2026.10.11

CARS

50年前、アルバイト先の先輩にその存在を教えてもらったアウトビアンキA112アバルト イタリア車愛のすべてはそこから始まった

アウトビアンキA112でアバルトの熱さを知った深町さん。 今は、念願のアルミボディをまとったアバルト、フィアット・アバルト750GTザガート(1959)のほか、アバルトがきっかけで興味を持ったアルファ・ロメオ1300ジュニアZ(1972)やディーノ246GT(1973)などの他ブランドのイタリア車も愛でる。

雲の上の存在

「ハタチぐらいのときの話なので、もう50年近く前の出来事になります。アルバイト先の先輩からクラシック・ミニのようなスタイルを持つアウトビアンキA112アバルトというホットなイタリア車があると聞いたんです。気になってすぐに調べてみました。そこでアバルトというブランドの熱さを知ったんです。さらに掘り下げてみると、独立メーカーだった時代のアバルトにはアルミボディのクルマが存在していたことがわかり、それで、旧いアバルトがイイなぁ、欲しいなぁと思い始めました。というものの、当時の自分にとってアルミボディのアバルトは雲の上の存在でしたね」



往時のことを懐かしそうに話してくれた深町忠生さんは現在68歳。これまでに新旧さまざまなクルマを30台ぐらい所有してきたという生粋の自動車趣味人だ。

20代の頃の深町さんは一旦アバルトの購入をあきらめ、小型かつハイパワーでスポーティな走りを楽しめるトヨタのTE27型を手に入れた。どうやら若い頃から収集癖があったようで、一時期4台を同時所有していたのだという。スプリンタートレノが3台、カローラレビンが1台という内訳だ。

2T-Gエンジンが1万回転まで回るように自身でチューンして乗っていたらしいが、最初の愛車がTA17型カリーナ・ハードトップで、2台目が唯一新車で買ったTE71型スプリンターセダンGTだった深町さんにとって、TE27型は勝手知ったるクルマであった。

カルロ・アバルト夫人に会ったときに書いてもらった直筆サインが入るポスターは宝物。

「アバルトが好きな理由に通じるのですが、小さなクルマで大きなクルマを追いかけ回すのが好きなんです。TA22型セリカや5万円で買ったSA22C型サバンナRX- 7にも乗っていました」

ミドシップスポーツに乗りたくて、AW11型MR2を愛用していたこともあったという。

「国産車で走っていた20代頃に中古のA112アバルトを入手できる機会がありましたが、納車の前日に4トン車に突っ込まれたので売れないとの連絡が入り、泣く泣く断念。ようやくA112アバルトを購入できたのは30歳ぐらいのときです。見事にハマって、トータルで3台乗り継ぎました。もちろん全部中古です」

念願だったA112アバルトを迎え入れたことですっかりサソリの毒が身体に回った深町さんは、アルミボディのアバルトの購入を本気で決意する。そして2019年、ついに初のアルミボディをまとったアバルトとなる現在の愛車、750GTザガートを手に入れるのだ。ただし、実は購入の前に2回ほど好機を逃したことがあったという。

「最初は40年ぐらい前です。750GTザガートの売り物があって、たしか価格が500~600万円だったでしょうか。ただ、我が家の子どもがまだ小さかったこともあり、そのときは買えませんでした」

新旧アバルトで構成されるCLUB ABARTH GIAPPONEに入っており、当クラブのイベントでサーキット走行を楽しむ機会もある。購入時のボディカラーは黄色で、車体上部のセンターに赤いストライプが入っているレーシーな雰囲気だったが、納車2ヶ月後に遭ったリアへの追突事故で鈑金塗装することになり、その際に赤一色に変更した。4年かかって戻ってきた。

2度目の好機は2016年に訪れた。

「横浜のショップに750GTザガートが入庫するというので楽しみにしていたんですよ。当日、ディーノ246GTなどを所有しているクルマ仲間も同席していたんです。その彼から地元の群馬に帰ってくる途中で、アバルトを買うお金があるなら自分のディーノを買ってほしいと言われてしまい、断れなくてディーノを購入することになりました。750GTザガート購入用の軍資金はディーノに行ってしまったのです」

そして3度目の正直で2019年に恋焦がれた750GTザガートを購入する。しかし、自動車の神様は深町さんに微笑まなかった。

「納車されて2ヶ月後に信号待ちをしていたら後続車に突っ込まれてしまい、アルミボディがルーフまで歪む損傷を受けてしまったのです。修復に4年ほどかかりました。その間、アバルトが収まるはずのガレージを見る度に寂しくなったので、2021年にフィアット・アバルト595エッセエッセを買ってしまいました」

4年の歳月を経て、ようやくガレージに収まったアバルトを愛でる日々が現在も続いている。



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