2020.01.24

CARS

BMW Z4、アウディTTS、アルピーヌA110 800万スポーツカー乗り比べ! 

2019年の面白かったスポーツカー、ミドル級のZ4、TTS、A110に乗ったのは、大井、鎌田、村上のエンジン・レーシング・チ ームのメンバー!走りイロイロ、楽しさもイロイロ!やっぱりスポーツカーは楽しいぞ!!

塩澤 2019年のオモシロかったクルマ、スポーツカー篇です。そろえたのはBMWのZ4、それからアウディTTS、あと、ホントは2019年じゃなくて2018年の終わりに入ってきたんだけど、アルピーヌのA110を持ってきました。


村上 アルピーヌは2019年のクルマと言っていいよ。この1年を通してずっと話題になっていたクルマであることは間違いないから。


塩澤 一応、ことわっておくけど、ここにトヨタのスープラがないのには理由があって、広報車のスケジュールに空きがまったくなかった。仲間はずれにしたわけではありません。


村上 スープラがないのは残念ではあるけど、それだけ人気があるということでしょ。


塩澤 もうひとつ付け加えておくと、今回試乗に参加したのは、パンパカパ~ン♪ いつもマツダ・ロードスターの4時間耐久レースを一緒に戦うエンジン・レーシング・チームの メンバー、大井選手と鎌田選手です。


村上 でも、国沢さんがいないよ。


塩澤 国沢さんにはBMW・X7とジープ・ラングラーの企画を担当してもらっているので大丈夫。スポーツカーは、エンジン・チームの予選アタッカーのふたりに担当してもらいました。


村上 あのね、結果としてこの3台になったわけだけど、これってすごく良かったと思う。というのも、1台はクラシックな後輪駆動の代表選手、1台は前輪駆動ベースの4輪駆動でいちばん普通のクルマをスポーツカーに仕立てるとこうなるという見本、そしてもう1台はいまをときめくミドシップの超軽量スポーツカー。それぞれ全然違う特徴があって、オモシロかった。


BMW Z4 M40i

新型3シリーズと同じく、新世代BMWのデザインが採用されたZ4の室内。水平基調の配置とドライバー側に向けられたインパネは、ひと目見てBMWとわかる。レザーのスポーツ・シートはM40iの標準装備。かけ心地、ホールド性とも申し分ない。3台の なかではZ4が一番クッションに厚みがあった。Z4のポイントはなんと言っても屋根が 開くオープンカーだということ。幌は運転中でも50km/h以下であれば開閉できる。開閉時間はたったの10秒だ。ちなみに幌はトランクリッドに収納されるのでオープン時もトランク容量は変わらない。ロング・ノーズ、ショート・デッキの古典的なスタイルは、これはこれでカッコいい。
3シリーズの340iにも搭載されている3l直列6気筒エンジンのデキが素晴らしくいい。ちなみにZ4は340psだが、車重の重い340iは370psとチューニングが異なる。直6をフロント・ミドに搭載しようとするとどうしてもロング・ノーズになるが、新型はノーズが少し短くなり、運転席も若干だが前方に移動した。タイヤはミシュランのパイロット・スーパースポーツを履く。

大井 3台とも目指している方向が違うってことがよくわかったね。


村上 その通り。今日はZ4に乗って箱根に向かったんだけど、いやぁ、これはノーズが長い!って思った。


大井 そんな子供みたいなコメン止めて(笑)。


村上 長期リポート車の911と比べて、フロント・タイヤがすごく前にあるのでびっくりした。


鎌田 ザ・クラシックっていう感じですよね。


塩澤 実は、あれでも先代よりもノーズが短いというから驚く。


村上 乗り心地もどこかクラシックな感じで、けっこう硬いんだけど、速度が上がるとどんどん良くなる。


鎌田 アウトバーン向きですね。でも乗ってすごく気分が高揚するかというと、意外とそうでもない。


大井 良くいうとコンフォート系のスポーツカー。


村上 そうだと思う。それはレーシングカーからスポーツカーになっていくクルマと、量産の乗用車からスポーツカーになっていくクルマがあって、今回でいうと、Z4とTTはレース・フィールドから生まれたクルマではないよね。


鎌田 操る楽しさが味わえるのがスポーツカーだと思ってたんだけど、Z4は帰りの首都高速で白線に近づくと問答無用でハンドルを戻すんでびっくりした。あそこまで敏感に制御する必要があるもんなんですか?


