DS初のスモールSUV。デザインは往年の"DS"に勝るとも劣ら ぬほど個性的な仕上がり。この内外装こそがこのクルマ最大の見せ場といっても過言ではないものの、最新のプラットフォームを採用するなど、中身もまた高い完成度を有している。パワートレインは130ps/23.5kgmを発生する1.2ℓ直3ターボ+8段ATのみ。2020年中にはピュアEV仕様が追加される予定だ。全長×全幅×全高=4120×1790×1550㎜なので立体駐車場にも 対応可。ホイールベースは2560㎜と意外に長い。グラン・シックは最上級グレードで、価格は411.5万円。
遠目にもはっきりと他の何者でもないと解る存在感たっぷりのデザイン。そして、いざ乗り込めばインテリア・デザインも強烈の一言で、機能性云々はさておき、つい心が躍る。内外装どちらを見ても、落ち着きといった言葉とは無縁。まさにアヴァンギャルドな雰囲気を漂わせるのがDSである。
そうかと思えば走りっぷりは思い切り癒やし系なのだから面白い。豊かなストロークを感じさせるゆったりとした足さばきはもちろん、案外低い回転域から充実したトルクを発揮する1.2ℓターボ・エンジンもトコトコ走るのにぴったりだ。また、特に気に入ったのはしっとりと上質な操舵感で、それだけでも豊かな気持ちでクルマと対峙できる。往年のDSは、本人たちは理想を目指して普通に作ったつもりなのに他とはまったく違うものになっていたというクルマだ。それに較べれば現代のDSが敢えて狙ってハズしているのは確かだが、これほどの差別化として結実しているならば、そのあり方も良しとすべきなのだろうなと、改めて思った次第だ。
決して美しいとは言えないのに、なぜか心をザワつかせるオンリー・ワンのルックス。鍵を持って近づくと"ニュ~"っとポップ・アップするドア・ハンドル。シッカリとふっかりの中間くらいなシートに腰を下ろしてドアを閉めれば、ダイヤモンド・カット(クル・ド・パリか?)のモチーフがメーターにも、エアコン吹き出し口にも、タッチパネル式スイッチにも……うぅ、目がチカチカする。それに窓の開け方もわからないッ!! まさにアヴァンギャルドがタイヤを履いて走っているのがDS3クロスバックだ。
しかしその乗り味は驚くほどにマトモ。猫足系の脚まわりは同じグループのシトロエンより引き締まっているが、プジョーほど角が立っていない、ちょうど良いサジ加減。これが実用域でトルキーな1.2ℓ3気筒ターボと組み合わさると、街中をビュンビュン駆け抜けることができる。これほんと、美しい女性に乗って欲しい。新しいバッグを奮発して買っちゃったようなウキウキした気持ちで、颯爽と街中を流して欲しい。そしてボクを助手席に乗せて欲しい。
シトロエンからのスピンオフで生まれたDS。"フレンチ・ラグジュアリー・カーの復権"という狙いを耳にすると「それはまた、高いハードルを課したものだ」という感じが拭えない一方、「上手く立ち回れば、これはなかなか面白いことになりそう」と思えた。DS3に触れるとその感が強まる。DS3はいわゆるBセグメントに属するサイズゆえに余裕は小さいものの、大人4人が無理なく過ごせるキャビンや思いのほか深い荷室など、高い実用性も実現。一方、格納式のドア・アウター・ハンドルやフル・スペックのADASが奢られるなど、クラスを超えたエクスクルーシブ性がそこかしこから見てとれる。
そんな過去の常識に囚われない独自のバランス感覚こそが、このモデルならではの魅力であり、凄い点と言えるのだ。同時に、「他人と同じクルマに乗りたくない」という輸入車ユーザーの心も、ガッチリ掴む存在であることは間違いナシ。少なくともDSのデザインとブランドの生い立ちを語るだけでも小一時間はネタに困ることのない新解釈のフレンチ・コンパクトである。
ごくたまにフレンチ・レストランでディナーをいただくと、彼の地のプレミアムは伝統を継承しながら、絶えず革新に挑戦していくことを大切にしていると教えられる。とにかく目の前の皿の上に広がる世界が驚きの連続で、そこに美味が融合して比類なき感動へとつながっていく。DSブランドに接するたびにそんなシーンを思い出す。
今回のDS3クロスバックにしても、グレーとワインレッドの2トーン・カラーはめったに見ないし、この車格にしてドア・ハンドルは贅沢なポップ・アップ式。そこに手をかけてドアを開ければ、大胆なダイヤモンド柄とシックなブラウン系トリムの対比に、伝統と革新が融合したパリの街並みを思い出す。でも驚きのあとに訪れる走りは誰もが惹かれるテイスト。サイズを忘れさせるしっとりした乗り心地で魅了しながら、身のこなしは俊敏。1.2ℓ3気筒ターボ・エンジンが提供する効率的な加速は、オーガニックな素材を思わせる爽やかさ。こんな仕立て、やっぱりフランス以外では味わえない。
Bピラー周りのデザインが以前のDS3と似ているので「最近はやりのビッグ・マイナーチェンジか?」と思ったのは私が事前に予習をしていなかった証拠。でも、走り始めたら乗り味がまるで違っていて、「これはプラットフォームを新しくしたな」と確信した。で、広報担当に確認したら、やっぱりまっさらなプラットフォームだという。
とにかく足まわりから伝わってくる感触がこれまでとはまったくの別物。まるで、金属スプリングではなく伸縮するゴム(弾性体)でショックを吸収しているかのような、不思議な乗り味なのだ。しかも、この"ゴム・バネ(と勝手に命名)"のストロークがたっぷりと長く、おかげで段差の大きな路面の継ぎ目でもふんわりと乗り越えていく。その感覚があまりに心地よくて、「早く次の段差がこないかな」と妙な期待をしたくなるほどハーシュネスの処理は秀逸。1.2ℓ3気筒ターボ・エンジンは力強くて滑らか。本当はインテリアの話もじっくりしたかったけれど、紙幅が足りなくなったのでその魅力は実車でご確認ください!
(ENGINE2020年4月号)
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