先に購入したのはBMW 600。驚いたことに、さらに同じクルマをもう1台所有しているという。「このBMW 600は2011年に購入しました。実はその数年前に別のBMW 600を入手していて、自分でレストアしようと作業を進めていました。ボディだけでなく、エンジンやフレーム、書類までしっかり揃っていて、けっこう本気だったんです。ところが、レストアを開始してから3年目、修復に必要なパーツを手に入れることができないなど壁にぶち当たりまして……。そこで一旦、レストアするのをあきらめることにしました。あれがそのもう1台のBMW 600です」
入佐さんの指の先には、丸っこいドンガラ状態になったBMW 600の赤いボディが仕事用の棚の上に積まれていた。「さて、これからどうしようかなと思っていたら、2011年の震災の後にBMWイセッタ300が売りに出たんです。残念ながらこれは購入できませんでしたが、そのあと、同じオーナーさんが今度はBMW 600を手放すということがわかりました。そのことを知った翌日、早速、新幹線に乗って岩手の平泉に向かい、オーナーさんに直接交渉をさせていただきました。何人かの方が購入の意思を示していたようですが、私はBMW 600の部品を持っています。だから明日動かなくなっても自分でなんとかできるので大丈夫です。ご安心くださいとアピールした結果、念願かなって、私に譲ってもらえることになりました。自分の手でレストアすることは叶いませんでしたが、ボディ、エンジン、フレーム、書類を揃えておいてよかったです」
こうして入佐さんの元に完調なもう1台のBMW 600がやってきた。「新たに手に入れた2台目を見てレストアが完了したのだと勘違いした妻は”できたのね”と言ってましたけど(笑)」奥さまに「これは別のクルマ」だと伝えたのかどうかは聞きそびれたが、念願の”動く”BMW 600を手にすることができた入佐さんはその後、バブル・カーの魅力に取りつかれていく。ネットでは何かにどっぷりハマってしまうことを”沼”という言葉を用いて表現するが、まさに入佐さんはバブル・カー沼のさらなる深みにハマってしまったのだ。
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