2020.05.16

LIFESTYLE

「小松庵総本家 銀座」 伝統をアップデートして発信!残し続けたい日本の食文化1

産地の異なる蕎麦2種と「季節のお浸し」などの肴3種を楽しめる「はじまりの蕎麦」1300円。コース(昼3500円~、夜6000円~)では1品目に登場する。

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料理店は料理を提供するだけでなく、食文化を発信する場所。 コロナ禍で痛手を被りながらも日本の食文化を伝えようとする、志高きプロフェッショナルに注目したい。

東京の蕎麦シーンでは数年前から新しい潮流が生まれている。それは蕎麦のテロワールを楽しもうというもの。上質なワインやコーヒーを通じて"産地の味"に敏感になった人々が、産地の味を前面に出した蕎麦を打ち始めているのだ。


たとえば大正11年創業の老舗「小松庵総本家」が昨年オープンした銀座店は、茨城県奥久慈産や栃木県都賀町産など、異なる産地の蕎麦を食べ比べられるメニューを用意。


名物の「はじまりの蕎麦」には、季節の肴と共に2種類の産地の十割蕎麦が登場する。これをつゆではなく水にくぐらせ、塩やオリーブオイルで味わえば、産地ごとの旨味や甘味の濃淡、ポリフェノール感の違いが歴然。


熟練の職人が打つ蕎麦は喉越しよくなめらかで、自家製のつゆにつければおなじみの美味しさにも出会える。一方、洋の要素を取り入れた料理もあり、「チーズそばがき」はワインにも日本酒にも合う逸品だ。


粗挽きのそば粉と国産のマイルドなチーズを使った「チーズそばがき」1500円。ふんわりした食感とチーズのコクが魅力的。

こうした画期的なメニューは、「蕎麦はもっと復興する余地がある」と信じる三代目、小松孝至社長の考えで生まれたもの。東京の蕎麦は戦後、GHQの命令で全て機械打ちになり、その後手打ちの技術が復興したものの、業界では効率が重視されてきた。


小松氏は職人の技と地位を向上させ、新しい食べ方を提案しながら、さらに蕎麦文化を花開かせたいという。


銀座店料理長の小池智之さん。本店で20年以上研鑽を積んだベテラン。
ビルのワンフロアを占有する店内は奥に細長く、手前から奥に向かってバーカウンター、大谷石を配した蕎麦打ち場、テーブル席、カウンター席、個室が設けられている。予約がベター。
店奥にある、広々とした個室。ピアノやオーディオ設備もあり、音楽イベントなども行われる。

●小松庵総本家 銀座

東京都中央区銀座5-7-6 i liv 14F 
Tel.03-6264-5109
営11:00〜14:00 LO、17:00〜22:00 LO(コースのみ21:00 LO)
不定休(4月11日より臨時休業中)
tenpo.komatuan.com/shop/ginza
※価格は税サービス料別


文=小松めぐみ(フード・ライター) 写真=古田登紀子


(ENGINE2020年6月号)

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