2026年4月10日から12日までの3日間に、千葉・幕張メッセで開催されていたト「オートモビルカウンシル」にて、ヨタのGRブランドは「GRヘリテージパーツ」を大々的にアピールした。
2019年からスタート
2023年の東京オートサロンにおいて豊田章男社長(当時)の発言「クルマ好きを誰も置いていかない」という言葉を実現するための、ひとつのアプローチがこの「GRヘリテージパーツ」なのだが、そのスタートはそれよりも前の2019年から始まっている。
古いクルマを維持に不可欠
古いクルマを維持するにはパーツの確保が非常に重要になる。流用の効くようなパーツであれば、それらを使えばどうにかなることもあるが、なかには流用の効かないパーツもたくさんある。そうしたパーツの供給には自動車メーカーや部品サプライヤーの協力が必要だ。
「GRヘリテージパーツ」はまずは車検に合格させるためのパーツを充実させようということで、灯火類のパーツから手をつけたという。ターンシグナルランプなどはかなり充実しているとのことだ。車種的にはトヨタ2000GT、AE86レビン&トレノ、70スープラ、80スープラ、ランドクルーザー(40、60、70、80)となっている。
左ハンドル用を反転
今回展示されたパーツのなかで、筆者の目を引いたのが80スープラのインパネ。80スープラのインパネはコクピットのような包まれ感のあるデザインでかなり大きい。インパネなどは金型を使って樹脂を成形する方式で作られるので、型さえ残っていれば簡単に再生可能だが今回の場合、型もなかった。型がなくても新品のインパネが残っていればそこから型を作れるが新品のインパネはなかった。しかし、左ハンドル用の新品インパネはあった。そこで左ハンドル用インパネを反転して3Dプリンターで検証用のパーツを作ったというのだ。
とはいえ、作っては直し作っては直しの間違い探しでかなり時間を要したとのこと。実際にどれくらいの月日が掛かったのかは教えてもらえなかったが、筆者の「3年くらいですか?」との問いに「そこまでは掛からなかった」との回答だったので、察していただきたい。
縦でも横でも使える工夫
「GRヘリテージパーツ」として用意されているもののなかにはAE86に採用された4A-GE型エンジンのシリンダーブロックもある。4A-GE型はAE86だけでなく、その後のFF車に横置きで搭載されている。シリンダーブロックの基本設計は縦置き、横置きともに同じだが、搭載方法に違いがある。
新たに製作したシリンダーブロックはAE86の縦置き専用ではなく後発のFF車などにも対応し共通部品として供給できるよう最適化されている。40年も前の設計だけに、今の技術や材料をもってすれば性能アップは可能だが、あえて必要以上の改良は行わずに必要最低限の改良にとどめているという。そこにはヘリテージパーツは補修部品であってチューニングパーツではないという考えがあるからだという。
販売状況については「それなりに頑張っている」とのこと。今流行のパーツを売っているわけではなく、長く乗っているクルマに対して販売するものなので、ヘリテージパーツも時間をかけて売れていくもので、「どれくらい売れたか私が見届けることもできないかもしれません」と担当説明員は語った。
「GRヘリテージパーツ」のなかにはパーツそのものだけでなく、実際に作業する際に役に立つ修理書や配線図も含まれている。トヨタがどうだったかはよく覚えてないが、かつてはこうした解説書はディーラーや整備工場でしか手に入らず、ユーザーがクルマをイジるのは苦労したものだった。また、ヘリテージパーツではないがカタログも復刻されており、中古でもクルマを買った人が新車時のカタログを入手できるのはユーザーにとってはうれしい限りだろう。

文・写真=諸星陽一 編集=新井一樹
(ENGINE WEBオリジナル)