2026.01.01

LIFESTYLE

紅白で髙石あかりが涙した理由 朝ドラ『ばけばけ』主題歌を歌うハンバート ハンバートとは

2025年にデビュー25年目を迎えた佐野遊穂と佐藤良成の夫婦によるハンバート ハンバート。

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2025年のNHK紅白歌合戦で初出演を果たしたハンバート ハンバート。NHK朝ドラ『ばけばけ』の主題歌を歌い終えたその余韻は、ヒロイン役の髙石あかりの涙を誘った。フォーク、カントリーに根ざした芳醇で凛とした歌の世界、それこそが、ハンバート ハンバートの音楽だ。

『笑ったり転んだり』日常に寄り添う歌を紡ぐ夫婦デュオ

小泉セツ(小泉節子)と八雲(ラフカディオ・ハーン)夫妻をモデルにしたNHK連続テレビ小説『ばけばけ』。主人公・松野トキ役の髙石あかりの好演も話題を集めているこのドラマの主題歌『笑ったり転んだり』が世代を超えた広がりを見せている。

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〈毎日難儀なことばかり〉というフレーズからはじまるこの曲を手がけているのは、ハンバート ハンバート。佐野遊穂と佐藤良成の夫婦によるデュオだ。

〈日に日に世界が悪くなる/気のせいかそうじゃない〉に象徴されるように、『笑ったり転んだり』は『ばけばけ』の物語に寄り添いつつも、今の社会の状況ともしっかりとつながっている。創作ソースは、セツが遺した『思い出の記』。作詞・作曲を手がけた佐藤は、八雲と過ごした日々を記した文章を何度も読んだうえで、「ふっと浮かんできたものを書きました」という。

「セツさんが考えていたであろうこと、私が今思っていることが自然と結びついたのが『笑ったり転んだり』なんだと思います」(佐藤)

「今、私たちが感じていることをすごく上手に形にできた曲だなって。レコーディングは良成と一緒に歌ったんですが、最後にちょっと笑顔になれるように意識していました」(佐野)

2025年にデビュー25年目を迎えたハンバート ハンバート。カントリー、フォークなどをルーツにした音楽性、生楽器の響きを活かしたサウンド、平凡な日常のなかにあるかけがえなのない思いを描いた歌詞によって、少しずつ音楽ファンの支持を広げてきた。

’25年の秋には、初の公式ベストアルバム『ハンバート入門』を発表。『ぼくのお日さま』(映画『ぼくのお日さま』主題歌)、『トンネル』(映画『大きな家』主題歌)などが収められた本作には、トレンドや時代に流されない、豊かで普遍的な歌がたっぷりと詰まっている。

「日常のなかで感じることもたくさんあるし、あとは戦争だったり政治だったり。みなさんと同じように、日々を生きているなかで思うことは、自ずと曲のなかに現れていると思います」(佐藤)

「歌でメッセージを伝えたいという気持ちはあまりなくて。私がいちばん近いなと思うのは、手紙を括りつけた風船を飛ばす感じなんです。読まれるかもしれないし、読まれないかもしれないけど、自分のなかで思ってしまったことがあったから、それを手紙にして飛ばしてみようと」(佐野)

’25年の大みそかには、NHK紅白歌合戦に初出演。どこまでも自然体、のんびりと柔らかいようでいて、じつは凛とした姿勢もしっかり感じるハンバートの音楽は、ここからさらに多くの人々の日常を照らすことになるだろう。



▲1998年に結成された、佐野遊穂(ボーカル/ハーモニカなど)、佐藤良成(ボーカル/ギター/フィドルなど)によるデュオ。2人ともがメインボーカルを担当し、フォーク、カントリーなどをルーツにした楽曲、人生の機微、日常のなかで生まれるかけがえのない感情を描いた歌詞によって、音楽ファンの支持を得ている。代表曲に『おなじ話』『恋の顛末』『虎』『君の味方』など。2025年11月に初の公式ベストアルバム『ハンバート入門』をリリース。2026年1月から全国ツアー「歌ったり喋ったり」を開催。

文=森 朋之(音楽ライター)

(ENGINE2026年2・3月号)

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