これまで出会ったクルマの中で、もっとも印象に残っている1台は何か? クルマが私たちの人生にもたらしてくれたものについて考える企画「わが人生のクルマのクルマ」。自動車ジャーナリストの佐野弘宗さんが、大磯プリンスホテルで開かれた試乗会で 出会った1台のシトロエン。 そのステアリング・フィールは とてもFF車とは思えないほど ダイレクトなものだった。
ネジがぶっ飛んだ異端児
こうして年間に数十台から100台強のクルマに試乗する仕事をしていても、仕事をきっかけに「衝動買い」に走ることはまずない。試乗取材でいかに感動しても、それをお伝えしたいとは思うが、自分の購入欲とはまた別である。自分にとってドンピシャのクルマとドンピシャのタイミングで出会う機会など、こういう仕事をしていてもめったにない。
そんな私にも、じつは衝動のおもむくままに買ったクルマが1台だけある。それがシトロエン・クサラVTSである。クサラはシトロエンがかつて生産していたCセグメントで、「VTS」とは他社でいうGTIに相当するグレードである。1997~2006年という生産期間からすると、VWゴルフIVのGTIが同世代の直接的なライバルとなる。

(ENGINE2020年7・8月合併号)
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