映画を観ている時でも、当たり前のように聴いているのが、雨音などの環境音や、戦闘シーンなどでの効果音。これらの音響を専門とする、裏方の仕事に着目したドキュメンタリー映画がつくられた。
キング・コングや『スター・ウォーズ』のチューバッカの声はどのようにして作られたのか? あるいはトム・クルーズの出世作『トップガン』に登場する戦闘機の音には、臨場感を加えるためのどのような工夫が凝らされていたのか? 「音は感情を伝える。映像体験の半分は音だ」と語るのは、本作にも登場するジョージ・ルーカス。『ようこそ映画音響の世界へ』はその名の通り、映画における音響の歴史、そして知られざる映画音響職人たちの仕事に迫る、珍しいドキュメンタリーだ。
初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』が誕生したのは1927年。以降、映画音響の歴史にはいくつかの重要な転換点があり、オーソン・ウェルズやアルフレッド・ヒッチコック、ジョージ・ルーカス、フランシス・フォード・コッポラ、スティーヴン・スピルバーグ、バーブラ・ストライサンドといった一流のクリエイターたちがその進化に貢献してきた。彼らの映画づくりを支えてきたのは、もちろん音響の専門家たち。『地獄の黙示録』で当時としては画期的な多重録音に踏み切ったウォルター・マーチ、『スター・ウォーズ』ではチューバッカの声だけでなくR2-D2やライトセーバーの音も生み出したベン・バート、そして『タイタニック』や『ジュラシック・パーク』などで7度のオスカーに輝くゲイリー・ライドストロームなど、伝説的な音響デザイナーたちが次々に登場し、究極の裏方仕事でありながら、観客の感情を大きく左右する音響技術の“魔法”について語っていく。
本作では『ブラックパンサー』や『ROMA/ローマ』といった最近の作品を含む30本以上の映画が紹介されているが、映画ファンにとっては、何気なく観ていた場面の裏に、驚くような音の苦労があったことが分かるのが面白い。だがそれ以上に、ベテランから若手まで、映画愛にあふれた30名以上の“音響オタク”が、意外なエピソードを披露しながら、自らの仕事を生き生きと語る姿に嬉しくなる。次にお気に入りの映画を観る時は、些細な音にもじっくり耳を傾けてみたい。そんな映画のさらなる楽しみを教えてくれる作品だ。
『ようこそ映画音響の世界へ』は8月28日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開。
監督:ミッジ・コスティン。配給:アンプラグド。94分。
© 2019 Ain't Heard Nothin' Yet Corp.All Rights Reserved
文=永野正雄(ENGINE編集部)
(ENGINEWEBオリジナル)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
文=永野正雄(ENGINE編集部)
advertisement
2026.03.25
CARS
フェラーリ新型、オペラの余韻に現れた「アマルフィ・スパイダー」が日…
2026.03.22
CARS
「服でいうならバラクータとか、バブアーみたいな感じ」日本を代表する…
2026.03.19
CARS
乗り心地の良さに大満足|新時代を告げる「アルファ・ロメオ・ジュニア…
2026.03.20
LIFESTYLE
50年前に建てられたとは思えないモダンなビンテージ住宅 古びること…
2026.03.20
CARS
これぞ「人生のご褒美」の一等賞|アルピーヌ「A110 R70」に試…
2026.03.15
CARS
廃線となった首都高を埋め尽くした空冷ポルシェ!1日限りの『LUFT…
advertisement
2026.03.22
超ワイド&ローのスタイルに昭和育ちは思わず感涙|大井貴之ら3人のモータージャーナリストがアウディ「RS e-トロンGTパフォーマンス」に試乗
2026.03.19
乗り心地の良さに大満足|新時代を告げる「アルファ・ロメオ・ジュニア・イブリダ」に自動車評論家の飯田裕子と竹岡圭、吉田由美が試乗
2026.03.20
50年前に建てられたとは思えないモダンなビンテージ住宅 古びることなく時の経過とともに魅力が増していく建築の素晴らしさとは
2026.03.24
「狂ったか!?」と叫びたいほど速かった|モータージャーナリストの清水草一ら2人がBMW「M5ツーリング」に試乗
2026.03.13
ついに出揃ったトヨタ・ダイハツ共同開発の軽商用BEV!【約314万円〜】「スズキ・eエブリイ」が登場