ロンドン郊外のマクラーレン・テクノロジー・センターで、プロダクト・マネージメント責任者のイアン・ディグマン氏がこう切り出した。「お見せするクルマは、マクラーレンの第4のシリーズとなります」
これまでアルティメット、スーパー、スポーツというヒエラルキーを形成してきたマクラーレン。“第4”とは、どこにどう並ぶのか?「スーパーとスポーツの間です。どちらよりもロード・ユース方向に振っています。コンペティション・レベルの走行性能と同時に大陸横断の能力も併せ持っているのです」
車名はずばり“GT”。だが、既存のスポーツ・シリーズの540/570GTとは別物だ。カーボン・ファイバー製シャシー、モノセルⅡ-Tや4ℓV8ターボ・エンジン(620ps仕様)を車体中央に搭載する基本の構成は従来モデルと変わらない。異なるのはこれまでスポーツ・シリーズでは採用されていなかった前後左右相互連関式の油圧ダンパー・システム、PCC(プロアクティブ・シャシー・コントロール)の最新版を装備すること。優れた乗り心地を実現し、車高調整も可能で、アプローチ・アングルも実用的なものにしたという。
場所を移動して実車と対面。既存のシリーズのどれとも似ていない。穏やかでエレガント。流れるような斜め後ろ姿。前150+後420の合計570リットルの荷室容量は深く大きく、ライバルたちを大きく凌ぐ。新境地を切り拓いた“GT”は、マクラーレンを新しいステージに引き上げることになるだろう。
文=金子浩久
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