村上 まさにそこがポイントだと思うんだけど、昔はスポーツカーっていうのは腕に自信がある人が乗るものだったけど、いまは違うからね。


塩澤 ターゲット・カスタマーというのがあって、どんな人が乗るか、あるいは乗ってもらいたいか、という想定の元でつくられているんだけど、Z4みたいなクルマはターゲットとなる客層が広い。だからスウィート・スポットもものすごく広い。


大井 奥さんも運転するし、ちゃんと荷物も積めるし、アダプティブ・クルーズ・コントロールもついてる。ボタンひとつで屋根も開け閉めできる。でも、アクセルをひと踏みすれば6気筒の3ℓターボが炸裂する。まさに万能なスポーツカーなんだよ。


村上 Z4も今回が3代目となるわけだけど、クリス・バングルがデザインした初代は男っぽい硬派なクルマだったのが、2代目は女性も乗れるようにと考えてソフトになった。それが今回の3代目ではまた男っぽくなった。だから乗り味もそうなってる。それはスープラと一緒に開発したというのもあるかもしれない。


塩澤 双子車だからね。でもいまの時代、味付けで違うモノをつくるというのはよくある方法だよね。


村上 もしそれがなかったらスープラは復活しなかったわけだし、Z4も終了していたかもしれない。


鎌田 86とBRZと同じですね。あれもスバルだけでは成立してない。


大井 でも、今回の3台のなかでは いちばんプレミアムな感じがする。全部800万円台だけど、Z4だけ高そうにみえるもの。こういうスポーツカーは、都会の夜を屋根を開けて橋本マナミに運転して欲しいなぁ。


鎌田 え~、鼻の下を伸ばして、橋本マナミを隣りに乗せて運転したいんじゃないですかぁ(笑)。


AUDI TTS

Z4&スープラの登場で盛り上がっているように思えるスポーツカー市場だが、そうとも言えない面もある。3世代、20年以上にわたって生産されてきたTTだが、この現行型をもって終了することが決まっている。後継として同価格帯のEVが検討されているというが、ホントに残念。一時はアウディを象徴していたバウハウス的デザインのテイストが残っているのがTTの特徴。外観はいつ見ても古びた気がしないが、内装は一見するとクラシカルだが、最新のインフォテイメント機能が導入されている。インパネ中央に液晶パネルを置かず、メーター内に収めた手法はお見事。シートはけっこうスパルタンで、着座位置も3台中で最も低い。
TTSが搭載するのはゴルフRと同じ2lの直4ターボだが、乗るとまるで直列5気筒のような音がするのでびっくりする。本国にはTTRSもあるが、日本には導入されていないので、このSがトップ・モデルとなる。試乗車は245/35R19サイズのブリヂストンのポテンザS001を履く。ブレーキ・ディスクのサイズが小さめに見えるが、効きは申し分ない。

重さを感じないTTS

村上 Z4と比べるとアウディのTTは現代的な雰囲気を持ってる。デザインはいちばん変わってるよね。


大井 でも、独創的なデザインで登場した初代と比べると、3代目はフツーになったんじゃない。


村上 初代はデザインありきのクルマだったから、スポーツカーとしてはちょっとという感じだった。それをだんだんスポーツカーにしていくことで、いまのカタチになった。


大井 でも、内装はすごい。感激した。なんかスッキリしてると思ったら、インパネにナビのモニターがない。メーターのなかだけにしたという割り切りが素晴らしい。


村上 ましてや今のTTはエアコンのパネルもない。


鎌田 吹き出し口に表示とスイッチがあるのにはびっくりした。


村上 デザインコンシャスなクルマだというのは今でも変わらない。


塩澤 なんていったって、最後のTTですから。今回乗ったのはTTのSだけど、文句なく速かったね。


大井 速かったねというか、ちょっとアシが硬かったね(笑)。


鎌田 でも、ドライブ・モードを変えるとアシの硬さも変わるし、エンジンの音も変わる。それが刺激的で、ああ、スポーツカーだなって思いましたね。限界もわかりやすかった。


