東京モーターショーが華やかな国際格式のそれからドメスティック色の濃いローカルショーへと衰退し始めてから久しい。パリ・サロンもフランクフルト・ショーも同じ道を辿り始めている。ニューヨーク、ロスアンジェルス、デトロイトと分散した北米の場合も例外ではない。スタティックなモーターショーは衰退の一途である。いずれ国際格式のモーターショーは各大陸でひとつという図式になるのだろう。
2019年の東京モーターショーに出展した外国メーカーはたったの3社。メルセデス・ベンツ、ルノー/アルピーヌ、そしてアルピナBMWである。日本でVW並みの全国区プレイヤーになろうとするメルセデス、日産がらみという一面もあるだろうと思われるルノーはともかくとして、年産台数が1700台ほどでしかない少量生産メーカーのアルピナが東京モーターショーに出続けているのは驚きそのものだ。
アルピナの日本総代理店を務めてきたニコル・オートモビルズのニコ・ローレケ社長はこう言う。
「私たちは東京モーターショーに40年間、欠席することなく出続けてきました。それはクルマ好きの皆様に見てもらいたいという本来的な目的もありますが、なによりも、アルピナを愛して支え続けてきてくれたお客様への感謝のしるしでもあるのです」
ドイツのアルピナ本社から駆けつけたアンドレアス・ボーヘンジーペン社長はこう続ける。
「日本はアルピナにとって極めて大切な国です。日本の愛好家はアルピナの本質的な価値を深く理解して支持し続けてくれています。日本はドイツ、アメリカ合衆国に続いて3番目の市場なのです」
これがリップ・サービスなどではないことは、今回のショーがワールド・プレミアとなる新しいBMWアルピナB3リムジンを持ってきてくれたことでも明らかだ。世界初公開である。3.0ℓ直6ツインターボ過給エンジンは462psと71.4kgmを発揮し、4WDの駆動系を使って、最高(巡航)速度じつに303㎞/hを実現している。0-100㎞/h加速は3.8秒、0-200㎞/hは13.4秒でこなす快速サルーンだ。せっかく代表が目の前にいるのだから、このクルマについて訊かない手はないだろう。新型B3はどんなクルマなのか?
「BMWはいいクルマを作ってくれました。新型3シリーズはノーズが長くて美しいシルエットを携えています。そして、極めて高いボディ剛性を持っています。私たちはそこにこれまで以上に出力とトルクを引き上げたエンジンを載せました。国際調和排出ガス・燃費試験方法(WLTP)でのテストに適合したにもかかわらずパワーを引き上げることに成功したのです。より厳しい試験法をクリアするということは、本来それだけでパワー減につながりますが、いい結果が得られたことに自信を持っています」
新型B3はベースとなった340iと同じく4WDシステムを採用しているが、これについても尋ねておくべきだろう。テイスト・グッドの素晴らしく滑らかなステアリング・フィールを削いだりしないのか?
「これだけのパワーを適切に路面に伝えるためには、4WDは有益な解決策のひとつです。機構的にはBMWのものを使っていますが、4WDシステムを司るソフトウェア、電子制御プログラムは私たちのエンジニアがアルピナに相応しいステアリングを実現するために独自に開発したものです。4WDといっても駆動力は基本的に後輪がその大部分を受け取ります。前後のトルク配分を変えるときのレスポンスも素早いものにしてあります。それと、これは大切なことですが、アルピナは日常的に使われるクルマです。欧州では降雪地もありますから彼らは歓迎してくれます。アルピナならではの仕上がりを期待して下さい」
なんとも心強いアピールではないか。
文=齋藤浩之(ENGINE編集部)
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