2026.06.24

CARS

【おじいさん&おばあさんから受け継いだ素敵なご縁】日産「プレセア」へ情熱を注ぐ理由とは?【ながのノスタルジックカーフェスティバル2026】

こんな美しい日産のセダンがあったのを憶えていますか?

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長野県長野市にあるエムウェーブで催された、ながのノスタルジックカーフェスティバル2026。古い日産の車たちが並ぶ一角に、今見ると、とてもナローかつクリーンなスタイルの美しいセダンが並んでいた。クルマ自体の綺麗さはもちろんだが、それ以上に注目したのは、とても手の込んだこの「プレセア」にまつわるディスプレイだ。オーナーのすたんざさんに話を聞いてみた。

祖父との思い出と、別のおじいさん&おばあさんとの出会い


こんなに流麗なセダンだったっけ? と、つい口に出てしまった。グリルレスのマスク、細く美しいピラー。サッシュレスのドア。スリークで、背も低く、現代の目で見るとかなり小さなセダンなのだが、存在感がしっかりとある。当時はなぜこの綺麗さに気づかなかったんだろうか。美しいトパーズ・ゴールドの外装色ともあいまってか「プレセア」のスタイリングは、まったく色褪せていない。



1991年型というからすでに35年前のクルマだが、車体は今も見事に光り輝いている。ボディ同系色という凝ったカラーのホイール・キャップも、当時のままだ。しかも車内には「プレセア」に関する当時の書籍やカタログがたくさん並んでいた。



そして、何よりも気になったのは、わざわざ日産ヘリテージ・コレクションの、公式のものを模したという、クルマの前のオーナー手作りの車両解説プレートだ。



その横には、ここまでの経歴が記されたもう1つのプレートもあった。「プレセア」への愛が、もう溢れ出ている感じである。



中間グレードの“1800Ct.II”となるこの「プレセア」の若きオーナーの名は『すたんざ』さん。ニックネームだけでも日産車への愛がじゅうぶん感じられる(笑)。なおエンブレムの下の、“日産サニー松本(現在は日産サティオ松本)”のステッカーは当時のものを模した自作のレプリカだそうだ。

現在彼はこの「プレセア」と、3代目「シルフィ」の2台持ちだそうだ。ちなみに「シルフィ」のほうもラディアント・レッドという、6色用意されていたカラー・ラインナップの中で、もっともレアだった外装色なのだとか。



なにゆえここまで「プレセア」に情熱を注いでいるんですか? と話を伺ってみたところ、実は長野在住だったすたんざさんの祖父もまた、この「プレセア」のオーナーだったという。しかもいまの彼の愛車とまったく同じトパーズ・ゴールドの“1800Ct.II”で、1990年から2007年までの17年所有し、幼い頃に長野に行くと、たびたびその「プレセア」に乗せてもらっていた。

三つ子の魂なんとやら、で、すたんざさんはすっかり「プレセア」や日産車に魅了されてしまった。免許取得後、自分のはじめての愛車として「プレセア」を手に入れたいと、なんと10年近くもずっと探し続けていたそうである。

そうして見つけたのが4年ほど前。同じ長野県の、ただし安曇野市で販売されていたのが、今回イベント会場にやって来たもう1台のこの「プレセア」である。オプションのリア・スポイラーなどまでまさに双子のように瓜二つで、彼は現車も見ずに即購入を決意した。



しかもこちらの「プレセア」も、80代になるおばあさんが30年以上乗られていたそうだ(名義は旦那さんだったとか)。そこで購入後にお手紙を出したところ、丁寧なお返事をもらうなど、接点もできた。しかもすたんざさんは実際に前オーナー夫妻のところへ里帰りもし、「プレセア」の元気な様子を見せることもできたという! いやはや、なんていい話なんだ!!

すたんざさんは、僕のことをまるで本当の孫のように接して頂けたんです、と笑顔を見せた。



すたんざさんは「プレセア」の発売から35周年を迎えた2025年、内外装のレストレーションを決意。新規登録からも35年という2026年にかけての、まさに節目の大がかりなリフレッシュとなった。その作業は事細かく、ボディの再塗装はもちろん、ロアー・バンパーやサイドシルのつや消し黒のリペイント、そして前述のホイール・カバーなども当時の新車時の仕様に合わせ、シャンパン・ゴールドに塗り直したそうだ。

ちなみにこのカバー、当時はちゃんと外装色のトパーズ・ゴールドの色合いにマッチするよう用意されていた、とても凝ったものだったそうだが、さすがに欠品になっていた。でも、いつか「プレセア」を手に入れた時に、と、実は購入より7年も前に入手していたというから恐れ入る。

走行距離は7万kmを越えた後、外装に続き足まわりもアップデート。ゴム部品を中心に、スプリングを除く新品入手が可能なパーツをすべて一新。アライメントも取り直した。





祖父のプレセアに付いていた、純正のハーフ・タイプの懐かしいレースのシート・カバーも入手し装着。佇まいがとてもいいのは、そうした丁寧な作業と、彼の熱意の積み重ねがあったからこそ、なのだろう。

「プレセアってスペイン語で宝石だとか、かけがえのないもの、という意味があるんですが、そのプレセアの “P” の文字をかたどって、宝石のようなお洒落なテイストに仕上げられた、前後のオーナメントもお気に入りポイントの1つです。あとはこのマリーン・ブルーのメーターのバックライトだとか……」

イベント最終日、会場で見事に“絶滅危惧種賞”に選ばれたすたんざさんの「プレセア」。



「候補は3、4台あったそうです。“語弊があったら申し訳ないがレストアのベース車にあえてこのクルマを選び、並々ならぬ愛を持って接している点が光っていました”、とご講評頂きました(笑)」

なお長野へ里帰りのついでに、祖父と前オーナー夫妻のところへも、顔を出す予定だという。



クルマとひとを繋ぐ縁はいろいろな形があるけれど、2台の同じクルマのオーナーの思いをしっかりと受け継いだ、こんな理想的かつ素敵なストーリーはなかなかない、と僕は思う。

文と写真=上田純一郎 写真協力=すたんざさん

(ENGINE Webオリジナル)

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