2026.02.14

LIFESTYLE

鎌倉の古い木造平屋を生かして、4つの「かまくら」をつないだ 家族二世帯が暮らす、アートのような家

モダンに整えられた母屋を、増築した四隅のドーム状の構造物が支えている。

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自然を感じながら家族が暮す家

母屋の玄関の扉を開けると、中は向こうのガラス窓まで見える巨大なホールのような空間。荒々しい表情をしたかまくらの一部が、屋内に入り込んでいる姿は非現実的だ。かまくらは、それぞれが父の部屋、母の部屋、海老塚・桝永夫婦の子の部屋、客の部屋といった塩梅。ホール中央には特注の長いダイニングテーブルが置かれ、家族はそれぞれの洞窟のような個室から出てきて、テーブルを囲むのである。それを照らす天井から吊るされた照明は、彼らがデザインしたもの。他にも部屋のあちこちに彼らが手掛けた家具や照明が置かれ、長く使ってきた家具と合わさり独特の雰囲気になっている。

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母屋の内部はホールのような大空間に、4つのかまくらが接している。古家の柱が残り、見上げると梁も見える。

ところが、天井を見上げると梁が見え、ホール内には古い木の柱が何本も残っている。ここが古い木造の家だったことを思い出した。大きく庭に開いた窓からは、山の木々が見える。都会から離れた、自然の中にこの家は建っているのだ。家の仕上げもいたってシンプルで、世間に溢れる高気密高断熱の家とはとは対極の、四季の移ろいがダイレクトに感じられる家である。「夏になってかまくらの中が暑かったら、ホールの床に寝ればいいのですから」と海老塚さん。暑さ寒さなど、この家で暮らし始めたらきっと些細なことかもしれない。森の中で創作活動をしながら、毎晩のように家族と楽しく食卓を囲む生活。以前の日本ではいたるところにあったのに、今では本当に貴重である。これから始まる彼らの暮らしを想像し、とても豊かな気持ちになった。





ちなみにこの家には、日本神話に登場する土や陶芸、大地を司る神の名にちなんで、「ハニヤスの家」と名前が付けられている。「ここ数年に登場した住宅の中で、最も刺激的なもののひとつ」と評する識者もいるほど魅力的だ。AATISMOが作り上げたこの家は、長く語り継がれる神話を生み出す予感がした。




■人気連載「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」の記事一覧を見る!

■AATISMO(アアティズモ)

建築家・デザイナーである海老塚啓太(右)、工業デザイナーの中森大樹(左)、建築家の桝永絵理子の3人によるデザインチーム。2015年より3人で活動開始。アートとテクノロジー、原初と未来、そして野生の思考と科学的思考の融合を目指し、建築・デザイン・アートなど分野を横断した視点が大きな個性となっている。

AATISMO(アアティスモ)の3人のメンバー。左から、中森大樹さん、枡永絵理子さん、海老塚啓太さん。

文・写真=ジョー スズキ(デザイン・プロデューサー)



■最高にお洒落なルームツアー「東京上手」がYouTubeチャンネルで楽しめる!

雑誌『エンジン』の大人気企画「マイカー&マイハウス」の取材・コーディネートを担当しているデザイン・プロデューサーのジョースズキさんのYouTubeチャンネル「東京上手」がご覧いただけます。建築、インテリア、アートをはじめ、地方の工房や名跡、刺激的な新しい施設や展覧会など、ライフスタイルを豊にする新感覚の映像リポート。素敵な音楽と美しい映像で見るちょっとプレミアムなルームツアーは必見の価値あり。ぜひチャンネル登録を!

(ENGINE Webオリジナル)

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