ミラノ・デザイン・ウィークにて、伊ピニンファリーナがデザインを手掛けたJASモータースポーツによる初のハイ・パフォーマンス・ロードカー「Tensei(転生)」の発表会が催された。
インテリアもピニンファリーナの手が加わり、右ハンドルもある!
初代「ホンダNSX」をベースとする「Tensei」は、オリジナル・モデルのDNAの現代的な解釈だとピニンファリーナは語る。

それは単なる再解釈に留まらない。「Tensei」は日本語の“転生”に由来しており、オリジナルのNSXのスピリットに忠実でありながら、より現代的で、よりアグレッシブかつ主張が強いものとなっている。

ピニンファリーナがスタイリングを担当し、JASモータースポーツがエンジニアリングを手掛ける「Tensei」は、伊ミラノ近郊のアルルーノにあるJASモータースポーツのアトリエで、極めて限定的なシリーズとして生産される。特別なビスポーク・カスタマイズについては、ピニンファリーナも伊トリノ・カンビアーノのアトリエで協力することになるという。

ベースとなるのは厳選された1990年代の初頭モデルで、再構築され、完全に新しいカーボン・ファイバー製のボディを採用し、左ハンドルと右ハンドルの両方が生産される。

「Tensei」の詳細は、ミラノで開催された「カー・デザイン・ダイアログ(Car Design Dialogues)」において、ピニンファリーナのCEOパオロ・デラチャにより発表された。エクステリア・デザイン責任者のディミトリ・ヴィチェドミニと、エクステリア・チーフ・デザイナーのティグラン・ララヤンも出席。「Tensei」の背景にあるデザイン・ストーリーを語り、1/5サイズのスケール・モデルを公開している。

ピニンファリーナにとっても「Tensei」はある意味、縁の深いモデルである。

ディミトリ・ヴィチェドミニはJASが、ピニンファリーナがホンダと歴史的に深い繋がりのあるパートナーであったことからコラボレーションを決めたと語った。40年以上前の1984年、ピニンファリーナはすでにミドシップ・レイアウトのコンセプト「ホンダHP-X」を手がけていたというヒストリーがあったからだ。いわば「ホンダHP-X」と「Tensei」は連作というべき関係性となったのである。

開発の初期からピニンファリーナのデザイン・チームは、オリジナルの初代「ホンダNSX」のどの要素を進化させ、どの要素をそのまま残すべきかを模索したという。
そこで彼らがJASモータースポーツを訪れると、エンジニアリング・チームからは、車両のパッケージングやレイアウトの大幅な変更に対して柔軟であることが伝えられた。

初代「ホンダNSX」と比較し「Tensei」は、より長いホイールベース、より短いリア・オーバーハング、より大きなホイール、より低いスタンス、そして大幅に広いトレッドなど、大胆にパッケージングを改良している。これらの変更が「Tensei」の存在感を大きく増すことに繋がった、とティグラン・ララヤンはいう。
張り出したリアのショルダーとフレア・フェンダーにより幅広さが強調され、オリジナルの親しみを感じさせながらも、紛れもなく新しい、単なるレストモッドではないモダン・スーパーカーとして仕上がった。

そのいっぽうで「Tensei」はリトラクタブルのヘッドライトや、長方形のサイド・エア・インテーク、テール・ライトのグラフィックに統合されているリア・ウィングなど、初代「ホンダNSX」の最も特徴的な部分をしっかりと残し、再解釈している。

具体的な資料は公開されていないが、これまで触れられていなかったインテリアについてもピニンファリーナが手を加えることもアナウンスされた。わずかに確認できる画像からは、シートやドアの内張などがデュオ・トーン仕上げとなっていたり、シートの中央にストライプが入っているのが見て取れる。人間工学的にも、また視認性も優れたオリジナルのレイアウトを出発点とし、ドライバー・オリエンテッドなものとなっている、という。

新しいカーボン・ファイバー・ボディの中央、乗員の背後には、オリジナルの「初代NSX」と同様に、自然吸気のV6エンジンを搭載。最高レベルのパワー、トルク、レスポンスを実現すべくJASモータースポーツによって開発され、6段のマニュアル・トランスミッションと組み合わされる。
先日の東京オートサロンやオートモビルカウンシルでも展示された同じくイタリアのカロッツェリア、イタルデザインによる2代目「ホンダNSX」ベースのトリビュート・モデルはホンダ公認だったが、ピニンファリーナによる「Tensei」についてはそうした話は今のところ出ていないようだ。

はたして「Tensei」も上陸することはあるのか? イタルデザインとピニンファリーナによる2つの世代の2つのNSXが並ぶ日は来るのか? イタル版はおよそ1.8億円と発表されたが、ピニン版はいったいいくらになるのか? さらなる情報の公開が待ち遠しい。
文=上田純一郎 写真=ピニンファリーナ
(ENGINE Webオリジナル)