大井 TTSは、走れば走るほど、お、ヤルじゃんと思った。


塩澤 すごくクルマが軽く感じた。


大井 Z4は1570kgで、TTSは1460kg。ちなみにA110は 1110kg。


鎌田 1460kgもあるんだ。でも、そんなに重さを感じなかった。


塩澤 クルマの重さを感じさせない演出が、アウディはホントに上手い。


大井 その軽さが、ちょっとアシの硬さになっている。軽さはレスポンスだからね。でもだいたいのクルマはそういう味付けにすると底が浅くなる。フツーにレーンチェンジするくらいならいいんだけど、コーナーを攻めたら全然ダメだったりする。それがTTSは攻めれば攻めるほど、ちゃんと応えてくれる。


鎌田 みんな硬い硬いっていうけど、速度を上げてコーナーを攻めると硬くない。そこがすごい。


大井 特にドライブ・モードのオート・モードのデキが素晴らしい。RS5に乗ったときも感心したけど、TTSも、ダイナミックだと乗り心地がダイナミック過ぎちゃって(笑) ダメだけど、オートはほかのボタンがいらないくらいイイ。


鎌田 ラリーもそうですけど、ハイスピードになればなるほど柔らかくしていったほうがクルマの動きが良くなる。TTSはそういうチューニングをしていると思う。速度を上げるほどしなやかになって硬さを感じなくなる。


大井 ラリーと言えば、オジサン的にはビッグ・クワトロを思い起こさせて興奮した。直4なのに直5の音がする。あれはステキ。


村上 そういうことも含めて、ホントに演出が上手いよね、アウディは。


大井 あと、正統派スポーツとしてのハンドリングもちゃんと持ってるのと同時に、クワトロのそもそものコンセプトなのかもしれないけど、フツーの人が高速道路を長距離移動するときに、安心して快適に走れるようになっている。


塩澤 スキルがある人が乗っても応えてくれるし、ない人が乗っても速く走れる。


鎌田 今回の3台のなかで、いちばん簡単に速く走れるクルマですね。


ALPINE A110 PURE

日本に上陸したのは2018年の終わりくらいだが、2019年を盛り上げたことは間違いない。TTは生産を終了するが、ルノー・スポールは専用プラットフォームを新規に起こして魅力的なスポーツカーのアルピーヌをつくり上げた。室内を見てもラグジュアリーなZ4やTTとは一線を画していることがわかる。便利機能は必要最小限。いまどきドリンクホルダーのないクルマを探す方が難しい。走りに重きを置いたグレードのピュアでは、サベルト製のフルバケット・タイプ のスポーツ・シートが標準となる。1脚の重量はたった13.1kgだというから驚きだ。高さはシートを固定するボルト穴を変えることで3段階に調整可能。試乗車はちょっと高めだった。ミドル級スポーツのなかでは、スタイルはいちばんカッコいいかも。
エンジンはリア・ウインドウを外さないと見えない。リアの荷室容量は96ℓで、ヘルメットが2つ収納できるように設計されているところがすごい。ラリーに使う気満々の設計だ。ちなみにレーシング・スーツとシューズはフロントに収納する。こちらの容量は100ℓだ。前輪のブレーキは320mm径のディスクにブレンボ製4ポッド・キャリパーを装備。

専用開発のアルピーヌ

村上 TTSもZ4も専用プラットフォームではなかったけど、アルピーヌはシャシーはもちろん、ブレーキまで専用開発だからね。違うのは エンジンだけ。でもそれって、レーシングカーはみんなそうだから。


塩澤 大事なところは専用でやって、エンジンはなんか持ってこいみたいな。確かに似てる。やっぱり、ルノー・スポールがつくったからね。


大井 オール・アルミ・ボディをいちから起こして、よく800万円で売れたと思うね。個人的には600万円で売って欲しかったけど(笑)。 


一同 爆笑!


村上 ほんと、1500万円くらいかかるクルマですよ。


塩澤 卓麻は乗ったことがなかったわけだけど、どうだった?


