドの価値を高める方針だ。

【モータースポーツ事業】
モータースポーツ事業では、「Road to track,track to road」を掲げ、スーパーGTやフォーミュラEといったトップカテゴリーのレースで培った技術・精神をNISMOモデルを中心に市販車へフィードバックする。また、スーパー耐久シリーズや新たなレースカテゴリにおいても挑戦を続け、次世代スポーツモデルへ展開する予定だ。

【カスタマイズ事業】
より多くのユーザーにEmotion&Excitementを届けるため、NISMOロードカーシリーズ(いわゆる「NISMO」グレード)を拡充する。
現在、NISMOのロードカーは、グローバルで5車種(フェアレディZ/エクストレイル/アリア/オーラ/GT-R)展開されている。今後はラインアップを倍増させ、仕向地も拡大する方針だ。NISMOは、ロードカーシリーズを含め、現在年間10万台規模の出荷台数を2028年には約1.5倍にすることを目指す。
それに伴い、現在約40%の海外販売比率は約60%まで増加させ、新たな付加価値の創造のために、カスタマイズ事業の拡大において、外部パートナーとの積極的なコラボレーションを検討していく。

また、NISMOのロードカー拡充の新たな取り組みのひとつとして、プロトタイプモデルを製作し、その車両を次年度以降のレース活動に実践投入させて市販化を目指す。モータースポーツ事業とカスタマイズ事業を密接に推進することにより、双方がもたらす技術的な進化に加え、人財交流なども行なうことによりレースカーおよびロードカーの開発シーンにおけるハード・ソフトの両面でレベルアップを図る。

【ヘリテージ・レストア事業】
世界の自動車レストア市場は、現在グローバルで約5000億円、2032年には1.2兆円規模に成長すると予想されている。
NMCは、ユーザーの期待に応えるため、現在展開している第2世代GT-R(R32〜R34型)を中心としたレストア、レストモッド事業、パーツ販売事業の対象車種および対象地域を拡大する。
NMCの社長兼CEOである真田裕氏は、「NISMOは、日産車のワクワク感と革新性を一層高めています。今後は、日産の他の商品ラインアップにもそのスタイルとワクワク感を注入していきます」と述べた。
NMCは「NISMOの伝統の継承によるブランド価値の向上」と「Emotion×Excitementの創出」を使命とし、モータースポーツへの継続的な取り組み、カスタマイズ事業の拡充、ヘリテージ・レストア事業の拡大を通じて、日産およびNISMOファンに新たな感動を届け続ける。

日本国内をはじめ、海外市場において、日本の90年代頃のスポーツカー(第2世代GT-Rなど)の人気は高まっている。しかし、時間の経過とともに、パーツの入手が難しくなっているというのが実情だ。この課題に着目したNISMOの取り組みは、旧車オーナーにとっては朗報といえるだろう。
さらに、往年の名車のパーツ販売および対象モデルの拡大をする計画となっているため、今後日産の旧車スポーツカーの人気がさらに高まりそうだ。
文=齊藤優太(ENGINE編集部)
(ENGINE Webオリジナル)