フェアレディZのプロトタイプを発表するなど、明るい話題が増えてきた日産が、軽自動車を除く日産の最量販車であるノートを8年ぶりに全面刷新してきた。ヤリスやフィットなど強豪目白押しの激戦区で、日産の底力を見せられるか。
日産は2020年から2021年にかけて、日本でも新型車ラッシュをしかけるというが、新型ノートはいわばその第1弾だ。先代は2016年秋のe-POWER追加を機に、デビューから4年以上も経過して初めて国内販売1位を獲得するというシンデレラ・ストーリー(?)を演じた。そんなノートだから日産の国内復権の象徴としてはもちろんのこと、もっと生々しく、国内市場で実台数をバンバン稼ぐ即戦力としても期待される。
新型ノートのトピックは大きく3つある。ひとつめはパワートレインがe-POWERに一本化されたことだ。日本市場がいかにハイブリッド王国といっても、このクラスでは低価格も重要。あえてe-POWERのみに“選択と集中”をして本体価格が全車200万円超となった新型は、それなりの英断だったと想像される。

2つめはプロパイロットだ。プロパイロット自体は今やめずらしくないが、新型ノートのそれは、ハンズオフ可能なプロパイロット2.0よりは機能が落ちるが、従来型(1.0)にナビ情報を絡めた「プロパイロット1.5」ともいうべき初投入バージョン。センサーやカメラによる自前情報にナビ情報を融合することで、より滑らかな半自動運転が可能になったという。

最後が基本骨格の格上げである。新型ノートのプラットフォームは先日上陸した5代目ルーテシアと共通の「CMF-B」である。先代ノートはAセグメント用というべき日産純正「Vプラットフォーム」を拡幅して使っていた。その意味では、完全なBセグメント設計で、さらに上をうかがうことも想定したCMF-Bは、骨格から1クラス上がっているといっても過言ではないのだ。

今回はクローズド・コースでの短時間試乗にとどまったので、あまり断定的なことはいえないが、骨格設計の底上げは走り出してすぐに気づく。先代比でロードノイズが絶対的に小さいだけでなく雑味めいた粗さも減っているし、ステアリング反応が圧倒的に正確になった。e-POWERの源流となるエンジンは1.2リッターのままながら、エンジン音がおとなしくなったように思えたのは、クルマ本体の静粛対策に加えて“ロードノイズの高まるスキをついてエンジン発電する”という新制御によるところも大きいとか。これ自体はAI(人工知能)とはまた違うんだろうが、このe-POWERのしたたかさといい、前記プロパイロット1.5といい、こんな大衆的なコンパクト・カーですらこれだけ高い性能を有するのか……と、キャブレター時代(笑)を知る中高年はもはや唖然とするほかない。


文=佐野弘宗 写真=ENGINE編集部
(ENGINE2021年2・3月合併号)
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