2019.11.25

CARS

サソリの毒は永遠に不滅 アバルト70周年記念 #1 ABARTH 695 70th ANNIVERSARY

70周年記念モデルのアバルト695・70周年アニバーサリーは、10月5、6日にミラノで開催された”アバルト・デイズ2019”でお披露目された。

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サソリのマークでお馴染みのイタリア自動車界の名門、アバルトが2019年で70周年を迎えた。アバルト社、正式名称アバルト&C.が興されたのは1949年3月。設立者はカルロ・アバルトである。オートバイとサイドカー・レースに自ら参加するだけでなくマシンの開発も行っていたカルロはその後、4輪の世界へ転向。


チシタリアの開発に携わったのち、トリノにアバルト社を構えたのが始まりだ。以後、数多くのオリジナル・モデルや市販車のカスタマイズ・キットなどを世に送り出したが、経営難から1971年10月にフィアット傘下に入る。さらに1979年10月にカルロがこの世を去った2年後の1981年、フィアット社に統合され、会社自体は消滅。現在はFCAのひとつのブランドとして大きな活躍を見せているのはご存じのとおりだ。


歴代のいいとこ取り

偉大なるアバルトの70周年を祝う記念モデルとして登場したのが、アバルト500シリーズの中でも特別なモデルだけに与えられる695の名を冠したアバルト695・70周年アニバーサリーである。販売台数は世界限定1949台。もちろんこの台数はアバルトの創業年にあやかったものだ。


特徴はエクステリア。淡い緑色のボディ・カラーは1959年にアバルトがチューンを施し、速度記録を樹立した2代目500の外装色からイメージしたものである。ちなみにボディ・カラーはこの緑以外に3色、計4色が用意されるという。さらにそのボディ下部には、欧州のツーリング・カー選手権で活躍した2代目500ベースのレーシング・モデルであるアバルト1000ベルリーナ・コルセを彷彿させるボディとは別色のフェンダー・フレアやサイド・ステップなどを装着。そんな数ある70周年記念モデル特別の外装パーツのなかでも最も見所なのがルーフ・エンドに備わるリア・スポイラーである。


可変式スポイラーは上の写真に写っている状態が12段階で一番立てられた状態となる。外観は歴代の695のなかでも、かなりレーシーな雰囲気を持つ。


12段階の調整式で最大可変角は60度。これは2代目500アバルトの多くがリアのエンジン・ルームに収まり切らないエンジンを避けるためにフードを開けたまま固定して走っていた姿がモチーフになっている。ただし、2代目500では空力的な恩恵を受けていなかったが、70周年記念モデルではスポイラーを最大角まで立てた場合、200㎞/hで42㎏のダウンフォースを生み出すという。さらにスポイラーの裏側には”ABARTH”の文字が刻まれ、後続車にアバルトであることをアピールする。また専用デザインの表皮を持つサベルト製のスポーツ・シートや70周年モデルであることを示す記念プレートなど、内装にも70周年記念モデルならではの特別な演出を施すことを忘れていない。


なお、180ps/23.5kgmを発生する1.4ℓ直4ターボやコニ製のダンパー、ブレンボ製のフロント4ポッド・キャリパーなど機能面に関しては、アバルト595シリーズの最強モデル、コンペティツィオーネに準じている。3㎞ほどの特設コースと30分程度の高速道路を含んだ公道で試乗したが、相変わらず痛快なクルマだった。短いホイールベースを活かした回頭性の良さはいつ乗っても惚れ惚れする。その割には乗り心地も許容範囲に収まるから、十分実用車として使える技量を持つ点も魅力だ。グッと強めにアクセレレーターを踏み込むと1速や2速といった低速ギアだけでなく4速のような高いギアでもトルク・ステアが出るなど荒々しい面もクルマの性格を考えると、操り甲斐があっていいのではと思えてしまうから不思議だ。


なお詳細は決まっていないが、この70周年記念モデルは日本にも導入される予定だという。






文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=FCA、新井一樹(ENGINE編集部)

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