2026.05.13

CARS

“バック・トゥ・ザ・フューチャー”の“ヘビー”じゃない劇中車仕様!! 内外装ボロボロの「DMC-12デロリアン」の不動車を見事に再生!【ながのノスタルジックカーフェスティバル2026】

あのバック・トゥ・ザ・フューチャーの「デロリアン」を長野のノスタルジックカーフェスティバル2026で発見!

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五月晴れに恵まれた2026年5月2、3日、長野県長野市にあるエムウェーブで催された、ながのノスタルジックカーフェスティバル2026。昨年は6kmほど離れた多目的スポーツアリーナのビッグハットで催されたが、やっぱり広いスペースと外周路がありパレード走行もできるエムウェーブがいい! という常連の参加者や来場者からの要望に応え、改修工事を終えた本拠地へと会場を戻して実施された。21回目という歴史あるイベントにはじめて訪れた本誌ウエダの独断と偏見で選んだクルマ&オーナーたちを紹介しよう。

長い列の先には……タイムマシーンがいた!


5月2日午前9時。ゴールデンウィークの行楽渋滞を避けるべく5時前には都内を出たのに、すでにながのノスタルジックカーフェスティバル2026会場のエムウェーブ前には、長い車列ができていた。とはいえありがたいことに手慣れたスタッフの誘導でスムーズにクルマはどんどん進んで行く。その先は広い地下駐車場だ。当然まわりは旧いクルマたちだからだけど、日差しがまったくあたらず、しかも会場内へのアクセスは階段を上がるだけ。たいていこの手のイベントでは、来場車両は遠くの駐車場に回されてしまうから、これは本当にありがたい。しかも展示車両は冬はスケートリンクにもなるアリーナ内に並べられるので、天気を気にせず楽しめるのだ。



入口前の来場者の列も長く伸びていたが、会場オープンの10時とともに少し待つだけで入場できた。まずは会場の広さと開放感、そして並ぶクラシック・カーたちの量に圧倒されたが、入場ゲートのすぐ横に展示された輝くガルウィングのクルマに目が釘付けになった。デロリアンだ!



GMの副社長だったJ.Z.デロリアンが自らの名を冠したクルマを造ろうと会社を立ち上げて1981年に世に出たデロリアンは、スタイリングを手がけたのはジョルジェット・ジウジアーロ、エンジニアリングはロータスというまさにドリーム・カーだった。……のだが、品質の問題もあって会社は破綻。ところが1985年に公開された映画“バック・トゥ・ザ・フューチャー(以下BTTF)”の劇中車としてタイムマシーンになったことで、広く知られるようになった1台だ。

いわば時代を超えるイベントなのだから、このクルマがいちばん目立つところにあるのはある意味、ふさわしい。

純正カー・ケア・キットの中身はなんと……


BTTFのデロリアンは、パート1、2、3とストーリーが展開するにつれて様々な改造が進んでいく。それぞれの場面に見合った内外装へと仕立てた完全な劇中車仕様デロリアンや、なんと電気自動車に改造してしまったデロリアンも国内にはいらっしゃるようだが、これはエクステリアに関しては完全にノーマルの状態を保っているようだ。車両に近づいていくと、ちょうどオーナーとおぼしき人がちょうどガルウイングを開けるところだった。



その見た目は、BTTFパート3に登場するクリント・イーストウッドこと主人公マーティのカウボーイ・スタイル! 写真をお願いすると、さっそく笑顔でBTTF3のポスターのスタイルを真似してくれた。

このデロリアンのオーナーである軽バン、軽トラック用リフトアップキット(車検適合品)を主に扱うカスタム・ショップ、フォレストオート代表の戸森彰信さんによれば、所有してから8年になるという。購入時は不動車でかなりのボロボロだった状態から、ここまで仕上げたのだそうだ。外板はステンレスのためさびはなかったが、前後バンパーの塗装はぜんぶ禿げており、1年半ほどかけて修復されたそうだ。



内装に目を向ければ、青いファブリックの表皮は非純正だが張り替え済み。映画内の登場アイテムであるフーバーボード、フラックス・キャパシター(時限転移装置)、ドクことブラウン博士の愛犬アインシュタイン(ぬいぐるみ)、タイム・サーキット、プルトニウム保管ケースなども並んでいる。



こうした品々は基本市販品などで、戸森さんいわく劇中車としては「“ヘビー”ではないライト仕様(笑)」とのこと。



プルトニウム保管ケースの箱は自作。このケースは実はアウトドアで珈琲を飲むためのセットの一部で、お湯を沸かすガスをプルトニウムに見立てているという。



機関系に関しては、自身でヘッド回りをオーバーホール済み。あまりクーラーが効かないこともあってコンプレッサーの駆動ベルトのみ外されていたが、それ以外はノーマルの状態を保っている。

「これは完全に趣味の1台です。僕自身もまさにスーパーカー世代なので(笑)。デロリアンは部品が潤沢なんですよ。イギリスとアメリカに。サイトにアクセスしてパーツ・リストを開いて、欲しい数を入れて、ポチっと押せば手に入る。フェンダーやボンネットもまだ新品で入手できます。ただし送料は高いんですが」



すでに6万5000マイルを走行しているというから、10万kmを越えている車両だが、エンジン修復後はよく同じPRVユニット(のターボ版)のアルピーヌV6ターボでは問題になる熱害もなく、むしろオーバークール気味なのだとか。



「デロリアンって、ステンレス外装なので板金が基本できないんですね。そのため凹んだところはデントリペアで修復ししたのですが、最初はできないって断られたんですよ。でも、その難しさが逆に職人魂に火を付けてしまったみたいでなんとか直してもらえました。あと、トランク内に置いていますが純正のカー・ケア・キットもあるんです。でも、これが中身はクレンザーとスコッチブライトなんですよ。ステンレスだからって、これじゃキッチンのシンク用じゃん! って(笑)」

これまでの8年を振り返りながら話してくれた、戸森彰信さんのデロリアンを見つめる表情はとても優しかった。

「車体はステンレスなので重そうですが、それでも1250kg。エンジンは130馬力と非力ですが、意外とすいすい走るんですよ」



きっと彼の未来には、間違いなくこのタイムマシーンが一緒に居続けることになるのだろう。

文と写真=上田純一郎

(ENGINE Webオリジナル)
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