去年(2019年)の11月、福井県の今庄で行われた86/BRZのダート・ドライビング・スクールで、後輪駆動車のダート・ドライビングの魅力にすっかりはまってしまったことは、ENGINE2月号のリポートでお伝えした。
これは病みつきになると、次回の開催を心待ちにしていたが、ぜんぜん開催される様子がない。なにしろ校長の鎌田卓麻選手は全日本ラリー選手権と全日本ダートトライアル選手権の両方に出場しているので忙しいことこの上ない。
それどころか今年は86/BRZレースにも出場するというから、当分スクールはなしだろうと思っていたら、その鎌田選手から、筑波サーキットでドリフト・スクールをやるので来ませんかという電話が突然あった。
筑波にダートなんてあったっけ? と思って聞いてみると、ジムカーナ場に水を撒いてのスライド・ドライビングのスクールだという。主催しているのはプロ・ラリー・ドライバーの川名賢選手で、鎌田選手は助っ人のインストラクターということだった。
「ダートの今庄で特訓したサイド・ターンを、今回は舗装路面でやってもらいます。楽しいですよ」という誘い言葉につられて、ふたつ返事で参加を即決。エンジン・ドライビング・レッスンで通い慣れた筑波へ向かった。
川名選手のスクールの正式名称は「ZENKAI走行会 スライド・ドライビング・イン筑波ジムカーナ場」。これ、実はスクールというより走行会という方が正しい。基本は自由に走って、教えてもらいたい人だけにインストラクターがつく。午前か午後の半日だけの開催だが、その分参加料もリーズナブルだ。フリー走行のみなら1台1万3000円で、レッスン・クラスは2万3000円。
ジムカーナ場にはブーメラン型の大きな異形オーバルと、定常円と8の字を組み合わせた小さなエリアの2つのコースが用意されており、1回の走行につき、フリー・クラスは2分、レッスン・クラスは3分の持ち時間のなかで、いずれのコースでも自由に走ることができる。
ポイントは、1台ずつの走行なのでスピンしても他車とからむことがなく安全なこと、散水するのでタイヤやクルマへのダメージも少ない。
今回レッスンで使用するのは、前回の今庄と同じ、86/BRZレース用の車両をダート仕様に変更したスバルBRZ。タイヤはあえて滑りやすいように空気圧が3kPaでパンパンの硬質ダート用を履かせている。
まずは鎌田選手の助手席で模範走行を体験してみたが、リア・タイヤがグリップしていたのは最初のスタートだけで、あとは3分間、ずっと滑りっぱなし。
加速Gは感じるけれど、減速Gと横Gはあまり感じない。横Gに身構えた途端、スッとリアがスライドしてGが消える。アスファルトの上なのに、まるでスケート・リンクを走っているような感覚だ。
小さいエリアの定常円&8の字コースを走ったが、鎌田選手のドライビングは常に一定のリズムでリアがスライドしながら旋回し、ひとつも破綻がない。お見事というほかない。
最初の1、2回だけハンド・ブレーキできっかけをつくっただけで、あとはアクセル・コントロールとクラッチ・ワーク、ステアリング操作だけで走り切ってしまった。
「ダートのときよりフロントのグリップがあるので走りやすいはずですよ」という鎌田選手の言葉を信じて走り出してはみたものの、フロントのグリップどころか、ハンドルを切るタイミング、ハンド・ブレーキ、クラッチ操作、なにもかもがバラバラで、今庄ではできた操作がまったくできない。
すると鎌田選手からすかさずストップがかかり、「ハンド・ブレーキを引くのはハンドルを切った後。今は"直線引き"になってます。それではいくらやってもリアはスライドしません。ハンドルを切って旋回が始まってからハンド・ブレーキの順です」と檄が飛ぶ。
指摘通りに操作すると確かにリアが滑りだしたのはいいが、すぐにグリップしてしまう。と今度は「速度が足りないから慣性も足りない。クルマを外方向へ放り出すような感じになるまで進入速度を上げて!」と今回は手取り足取り指示も細かい。おかげでサイド・ターンはなんとか今庄のときのように徐々にできるようになった。
しかし、これが定常円旋回を維持するとなると話は別。アクセルを踏みっぱなしだとスピンするし、加減するとドリフトが収束してしまう。クラッチを切るタイミングもバラバラで、頑張って2周が限界だった。
ここから先に上達するには、反復練習あるのみ。でも、やっぱりFRは楽しかった。
文=塩澤則浩(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦
(ENGINE2020年5月号)
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