2025.12.30

CARS

海外でバスを乗り間違える!? ヤフオク7万円シトロエンの救世主に会えるのか?【東欧リトアニアでの珍道中】シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#70

リトアニアの首都、ヴィルニュス空港に到着した直後に撮影した1枚。偶然撮っていたプジョー208を用いたカーシェアリング・サービス、Bolt(ボルト)の専用車両だ。まさかこのサービスをいきなり使うことになるとは……。

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豪華貸し切りの二階建て列車でカウナスへ


ヴィルニュス駅に改札はなく、各ホームへの通路はいったん地下へ降りて、そこから登り階段で繋いでいる構造で、どの階段を上がればいいのか分からず、また迷う。間違えて隣のホームで駅員を見つけて尋ね、なんとかカウナス行きの白地に赤いストライプの入りの、ウルトラマンのような電車の前にやって来たのは出発時刻の3分前だった。

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事前に日本からネット経由で座席予約をしていたのだが、どの車室もガラガラだ。ホームにいた女性の客室乗務員にiPhoneにダウンロードしておいたチケットを見せると、先頭車両へと案内された。



列車内に入り、階段を上がると、なんと誰もおらず貸し切り。よほどのハイ・シーズンでもない限り、ほぼ混むことはないらしい。ここで僕はようやく、ひと息ついて汗をぬぐうことができたのだった。

多少出発が遅れたりするのでは、という事前の予想も覆し、電車はきっかり定刻通りにヴィルニュス駅を出発。



ヴィルニュス駅のほど近くには、ソビエト連邦時代の古い機関車が置かれているような、寂れた操車場もあった。



けれど、それを過ぎると車窓から見えるのは、初夏の欧州らしい真っ青な空と、緑の草原ぐらいだ。ときどき現れる、ほんとうに小さな誰も降りないような駅を、いくつか通り過ぎていく。



こうして無事、ヴィルニュスを出てから約1時間半をかけてカウナスに辿り着いたのは、午後1時30分ごろだった。



あまりにも小さく旧い建物の横で電車が止まったので え? こんなに田舎なの? と思ったのだが、少し歩いて行くと近代的で立派な駅舎があった。



ところでカウナスは、リトアニアを訪れる多くの日本人旅行客の目的地の1つでもある。東洋のシンドラーとも呼ばれた、“命のビザ”の発給で知られる杉浦知畝(すぎはらちうね)の博物館があるのだ。

駅舎の壁面には、日本語の立派なモニュメントも飾られていた。でも、僕が降り立ったこの日は、東洋人らしきひとはほかに誰もいなかった。



駅舎を抜けると、右手に小さなロータリーがあり、白く真新しいルノー・エスパスが駐まっていた。

そして僕の姿を見るなり、車内から笑顔をたたえた人たちが降りてきた。

「ウェルカム、リトアニア、ウェルカム、カウナス!」



そういって僕に手を差し伸べてくれたのは、世界でただ一カ所、ハイドローリック・シトロエンのアキレス腱である、サスペンション・アッパーマウントのリビルドを行っている工房の代表、エラストマーEU(Elastomer.EU)のイルマンタス・ガリニス(Irmantas Galinis)さんだった。

次回は彼の案内で、日本のいくつもの専門店をはじめ、世界各地から再生されたアッパーマウントを求めて連絡があるという、ハイドロ・シトロエンの救世主、エラストマーEU内に(おそらく世界で初めて)潜入する。

■CITROEN XANTIA V-SX
シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2024年5月時点までの支払い総額は309万6773円)
導入時期 2021年6月
走行距離 18万6761km(購入時15万8970km)

文と写真=上田純一郎(ENGINE編集部)

(ENGINE WEBオリジナル)

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中国の保安検査は大丈夫なの? ヤフオク7万円シトロエンの部品を手荷物でリトアニアへ! シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#69

◆過去の連載一覧
エンジン編集部員がヤフオクで買ったシトロエン・エグザンティアの長期リポート!

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