ひとと違うことをよしとするのがフランス流と言われる。日本と正反対で、私はそういうのは好みだ。クルマも1934年のシトロエン7CVと11CV以来、世の主流とは違う道をあえて歩んできている。あえて、と書いたけれど、そこが正しい道と彼らは信じているのだ。実際に7CVはモノコック・シャシーに前輪駆動という世の主流の先駆けとなった。DS7クロスバックもフシギなクルマだ。SUV的なのだが、実際はハッチバックというかステーション・ワゴンというか。前輪駆動だし、室内はかなり豪華だし、私はこれは彼らが考えた現在の上級乗用車のあるべきかたちだと信じていると思う。
実際にカメラの情報で瞬時にダンピングを変化させるサスペンション・システムによる乗り心地はかなりよく、ガソリンとディーゼルいずれもトルキーで、かつ静粛性が高く、500㎞ぐらい走っただけではまったく疲れない。広々とした後席の居心地も最高といいたい。どこまでも走っていけるクルマを、というシトロエンの伝統も含めて、フランス車の魂は健在だ。
10年前には存在すらしていなかったブランドが今、立派に目の前にある。フランスのブランド・コントロールの巧みさに改めて驚かされる。しかもシトロエンの1ラインから独立が決まるや否や、くるっと回るヘッドランプやアナログ時計を筆頭に、フレンチ・プレミアムならではの技を細部にまでちりばめていて、本気でブランドを根付かせるためにはここまで徹底しなければダメなんだということを、多くの日本人に教えてくれる。もちろん見掛け倒しではない。
パワートレインが凝っていないのは、クラシックDSもそうだったから伝統と受け取れるし、なによりもハイドロの生まれ変わりと言いたくなるアクティブスキャン・サスペンションが、僕たちがフレンチ・プレミアムに求める乗り心地を理想に近いかたちで具現化している。いくつかあるモードのうちコンフォートがいちばん心地よいというのがなによりの証拠。パリには何十回も行ったけれど、こういうクルマを見せつけられると一生追いつけないという気持ちになる。
〔読者コメント〕
●おとなのクルマですね。(諸隈 純さん)
●内装と音がよかった。(吉川朋子さん)
●乗り心地は試乗車中で一番です。(羽立泰久さん)
●内装が独特の雰囲気。ゆったり走るのが似合いそう。(安藤研史さん)
●脚のしなやかさは高速巡航ドライブで味わってみたい。(斉藤貴志さん)
●安心感、安定感!!(砂坂比呂美さん)
●落ち着く。(乃美貴代美さん)
●不思議なデザイン。ダサかっこいい! 乗り心地はすばらしい。FFのBMWみたいな感じがしました。(乃美浩一さん)
日本ではDS5以来、久々の新規モデル。プジョー3008&5008の兄弟車で、EMP2と呼ばれるプラットフォームをはじめ、機能面の多くを共有する。点灯時にレンズが180度回転するヘッドライトやダイヤモンド模様を用いた奇抜なデザインのインパネなど、内外装ともDSの名にふさわしいアバンギャルドな仕立てが最大の魅力。全長×全幅×全高=4590×1895×1635㎜。ホイールベース=2730㎜。パワートレインは225ps/30.6kgmの1.6ℓ直4ターボと177ps/40.8kgmの2.0ℓ直4ディーゼル・ターボの2タイプ。取材車はガソリンの上級グレードで価格は542万円。
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写真=神村 聖(メイン)/鈴木 勝(サブ)
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