DJドラゴンさんは大のクルマ好き。彼にとって音楽とクルマを結び付けたクルマは、フランス映画に登場したアメリカ車だ。
クラブ・シーンの第一線で活躍するDJドラゴンさんは、洋服のヴィンテージや珍しい観葉植物のコレクターとしても有名な多趣味の人である。もちろん、クルマ好きで本誌とも縁が深く、武田真治さんとのユニット「BLACK JAXX」では、本誌をイメージして作った『ENGINE』という曲をステージで披露してくれている。新型コロナ・ウイルスの感染拡大により、素晴らしいパフォーマンスが見られないのは残念でならない。
ドラゴンさんにとっての「わが人生のクルマのクルマ」は1965年型フォード・マスタング・コンバーチブルだ。
「26歳か27歳のときだと思います。東京に出てきて初めて買ったクルマがフォード・マスタング・コンバーチブルだったんです」
1990年代なかば、ファッション業界に友人が多かったドラゴンさんのまわりには、オシャレなスタイリストやヘア・メイクの人たちがたくさんいて、彼らの間ではボルボやメルセデス・ベンツのステーションワゴンが流行っていたのだという。「エンジンが長期リポートしているベンツのワゴン、あれです。あれがカッコよくて、ステイタスもあって大人気だったんです」
友人に強く薦められて、正規ディーラーに新車を見に行き、試乗もしたがピンと来なかったという。
「いま、メルセデス・ベンツはすごくオシャレですけど、あの当時はオシャレというよりは威圧的なイメージの方が強くて。自分のドレッド・ヘアーとも合わない感じがして」
フォード・マスタング・コンバーチブルというクルマは、そのときまだ知らなかったそうだ。
「当時付き合っていた彼女がファッション関係の人で、当時フランス系ブランドが流行ったんです。アニエス・ベーとか。ファッション業界では、古いフランス映画を観るというのもちょっとしたブームでした」
多くのフランス映画のなかで、ドラゴンさんの心をとらえたのは、クロード・ルルーシュの名を世界に知らしめた『男と女』だった。
「クルマがめちゃくちゃ映えていた。心の底からカッコイイと思いました。フランスが舞台なのに、アメリカ車! それがミスマッチどころか、とても印象的に扱われている。なんだあのクルマは?って、ショックを受けたんです。それからは、♪ダバダバダ♪が脳内リフレインです」
自動車雑誌を買いまくり、広告に出ていたフォード・マスタング・コンバーチブルを見に行った。
「ボディは真っ赤で、内装は純白。正直、メルセデス・ベンツよりはるかに輝いていました」
即断して購入した。納車手続きを終え、幌を開けて走り出したときのことをドラゴンさんは嬉しそうに話した。
「輸入車、アメリカ車、オープンカー、V8エンジン、もう何から何まで初めてで緊張したのを覚えてます。V8エンジンの力強さにビックリしたなあ。ちょうど、春先で気持ち良かったです」
トラブルはもちろんあったという。
「東京の渋滞はオーバーヒートしましたね。いろいろ対策をしたんですけど、何度も動かなくなりました。故障の連続だったけれど6年乗りました。最後は仕事に遅刻するわけにはいかなくなって、泣く泣く手放しました」
その後、メルセデス・ベンツML430、ポルシェ・カイエン・ターボ、マセラティ・クアトロポルテ、ジャガーXタイプ・エステート、トヨタ・オリジンと乗り継いでいった。「そのなかで印象深いのはポルシェ・カイエンです。Mクラスからの乗り換えだったんですけど、ドイツ車でもこんなに違うのか! と思いました。インパネのクオリティ、クルマのしっかり感、スピード感、そしてブレーキ。これがポルシェのクオリティかと思いました」
いまは993型の911がちょっと欲しいと言うドラゴンさんだが、デザインは最初に買ったマスタングが一番カッコイイと思っている。
「なんてったって、フランスの映画監督が見染めたんですからね。直線基調のスッとしたボディが好きです。フロント・スクリーン越しに見た真っ直ぐなフロント・ラインはいまでも目に浮かびます。やっぱりクルマは降り立って、つくづく見るぐらいじゃないと。自分的にはミニバンとかあり得ないです。あれはクルマじゃなくて動く居間ですよ」
ダバダバダのフレーズが頭から離れず、マスタングを買いに行ったドラゴンさんだが、音楽活動にもクルマは欠かせないと言う。
「クルマには移動手段以上の意味があると考えるのは、エンジンと一緒です。自分で運転するクルマのなかで流れる音楽と、流れる景色がシンクロした瞬間の気持ち良さって格別ですよね。真っ赤なマスタングの幌を開けて東京を走ったときの疾走感は、いまの曲作りにも役立っていると思います」
文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=安部英知(フォード・マスタング)/小林俊樹(タイトル横人物)/ポルシェAG(ポルシェ)
(ENGINE2020年7・8月合併号)
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