鎌田 まわりからはいろいろ聞いていて、すごく楽しみにしてたんですよ。僕のイメージだと、もっとハードな、ロータスのようなクルマなのかと思ってたんです。それが走りだしてみたら全然違った。変ないい方だけど、フツーに走れる。スポーツとコンフォートって絶対にまじわらないものだと思ってたんです。スポーツカーは街乗りなんて無理だと思ってた。自分が持っているスポーツカーのイメージが変わりましたね。久しぶりに欲しいと思った。


村上 欲しくなるよね。何回乗っても、そのたびに欲しくなるもの。


塩澤 みんなにそう思わせるのって、なんなんだろうね。


鎌田 便利なものは、なんにもついてないんですけどね。


村上 これがクルマの原点という感じがする。軽いことってこんなに大事なのかと思う。乗り心地がいい最大の理由って、軽いからだよね。


塩澤 重かったら、もっとアシを固めなくちゃならない。


大井 軽いことはもちろんだけど、人間の乗っている位置もいいんだと思う。


村上 確かにそれもある。


鎌田 バランスがいいんですよ。


塩澤 カタログによると、重心位置はちょうどお尻の所にあると書いてある。重量物を真ん中に置いて、タイヤを四隅に置いてるわけだよね。エンジンも横置きだしね。


大井 でないと800万円では納まらなかったかもね。縦置きだとクルマのサイズも大きくなるし、こうはならなかったと思う。 


鎌田 操作系もこれがいちばん良かった。シフト・パドルも大きくて操作しやすい位置にある。あれは嬉しくて思わず無駄に操作してしまいますよ、みんな。


大井 エンジンの排気量もアルピーヌがいちばん小さいんだけど、非力な感じがまったくしない。Z4は3ℓターボだし、TTSは2ℓターボだけど音で演出してる。でもアルピーヌは1.8ターボで音もなにもしてないよね。小排気量であることを隠そうともしてない。そうなんだけど、まったく安っぽいところがない。それどころか小排気量であることの、心地良い軽やかささえある。ほんとに気持ちがいい。


鎌田 またトルクの出方とかが絶妙なんですよ。変速機とのマッチングもすごい。


村上 あのツイン・クラッチのトランスミッションは、ものすごく良く考えられている。最終減速比がギアによって変わる。驚いたことにファイナルがふたつある。


塩澤 1、2、6、7速と3、4、5速で別になっている。


村上 TTSは電子的な演出が素晴らしかったけど、アルピーヌはそれを機械的にやっている。


塩澤 そういうところがクルマ好きのツボを刺激するんだよね。


大井 だって前後のブレーキ圧まで表示しちゃうんだから、びっくりしたよ。でも、もうひとつびっくりしたのは、変速機の温度とかそこまでやるのかと驚いた一方で、燃費の話がひとつもない(笑)。


塩澤 いまやフェラーリでもメルセデスのAMGでも電子制御抜きでは語れなくなっている。アルピーヌだってもちろん制御はやってるんだけど、極力排除して走る喜びや操る喜びをシンプルにドライバーに伝えようとしている。


大井 いやぁ、ほんと魂が震えました。スポーツカーはやっぱりオモシロイね。


◼︎BMW Z4 M40i


駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4335×1865×1305mm
ホイールベース 2470mm
トレッド(前/後) 1595/1590mm
車重 1570kg
エンジン形式 直列6気筒DOHC24バルブ・ターボ
排気量 2997cc
最高出力 340ps/5000rpm
最大トルク 51.0kgm/1600-4500rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前)   ストラット/コイル
サスペンション(後)   マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後)   通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後)   255/35ZR19/275/35ZR19
車両本体価格(税込)  851万円


◼︎アルピーヌA110ピュア 


駆動方式 ミドシップ横置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4205×1800×1250mm
ホイールベース 2420mm
トレッド(前/後)  1555/1550mm
車重 1110kg
エンジン形式 直列4気筒DOHC16バルブ・ターボ
排気量 1798cc
最高出力 252ps/6000rpm
最大トルク 32.6kgm/2000rpm
トランスミッション ツイン・クラッチ式7段自動MT
サスペンション(前)   ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後)   ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後)   通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後)   205/40R18/235/40R18
車両本体価格(税込)   811万円


◼︎アウディTTS


駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4200×1830×1370mm
ホイールベース 2505mm
トレッド(前/後)   1565/1545mm
車重 1460kg
エンジン形式 直列4気筒DOHC16バルブ・ターボ
排気量 1984cc
最高出力 286ps/5300-6200rpm
最大トルク 38.8kgm/1800-5200rpm
トランスミッション ツイン・クラッチ式7段自動MT
サスペンション(前)   ストラット・コイル
サスペンション(後)   ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後)   通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後)   245/40R18
車両本体価格(税込) 814万円


話す人=大井貴之+鎌田卓麻+村上 政(ENGINE編集長)+塩澤則浩(ENGINE編集部・まとめも) 写真=望月浩彦



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