2026.04.14

CARS

ウェッジシェイプのまるでスーパーカーのようなブリティッシュ・サルーン、その名はラゴンダ!【オートモビルカウンシル2026】

このウェッジシェイプのまるでスーパーカーのようなサルーンとは!?

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2026年4月10日〜12日までの期間中、幕張メッセで開催されたオートモビルカウンシル2026。その会場入口そばには、ふくよかで艶めかしいラインの主催者展示のピニンファリーナの名車にも負けず劣らずの、異様な迫力のあるシャープなデザインのメタリック・グリーンの1台も置かれていた。

これでツーリングやイベントにも参加しています!

滋賀県甲賀市のGARAGE 88(ガラージュ・オッタントット)が出展したのは1963年型のアバルト850TCと、1989年型のアストン・マーティン・ラゴンダである。かたやフィアット600ベースの愛らしい1台。こなた巨大かつ幅広なラゴンダ。来場者の脚を止めるのには十分なインパクトがあった。



なにせ全長約5.3m、全幅約1.8m、車両重量2トン超と今の目で見てもかなり大きな4ドア・サルーンである上に、このいかにも1970年代を感じされるウェッジ・シェイプの見事なスタイリングを纏っているのだ。



ラゴンダは1974年から1990年まで生産され、スタイリングを手がけたのはウイリアム・タウンズ。ルーツ、ローバーを経てアストンへとやって来た彼は、1台のみが造られたガルウイングのミドシップ・アストン、ブルドッグの産みの親でもある。

出展車情報によればこのラゴンダはシリーズ4。最終型であり、当時はバブルということでラゴンダは日本にも正規導入がされたが、高価でマーケットにおける需要もけして多くはなく、何台も乗り続けているようなほんとうの好事家もいたけれど、たまに出てくるユーズドの販売車両は、たいてい不動だったりコンディションを崩しているものが多かった。



それまでのシリーズ3までに比べて若干角が取れ、リトラクタブル・ヘッドライトは失ったものの、シリーズ4は角目6灯のフロント・ライトや上下二段式からシンプルに横一列となったテール・ランプの配置など、よりシンプルで上品な近代化が施されている。



フロントに搭載されているのはアストン・マーティンV8由来の5.3リットル・ユニット。5段MT仕様もあったようだが、主にクライスラー製の3段ATを介して後輪を駆動するのはこのスタイルになってから変わっていない。



それにしても、これほど綺麗なラゴンダを見るのは初めてだ。メータナセルとダッシュボードは張り替え済みとのことで、さらに1DINサイズのオーディオは近代的なものへと換装されてはいるが、それ以外はオリジナルの美しい状態を保っている。足元をと見れば、ミシュランのパイロット・スポーツ4を履いていた。



ブラックのパイピングが施されたホワイトのレザー・シートに、わずかに運転席座面の前方に使用感はあるし、美しいウッド・パネルに細かなヒビも見えるが、ブラウンを基調とする特徴的な2スポークのステアリング・ホイールや、ドア・トリム下部やフロアのカーペット、乗降時にどうしても傷つきやすいサイドシル部もほとんど新品のようだ。



後席上部のルーフはガラスとなっており、引き出し式のサン・シェードも備わっている。サルーンとしてはかなり全高が低く、またドアの開口角度もさほど広くはない。当日は来場者が実際に後席を試しているシーンにも遭遇したのだが、そうとうに乗り降りには気を遣うのがよく分かった。ラゴンダの主人として、ジェントルに振る舞うのはなかなか修業が必要そうである。

メーターの表示は今の目で見ると非常にシンプルなデジタル式で、回転計はデジタルのバー・グラフ式、速度計も同じくバー・グラフと3桁の数字で構築されている。なお1976年登場のシリーズ2までは赤色表示式で、これは市販車としては初の採用だった。日本車がこのようなデジタル式のメーターを採用したのは1980年代に入ってからのトヨタ・ソアラ以降であることを考えれば、なかなかに先進の1台だったかが分かるだろう。

ラゴンダの総生産台数はわずか645台。そのうちシリーズ4は105台が造られたとされている。現車は車体番号から最終生産に近い個体ということも判明している。4ドア・サルーンのアストン・マーティンといえば、この後ラピードや、ラゴンダ・タラフが登場しているが、現在はSUVのDBXがそのポジションを担っており、純粋な後継モデルは存在しない。

出展者であるGARAGE 88の田中ヒロヤさんによれば「けっこう普通にツーリングに行ったり、ラリー・イベントにも参加しています。インテリアのスイッチは、フィルム4枚の4層構造になっていて、カーボン・プリントで配線が施されているんですが、そういったあたりもスペシャリストにすべて修復を依頼し、直しました」とのこと。



オートモビルカウンシル2026会場で掲げられたプライスは3480万円である。このコンディションと唯一無二の存在感には、魅了される人もいることだろう。

文と写真=上田純一郎 写真=浅石祐介

(ENGINE Webオリジナル)

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