2019.08.18

CARS

すべてが上質 遂にマツダ渾身の自信作、マツダ 3 への試乗が叶った

2018年末のロサンゼルス・ショウで初めてその姿を現してから半年。 マツダ 3 へと車名も新たにしたマツダ最量販車種の販売が日本でも開始され、クローズド・コースながら、市販仕様の試乗がようやく叶った。

2018年のロサンゼルス・ショウで世界初披露して以来、大きな反響を呼んでいるアクセラの後継車、マツダ 3 。クルマ好きの注目度は最近の日本車の中ではスープラには及ばないかもしれないが、その次に高いはず。特徴的なスタイリング、世界初の燃焼技術を用いた次世代エン ジンのスカイアクティブ - X、さら に新しい構造を用いたボディとシャシーなど、マツダ 3 にはクルマ好きの琴線に触れる要素が多数盛り込まれている。しかし、注目されている理由はそれだけではないだろう。近年クルマ造りに真摯に向き合っていたマツダの力作であることがクルマ好きの心に伝わったからだと思う。


そのマツダ渾身の自信作の市販モデルに乗ることが叶った。用意され ていたのは2.0リッターガソリンのセダ ンと1.8リッターディーゼル・ターボを搭載した5ドア・ハッチバックの〝ファストバック〟。どちらも前輪駆動で、変速機は6段AT。残念ながら、注目のスカイアクティブ - Xは用意されていなかったものの、どちらもマツダ 3 の核となるモデルである。 ただし、2.0ℓのガソリンが発売前ということで試乗場所はクローズドで、しかもバンクのある周回路と道幅がクルマ1台分程度しかない低速中心のハンドリング路という特殊な条件だったことを付け加えておく。


室内作りはかなり上質になった。質感の高さではドイツ・プレミアム・ブランドに負けていない 。フロント・シートもマツダ 3 の訴求ポイント。骨盤を固定するだけでなくしっかりと立てて座らせることで、 座った時の体のバランスをより良い状態にさせている。

セダンとは思えない

最初に乗ったのはガソリン仕様のセダン。欧州メーカーはガソリン車に軒並みダウンサイジング・ターボ を用いているが、マツダは未だ自然吸気を継承している。156ps / 20.3kgmを発生するこのエンジンは、過給エンジンのようにドーンとくるトルクの大きな盛り上がりはないものの、低回転から高回転まで力強く、 回転フィールも心地いい。上質な感じのするエンジンだ。また遮音にかなり気を配った効果はてきめんで、ロードノイズを含めてこのクラスとしてはかなり静かだったのも特筆すべき点と言える。サスペンションはしなやかでよく動く。そのため最近のクルマにして はピッチングもロールも大きいものの、挙動はしっかりとコントロールされているため不安はない。そのしなやかな脚を活かして前輪に荷重をしっかり掛けてステアリングを切るとノーズがクッと内側へと入っていく。その動きはセダンとは思えないほど機敏で、曲率の小さなコーナーでもクルンクルンと楽しくなるくらい曲がっていく。その動きに「さすがはマツダ、クルマ好きの気持ちが わかってるじゃん」と思わずニンマリしてしまった。


一方、先代の1.5ℓから1.8ℓへと拡大されたファストバックのディーゼルはというと、出力は116psと控えめなものの、27.5kgmという2.0ℓガソリンを30%以上上回る最大トルクのおかげで一発の力強さはガソリンを大きく上回る。ただ、息の長い加速を見せるガソリンと比べると若干せわしない感じがあるとともに、過給圧が高めなのかアクセレレーターに対する反応も一拍空きがち。スムーズな走りを取るならガソリン、速さ重視の人はディーゼルといったところか。セダンがあれだけ機敏ならファストバックの走りはさぞやと思って乗ったら、ロール方向の動きはセダンと変わらないものの、前後の姿勢変化が少なく、セダンよりもフラットな乗り味を有していた。その分、内側に鋭く切れ込む挙動は薄れ、ひとクラス上のような落ち着いた振る舞いを見せたのだ。


それほど速度は高くないが 、しっかりとロールしているのが写真からもわかる 。ラグジュアリーな感じを求めてセダンを買うと俊敏な動きにちょっと驚くかも 。

今回は試乗コースの設定が特殊だたっため、マツダ 3 の全容を掴むことは叶わなかった。しかし、雑味や粗削りなところがなく、スタイリングや内装同様、走りも上質な仕上がりを持つことは十分確認できた。ホットハッチ系のハードコアなスポーティさはないものの、ドライバーの入力に対してクルマが素直に動いてくれるのはとても好印象だった。早く公道で乗ってみたい。


文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=郡 大二郎


マツダ 3 ファストバックXDプロアクティブ・ツーリング・セレクション


  駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動 全長×全幅×全高 4460×1795×1440㎜ ホイールベース 2725㎜ トレッド 前/後  1570/1580㎜ 車両重量  1410㎏ エンジン形式  直列4気筒DOHC16V直噴ディーゼル・ターボ 総排気量  1756cc ボア×ストローク  79.0×89.6㎜ 最高出力  116ps/4000rpm 最大トルク  27.5kgm/1600-2600rpm 変速機  6段AT サスペンション形式 前/後  ストラット式/トーションビーム式 ブレーキ 前/後  通気冷却式ディスク/ディスク タイヤ 前後  215/45R18 89W 車両価格(税込)  265万3600円

マツダ 3 セダン 20S Lパッケージ


  駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動 全長×全幅×全高 4460×1795×1445㎜ ホイールベース 2725㎜ トレッド 前/後 1570/1580㎜ 車両重量(DIN) 1350㎏ エンジン形式 直列4気筒DOHC16V直噴 総排気量 1997cc ボア×ストローク 83.5×91.2㎜ 最高出力 156ps/6000rpm 最大トルク 20.3kgm/4000rpm 変速機 6段AT サスペンション形式 前/後 ストラット式/トーションビーム式 ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク タイヤ 前後 215/45R18 89WV 車両本体価格(税込) 270万3000円(テスト車:419万400円)

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