エレトレやエメヤといった新世代のEVモデルを発売したロータス。 だがこの日の試乗会で用意されていたのは、ブランドの歴史を受け継ぐ、内燃エンジンモデルのエミーラだった。エンジン編集長のナガノがリポートする。
エミーラ、3モデルの比較試乗会に参加
筆者がエンジン編集部に配属された20年ほど前、ほんの短い時間ではあったが、人生ではじめてロータスを運転した。そのクルマは確かエリーゼだったと記憶しているが、まるで床に座ったまま足を前に投げ出すような独特のドライビング・ポジションに戸惑い、こんなスパルタンなクルマではとても普段乗りはできない、と考えたことを今でも覚えている。

そんなエリーゼの系譜を継ぐロータス・エミーラ、3モデルの比較試乗会に参加しに、横浜・みなとみらいまで出かけてきた。最初に運転したのは、メルセデスAMG製2.0リッター直4ターボを搭載したエミーラ・ファーストエディション(FE)だ。

最高出力365ps、最大トルク430Nmを発生するシリーズのエントリー・モデルだが、かつてのロータスのように太いサイドシルを苦労してまたぐ必要もなく、すんなりと運転席に収まることができる。

そして街中を走ってみると、低回転からトルクが立ち上がり、8段DCTの変速も滑らか。俊敏な身のこなしでありながら、信号の多い市街地でもストレスを感じさせない。20年前の体験とはまったく違う、これぞ“エヴリデイ・スポーツ”と呼びたくなるようなモデルに快哉を送りたくなった。

次に乗ったエミーラV6ファーストエディション(MT)はもう少しハードルが高かった。身長170cmの自分には、シートを前に出してもペダルが少し遠く感じられ、しかも重く感じられた。ストップ&ゴーを繰り返す街中ではさすがに疲れたが、交通量の少ない道路に入ると、背後から響いてくるV6サウンドを耳にしながら、昔ながらのスポーツカーを操るような感覚があって楽しい。

そして試乗会の掉尾を飾ったのが、1台目と同じ直4ターボを搭載するターボSEだ。FEに比べて最高出力は406psまで引き上げられ、足回りも多少引き締められている感じがする。それでいて街中を走る時の快適性はそのままだ。
2017年に中国のジーリー傘下に入ったロータスは、新たな方向に向かっている。その象徴が、エレトレやエメヤといった新世代のEVモデルである。一方で、最後の内燃エンジンモデルとされるエミーラは、軽量スポーツカーメーカーとして進化してきたロータスのひとつの到達点だ。世界のクルマ業界が大変革を遂げようとしている今の時代だからこそ、その真価を確かめる意味があるのかもしれない。
文=永野正雄(ENGINE編集部) 写真=ロータス
(ENGINE2026年5月号)