
綺羅星のごときクルマたちが居並ぶこのランキングにおいて、ND型ロードスターは登場以来、ずっとベスト10圏内をキープし続けている。
票を投じた選者は年齢も性別も個性も豊かで傾向のようなものはないように窺える。言い換えればその存在は括りようもなく、嫌われようもないということだ。「国民の〇〇」という台詞さえ大袈裟には思えない。「日本純血で最も身近なスポーツカー」(河村康彦さん)、「作っているだけで偉い日本の国宝」(小沢コージさん)、「スポーツカー界のイチロー」(西川淳さん)と、その賛辞は何かと自信を失いがちだった平成の日本にあって尊きものだったことを示しているかにみえる。
ロードスターへの賛辞の中心にあるのは、そんな平成の頭からおしまいまで、三十余年にわたる求道的なまでの自己研鑽にあるのだろう。「30年間変わることなく代わるものがない」(藤野太一さん)、「ブレずにロードスター道を極め続ける姿勢は貴重」(島崎七生人さん)、「初代から変わらぬ価値を提供し続けている」(石井昌道さん)と、選者の多くが評するその最たるところは、やはりライトウェイト・オープンというコンセプトだ。
衝突安全や環境基準への対策など、付加物がてんこ盛りな現在のクルマ事情にあって、概ね1tという重量をスポーツカーで実現しようと思えば高価な素材の材料置換や寸法容量の制限などを余儀なくされる。そこをマツダは、デミオやアテンザと同等の基本品質を保持しつつ200万円台の価格から実現しているわけだ。しかも忘れてはならないのは、ロードスターは前後にドライブシャフトが居座るFRレイアウトでもある。どうしてこんな奇跡が叶えられるのか。恐らく僕以上に同業他社が疑問に思っているだろう。
「ライトウェイト・スポーツカーの原点に立ち返った秀逸なスポーツカー」(日下部保雄さん)、「往年のブリティッシュ・ライトウェイト・スポーツの真の継承車」(藤原よしおさん)、「ライトウェイト・スポーツカーの基本」(高平高輝さん)と、称賛されるその軽さを、走りに一家言もつ選考委員たちがどう捉えているかも面白い。「速さでなく運転操作することの面白さ、奥深さを最も大切な価値として作った」(斎藤聡さん)という濃密な対話感や「ハンドリングやオープン・エアを気軽に楽しむモデル」(佐藤久実さん)と人懐っこさに注目する向きもあれば「前後ダブル・ウイッシュボーンを採用しタイロッドは前引き式に拘る」(松田秀士さん)と本格的なメカニズムに注目する向きもある。
幌屋根とRFとでは綺麗に嗜好が分かれているようで、選考委員のコメントにも注目してもらえればと思うが、ともあれ皆々に共通しているのは、敢えて速度的進化を選ばず、誰もが運転を楽しめる世界観を大事にしていることに対する評価だろう。「ストイックなほどシンプルだが贅沢なほど楽しい走り」(生方聡さん)、「ますます理想のハンドリングに近づいた感あり」(飯田裕子さん)と、いわば深化を続けるロードスターに、個人的に抱くのはもはや感謝の気持ちに近い。「これほど素晴らしいクルマは100年に1台出るか出ないか」(清水草一さん)「たぶん日本一つくり手の愛が詰まったクルマ」(今尾直樹さん)は大袈裟でなく本当にそう思う。
■全長×全幅×全高=3915×1735×1235㎜。ホイールベース=2310㎜。車両重量=990㎏。ロードスター"S"のフロントに搭載される1.5ℓユニットは最高出力132ps/7000rpm、最大トルク15.5kgm/4500rpmを発生し、後輪を駆動する。ソフト・トップのほか、リトラクタブル・トップの"RF"もラインナップ。車両価格=255万4200円(S)~
文=渡辺 敏史 写真=茂呂 幸正
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
2026.03.25
CARS
フェラーリ新型、オペラの余韻に現れた「アマルフィ・スパイダー」が日…
2026.03.22
CARS
「服でいうならバラクータとか、バブアーみたいな感じ」日本を代表する…
2026.03.19
CARS
乗り心地の良さに大満足|新時代を告げる「アルファ・ロメオ・ジュニア…
2026.03.20
LIFESTYLE
50年前に建てられたとは思えないモダンなビンテージ住宅 古びること…
2026.03.20
CARS
これぞ「人生のご褒美」の一等賞|アルピーヌ「A110 R70」に試…
2026.03.15
CARS
廃線となった首都高を埋め尽くした空冷ポルシェ!1日限りの『LUFT…
advertisement
2026.03.22
超ワイド&ローのスタイルに昭和育ちは思わず感涙|大井貴之ら3人のモータージャーナリストがアウディ「RS e-トロンGTパフォーマンス」に試乗
2026.03.19
乗り心地の良さに大満足|新時代を告げる「アルファ・ロメオ・ジュニア・イブリダ」に自動車評論家の飯田裕子と竹岡圭、吉田由美が試乗
2026.03.20
50年前に建てられたとは思えないモダンなビンテージ住宅 古びることなく時の経過とともに魅力が増していく建築の素晴らしさとは
2026.03.24
「狂ったか!?」と叫びたいほど速かった|モータージャーナリストの清水草一ら2人がBMW「M5ツーリング」に試乗
2026.03.13
ついに出揃ったトヨタ・ダイハツ共同開発の軽商用BEV!【約314万円〜】「スズキ・eエブリイ」が登場