いよいよ「メルセデス・ベンツVLE」が登場した。
ショート&ロング版のボディと2種類のパワートレイン
リムジン並みの乗り心地と、ミニバンの万能性を謳う高級MPVだ。

“グランド・リムジン”とも呼ばれる豪華さと快適性を追求した「VLE」は、フレキシブルなモジュラー設計のバン・エレクトリック・アーキテクチャー(VEA)がベース。車体サイズは5309×1999×1943mm、ホイールベースは3342mmだが、全長5484mm/ホイールベース3517mmのロング版も追って登場する。

フロント周りは、スリー・ポインテッド・スターを象った新世代のデジタル・ライトと、グリルとボンネットのパワー・ドームが目を引く。3バリエーションが用意され、“スタンダード”は黒いグリルにボンネット・マスコット、“AMGライン”はグレーのドット付きグリルにボンネット・バッジとAMG仕様のバンパー、“エクスクルーシブ”はマット・シルバーと黒ドットのグリルにボンネット・マスコットをそれぞれ装備。“AMGライン”と“エクスクルーシブ”のグリルは、フレームが発光する。

横方向から眺めると、弧を描くサイド・ウインドウとオーバーハングの短さが目を引く。ブリスター・フェンダー風のプレス・ラインや大きめのホイールアーチも特徴的で、ホイールサイズは19〜22インチを設定。ドア・ハンドルは、フラッシュサーフェスに収まる格納式だ。

リアは、縦長のテールライトとハイ・マウント・ストップ・ライトが連続した、光のアーチが印象的。このライトはスポイラー形状となっており、Cd=0.25という優れた空力性能にも寄与する。バック・ドアは、大面積のリア・ウインドウが開閉可能なガラス・ハッチとなっている。

インテリアは、オプションのスーパー・スクリーンを選択すると、ダッシュボードの横幅を3面のディスプレイがほぼ占める。その両側に設置された送風口が、アンビエント・ライトと合わせて光を放つのもユニークなギミックだ。

シート・レイアウトは5座から8座までを設定し、後席2列は手動と電動の独立2座と3座ベンチのほか、2座の豪華仕様を加えた5タイプが用意される。グランド・コンフォート・シートと呼ばれるこれは、クッションを追加し、折りたたみテーブルやドリンク・ホルダー、ワイヤレス充電器に、マッサージ機能付きランバー・サポートやふくらはぎのサポートも備わる。

Bピラー付近から3列目の頭上までを覆うのが、スカイ・ビューと呼ばれる大面積のガラス・ルーフで、その開口部の周囲にはアンビエント・ライトを内蔵。オプションのMBUXリア・スペース・エクスペリエンスに含まれる、31.3インチで8K画質の後席用パノラミック・ディスプレイは、スカイ・ビュー前縁部から前席頭上へ引き込むかたちで収納できる。
800万画素カメラを備え、Meetingsアプリを併用することでビデオ会議などにも利用可能だ。こちらもオプションのブルメスター3Dサラウンド・サウンド・システムは22スピーカーで、ドルビー・アトモス対応だ。

パワートレインは2種類。まず投入される“VLE 300”は、276psの1モーターで、航続距離は700km以上。続くのは2モーターで408ps以上の“VLE 400 4マティック”で、これは0-100km/h加速が6.5秒というハイ・パフォーマンス仕様だ。これらは115kWhのNMCバッテリーを搭載するが、来年には80kWhのLFPバッテリーを積む2モデルが追加される予定だ。
SiCインバーターを使用する高性能な電気系を採用し、エネルギー効率は93%を誇る。4WDモデルはこのセグメントでは初採用のディスコネクト・ユニットにより、リア・モーターを必要に応じて駆動する。また800Vシステムの採用で、急速充電は300kWまで対応。最短15分で355km相当の電力をチャージできる。オプションのDCコンバーターを選択すれば、400V急速充電ステーションも使用可能だ。

シャシーには、40mmの車高調整が可能なエア・サスペンションを装備。オプション設定の後輪操舵は、低速域では前輪と逆位相に転舵し、回転円を10.9mへ2m縮小できる。いっぽう、60km/h以上では同位相操舵で、素早いレーン・チェンジの際などにも安定した挙動を実現する。

レクサスが「LM」を発売し、未来のサルーンの提案として6輪ミニバンの「LSコンセプト」を発表するなど、昨今3ボックスに縛られない高級車がトレンドになりつつある。そんな中で誕生した「VLE」は、商用バンから派生したワゴン・モデルという「Vクラス」のイメージを払拭する、新時代のメルセデスと言えそうだ。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)