メルセデス・ベンツGLEの始祖である初代Mクラスがデビューしたのは1997年。アメリカで急成長するSUV市場に参入するため、メルセデス初の本格SUVとして開発された。車体の骨格は最新SUVでは主流のモノコックではなく、当時市場を席巻していた多くのアメリカンSUV同様、フレームを備え、そのスタイリングはニューヨークの街中でも浮かない程度に泥臭さは薄められていたものの、ちょっと田舎臭さを感じるぼくとつとした意匠だった。
あれから20年。新しいGLEはメルセデスの乗用車系から派生したプラットホームを用いるようになり、スタイリングも見違えるように洗練度を増している。太いCピラーやウインドウの内側に隠れたDピラーに初代の面影を残しているため、パッと見でもMクラスの系譜にあることはすぐに認識できるものの、SUVらしい力強さを盛り込みつつ、上質で街中でも映えるデザイン初代よりもはるかにレベルが上がった。

ただし、デザインの進化とともにボディ・サイズも拡大。初代は全長4.6m、全幅1.84m程度に過ぎなかったのが、今や全長はあと10㎝弱で5mの大台に乗るし、全幅も上級グレードでは2mの壁を超える。さすがにここまで大柄になると、街中では狭い路地裏はもちろんのこと、片側1車線の対面通行でも気を使う。
もちろんGLEの下にGLCが控えているから、使い勝手のいいクルマが欲しい人はそちらをどうぞということなのかもしれないけれど……。ただし取り回しのしやすさでは、後輪操舵を持たないにもかかわらず、GLEとほぼ同サイズで後輪操舵を備えるアウディQ8と変わらなかったことに対しては、“さすがはメルセデス”と感心した。

開口部の大きなフロント・バンパー、ボディ同色になるフェンダー・アーチなどを備えた AMGスタイリング・パッケージもGLE450では標準装備。
スタイリング同様、中身も洗練という言葉が似合う仕上がりだ。基本的なコンセプトは先代から大きく変わっていないが、いろいろな部分がブラッシュアップされている感じ。今回試乗した日本ではトップ・モデルのGLE450でそれを一番体感できるのはエンジンである。
GLE450に搭載されているのはメルセデス最新の3.0ℓ直6。すでにSクラスやCLSに搭載され評判の高い、48V電源を用いたハイブリッドとモーター駆動の電気式スーパーチャージャーとターボという2つの過給器を組み合わせたハイテクてんこ盛りのユニットである。とにかく、この出来映えがすごくいい。
2.4tに届こうかという車体を軽々と加速させるのはもちろんのこと、 優秀なのは中間加速。シフトダウンや過給圧が高まるまでのラグをモーターが埋めてくれるので、アクセレレーターを踏んだ瞬間から加速が始まり、しかも、その加速がよどみなく続く。そこには電気式スーパーチャージャーの反応の早さが加勢していることも忘れてはならない。とにかく躾のいい大排気量自然吸気エンジンを扱っているような感じなのだ。
GLE450をはじめとする上級グレードに装着されるエア・スプリングもまた洗練されたいい働きをする。ダンパーを含め、硬さ調整ができるのだが、“コンフォート・モード”の乗り味は「あれ、これシトロエンだっけ?」というほど、ふんわりとして柔らかい。サルーンも真っ青の快適な乗り心地をもたらしてくれるのだ。
一方、“スポーツ・モード”を選ぶとこれがドイツのプレミアム・ブランドらしいカチッとした乗り味に早変わり。山道でもスイスイ走れるほど剛性感が増す。ダンパーとバネともに可変式なので、可変ダンパーのみのように柔らかい方はまとまりがいいけど硬い方はイマイ チということがなく、柔らかくても硬くてもベストなセッティングにな っている。
インフォテインメントや空調は“ハイ・メルセデス”でお馴染みの音声認識で手を使わずに調整できるし、ウインカーの操作だけで車線変更する最新の運転支援システムも備わるなど、エンジンやサスペンション以外にも新しいGLEにはハイテクが満載。もちろんハイテクだからすべていいとは限らないが、少なくとも新しいGLEではハイテクのおかげでクルマの完成度が高まっているのは間違いない。

ほかの最新のメルセデス同様、2つの大型液晶モニターを用いたインパネを採用。本物の木の色に近い木目の化粧パネルを用いることで、アウトドアを感じさせるSUVらしい仕立てになっている。

3列シート・レイアウトが採用されたのも新型GLEのトピック。ただし、空間もあまり広くなく、座面と床面の高さの差も少ないので、大人向きではない。GLE450のシート表皮にはナッパレザーを用いた本革が奢られる。


文=新井 一樹(ENGINE編集部) 写真=郡 大二郎
メルセデス・ベンツGLE 450 4マチック・スポーツ/MERCEDES-BENZ GLE 450 4MATIC SPORTS
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