『ミッドナイト・エクスプレス』や『アルカトラズからの脱出』、『ショーシャンクの空に』など、脱獄を描いた映画の人気作は多い。内容は違えども、過酷な運命に抗い、自由を渇望し続ける主人公の姿に、共鳴する人が多いからだろう。
1973年に作られた『パピヨン』もそのひとつ。フランス人作家、アンリ・シャリエールの回顧録をベースにした大作で、主演のスティーヴ・マックイーンとダスティン・ホフマンのスター・パワーも手伝い、当時、日本でも大ヒットを記録した。
この名作のリメイク版が今回の『パピヨン』である。胸に蝶の入れ墨がある男“パピヨン”が、身に覚えのない殺人の罪を着せられ、南米にある仏領ギアナの刑務所に収監される。輸送中の船で出会ったのは、通貨偽造の罪で終身刑となったドガ。地獄のような環境の中で死を待つしかない2人は、ほかの囚人仲間と共に、不可能とされる脱獄を試みる。
基本的な物語は変わらないだけに、あまりに有名なオリジナルと厳しく比較されるのは、やむを得ないところだろう。だが現代風にテンポよく作りなおされた『パピヨン』は、娯楽作として意外に楽しめるだけでなく、今回起用された主演の2人も、キャラクターに新たな魅力を添えている。
パピヨンに扮した英国出身のチャーリー・ハナムは、生への執着を強烈に滲ませたマックイーンに比べ、より繊細な役作りで、観客の共感を呼び起こす。一方、ドガを演じるのは『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリー役で時の人となったラミ・マレック。ホフマンが体現した人間の脆さ、儚さに加え、パピヨンならずとも庇護したくなるような、より好感の持てるキャラクターに仕上げている。
新生『パピヨン』は、サバイバル・ドラマである以上に、2人の友情関係を前面に強く押し出したことで成功している。だからこそオリジナルにもあった断崖でのラスト・シーンが、あの有名なテーマ曲こそ流れてこないものの、切なく胸に響いてくるのである。
文=永野正雄(ENGINE編集部)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
2025.09.06
CARS
ここはチャンピオンの秘密のガレージ レーシング・ドライバー、山野哲…
2025.09.05
CARS
戻ってきた黄色い86!300台限定のGR86イエローリミテッド発表…
2025.09.05
CARS
未来のTTはちょっとレンジローバー風味? シンプル・デザインへシフ…
PR | 2025.09.02
CARS
ベントレー・ベンテイガ EWB マリナーで九十九里から北総の小江戸…
2025.08.27
CARS
3度目の復活がある!?日産GT-R R35型 最後の1台がラインオ…
2025.08.26
CARS
1万回転に迫る! 新型ランボルギーニ・テメラリオV8ハイブリッドを…
advertisement
2025.09.06
ここはチャンピオンの秘密のガレージ レーシング・ドライバー、山野哲也さんの自宅ガレージを訪ねる
2025.09.01
ポルシェ911とボクスターが2台まとめて退院 気になる修理代はいくら?【エンジン編集部長期リポート 79号車 ポルシェ911カレラ4S(996型)#74】
2025.09.03
トヨタ GRとは?「G's」から「GR」に変わった歴史やGRのコンセプトを解説
2025.08.31
価格は777万円から2000万円台へ 生産終了した日産GT-R、R35型16年の進化を振り返る
2025.09.01
日産の“改善”と“値上げ”が続く!【約3〜5万円のアップ】「ノート/ノート・オーラ」が先進装備を改良し新たにカスタマイズ・モデルも登場