2019.03.20

LIFESTYLE

余分なモノがないからこそ豊かな空間になる! 心が落ち着く気持ちがいいリビングのある家【連載 マイカー&マイハウス】

ミニマルが空間がなんとも気持ちのいいM邸のリビング。

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雑誌『エンジン』の大人気企画「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」。今回は、駐車スペースにおさまる薄いグレーのアウディA5と調和した、見事なまでに余分なモノのないミニマルな空間が素敵な家。デザイン・プロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。【マイカー&マイハウス】過去の連載を読む

シンプルだから豊か

デザイン界には、「レス・イズ・モア」という金言がある。バウハウスの元校長、ミース・ファン・デル・ローエの言葉で、「無駄を極力省くことで、逆に豊かに感じられる」という考え方だ。彼のこの言葉は、20世紀半ばから現代に至るまで、重要なデザイン哲学として、多くの人々に支持されてきた。

ガレージ上のテラス部分は、壁と母屋で支える柱の無い構造。狭い道路に面しているが、2台のクルマを停めることができる。


会社員のMさん(45)たちのお宅は、その良い見本のようである。特に2階のリビングダイニングは、「シンプルな空間が好き」なMさんの好みが反映されたもの。置かれているモノは少ないが、どれもよく吟味されており、魅力を感じるものだ。これがMさんのスタイルである。余分なものを極力排除するのは、クルマに対しても同じこと。現在の愛車であるアウディA5スポーツバック(2012年型)を購入する際、「A5」や「2.0」のバッジは外してもらったそうだ。そもそもA5を選んだのも、シングルフレームのグリルのデザインに魅かれただけでなく、大き目のボディを、ターボの付いた2リットルの小さなエンジンで動かすことに共感を覚えたからだとか。
クルマも部屋も薄いグレー

そんなMさんのA5のボディ・カラーは、グレーの入った白。実は、リビングダイニングの壁と天井も、真っ白ではなくグレーがかった白で塗られている。真っ白にすると部屋が明るくなりすぎてしまうのだ。写真で見ると白に近い壁の色も、色見本で見ると確かにグレーである。そして床のタイルはさらに濃いグレーで、外部のテラスにまで同じ素材が用いられ、広がりが感じられる設計となっている。

ソファは、イタリアはポリフォーム社のボルトン。数か月待ってでも希望の濃いグレーのモデルを選択した結果、色合いが美しいインテリアが完成した。


この部屋を訪れて気付いたのは、写真のように、日差しが作り出す影が印象的なこと。この光景が、時間とともに変わっていくのである。壁の色といい影といい、モノが少ないからこその発見だ。そして、静かで広がりのある空間に身を置いていると、M邸が隣家の迫る住宅街に建っていることを忘れてしまう。だがここは、東京の中でも下町風情が残る雑司が谷。道幅が狭いうえに、隣家との距離もことさら近い。Mさんたちは、馴染みのないこの町に家を建てるにあたり、この地に詳しい建築家に設計を依頼することにした。そして声が掛ったのが、雑司が谷で20年以上も暮らし、建築事務所も構えている河内真菜さんだった。

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