2019.05.26

CARS

BMW8シリーズからカブリオレ登場。佐藤久美さんがポルトガルで試乗した。

〝6〟から〝8〟へと進化を遂げたBMWの旗艦クーペ。2018年秋に登場したクーペに続き、カブリオレが加わった。エレガントな佇まいを持つ4座オープンの出来映えは如何に?

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成田から2度のトランジットを経て、長旅の末たどり着いたポルトガル・アルガルベ。BMW8シリーズ・カブリオレ国際試乗会のステージだ。朝、ホテルの入り口に並べられた中から試乗したのはM850ixDriveカブリオレ。クルマの中で、簡単にクルマの説明を受ける。クーペと同じアーキテクチャーで、最新のV8とxDriveを搭載し、空気バネではなく金属バネのサスペンションを備え、4輪操舵を装備する。ソフトトップはロールスロイスと同じコンセプトで作られ、クーペ並みの静粛性を確保している、などなど。




そして、さっそくドライブに出かけたが、このホテルはエントランスからゲートまで石畳の長い直線路となっている。つまり、走り出してほんの数秒後に容赦ない路面からの入力を受けるわけだが、すでにここで私は瞬殺された。〝M〟が付くからそれなりにスパルタンな性格と思いきや、ゴトゴトな路面なのに、まったく角のないまぁるい当たりでしなやかな乗り心地なのだ。タイヤは20インチのポテンザS007を装着。Mモデルなのでランフラットではなく、それもマイルドさに貢献している。そして、ボディもブルッともせず、クーペさながらのビシッとした剛性感を保つ。敷地内だからかなりゆっくりのスピードだが、微妙なアクセル操作にも素直に反応し、強大なトルクを持ち合わせるのにそれを誇示するでもなく、扱いやすい。

おそらく、4シーター・カブリオレ乗りは2シーターほどストイックにオープンにこだわらない。つまり、クローズドで走ることも多いのだが、この静粛性にも度肝を抜かれた。ソフトトップ特有の音もない。一方、オープンで100㎞/h走行時でも、ディフレクターを使えば風の巻き込みもないし、パッセンジャー・シートの人と普通に会話ができる。
ワインディングではトップを開けても閉めても気持ち良く走れ、Mらしい凝縮感のあるハンドリングも健在。ドライブモードを〝スポーツ+〟にしても、乗り心地への好印象が覆されることはなく、ますます惚れてしまった。


従来、上質ではあるが色気や遊び心といったものを感じなかったインテリアも、シフトノブにスワロフスキーのクリスタルが使われていたり、ラグジュアリーで居心地が良い。久々に、ホンキで欲しいと思わせるクルマに出会ってしまった。



 文=佐藤久実  写真=ビー・エム・ダブリュー

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