ほかの最新のシトロエン同様、ポップなスタイリングが特徴のコンパクトSUV。プラットフォームをはじめ、機能面では兄弟車のプジョー3008/5008と共有する部分が多いものの、機械的な可変機構を備えた独自のダンパーを用いることで、現在、シトロエンがブランドのアイデンティティとして掲げる高い快適性を実現している。全長×全幅×全高=4500×1850×1710㎜、ホイールベース=2730㎜。車両重量=1640㎏。エンジンは2.0ℓ直4ディーゼル・ターボのみで、変速機は8段AT。4WDの設定はない。価格はモノ・グレードで424万円。
このクルマのトピックはなんといっても乗り心地。ハイドロニューマチック・サスペンションこそ使っていないが、「ハイドロのフィーリングをイメージした」とシトロエンが謳う脚まわりは絶品だ。PHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)と名付けられた独自のダンパーが生みだす乗り心地はまさに空飛ぶ魔法の絨毯である。ハイドロのようにぴょこんとお尻を持ち上げたりはしないし、ねっとり感やフラット感も薄まってはいるが、それでも独特な"ゆるふわ"フィーリングは乗員全員の心と身体をとことんリラックスさせてくれる。複雑で高コストで信頼性が低かったハイドロに対し、構造がシンプルなのもPHCのメリットだ。
多くのメーカーがスポーティを掲げるなか、シトロエンが目指すのは快適性第一主義。乗り心地はもとより室内空間や装備などすべての要素を快適性方向に振ったクルマ作りによって新たな価値を創造しようとしている。C5エアクロスに乗れば、それが生みだす価値をたちどころに理解できるだろう。
C5エアクロスがスゴいのは、シトロエン流の快適性の追求が徹底されているところだ。カヤバ・ヨーロッパと共同開発したPHCという新しいダンパーは路面の細かな凹凸をキレイに吸収し、ショックや姿勢変化なども柔らかく受け止めて優しい乗り心地を実現している。リアルの針を一切廃したメーターと各種の機能はすべてモニター画面にデジタル表示される。特に、アクティブ・クルーズ・コントロールやレーンキープ・アシストをONにしている時の表示は大きくわかりやすい。
アシスト機能を働かせていても、ドライバーは運転状況を監視していなければならない。シトロエンはそれを重視している。わかっていてもなかなか実行できないのが世の常であり、人のサガというものだが、"クルマ界の前衛派"であるシトロエンはためらいなく採用する点がブランドの特徴となり、魅力を裏打ちしている。そうしたシトロエンの快適性追求の姿勢は実を結んでいて、別の機会に気仙沼往復1100㎞を日帰りで運転したが、とても快適で疲労が最小で済んだ。
「コンフォート性能」をブランドの革新的価値と位置づけた新世代シトロエンのフラッグシップ・モデルがC5エアクロスSUV。「ハイドロニューマチックの現代的解釈」と主張するPHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)という新しいダンパー・システムを採用したサスペンションが快適性の肝だが、実際には油圧とガスによる車高調整機能付きエア・サスペンションだったハイドロニューマチックとは異なり、一般的なバンプストッパーの代わりにセカンダリー・ダンパーをチューブに内蔵した簡潔で巧妙なメカニカル・システムである。
乗り心地は柔らかくフワフワしたマジックカーペット・ライドというよりは、タフで頑健な脚まわりといった印象だ。C3エアクロスSUVほどソフトではなく、むしろわざと舗装が剝がれた部分を踏んでみた場合でもタタンとほとんど何事もなく通過してしまう懐の深さが頼もしい。それに加えて2.0ℓ直4ディーゼル・ターボの逞しいトルクと最新の8段ATを活かし、ロング・クルーザーとしての資質は抜群だ。
エクステリアはかなりポップなデザイン。見ているだけで楽しくなる。試乗したモデルはプラス36万円オプションのナッパレザー・パッケージ。そのシートは意外にもしっかりしていて、パツッ!という感じで身体を支えてくれる。剛性感の塊のようなボディと、驚くほどしなやかでスムーズにストロークするサスペンション。かつてのハイドロニューマチックを思い起こす乗り心地。
もちろん機構はかつてのものとは全く違う。ショックアブソーバーのバンプ・ラバーを廃してセカンダリー・ダンパーを採用したもの。試乗会場内でのスラロームコースを試してみたけれども、気持ちよくロールする。だけどいつまでもロールしてるわけではなく、右旋回が終わったらすぐに左旋回に移るための準備ができている。大きく動くのだけれども全くオーバーシュートしていないのだ。オンロード性能を重要視する昨今のSUVに対して明らかにサスペンションはソフト。でも高速では路面に貼り付くような安心感。C5エアクロスはロールするのにスポーティなのがスゴイ!
とにかく個性的なデザインでまとめられたSUVだ。シトロエンは何が心配なのか、C5エアクロスという車名に、さらにわざわざSUVというサブネームを加えているが、C4カクタスに始まったエアバンプやシトロエンのエンブレムを見事に活用したフロント・グリルを見れば、誰もがそれがシトロエンのSUVであると理解してくれるだろう。
メーター・パネルは現代の最新モデルらしくグラフィック化されているが、その上端部には懐かしのボビン式メーターも描かれており、これもまたシトロエンのファンにとっては心憎い演出だ。個人的にはここまでやるのならば、かつてのボビン式メーターを完全にグラフィックで再現してほしいと思ったのだが、かつてのメーター・パネルと現代のものとでは、表示しなければならない項目はその数が大きく異なる。せめてこれで我慢してくれということか。キャビンの使い勝手はやはりフランス車らしく優れている。670ℓにまで容量を増やすことができるラゲッジルームの機能性は十分に評価してよいだろう。
(ENGINE2020年4月号)
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