マツダが新しい価値の創造を目指して2020年に導入したコンパクトSUV、MX-30に電気自動車仕様(EV)が追加された。マツダが量産電気自動車の販売を手掛けるのは今回が初めてだ。
プラットフォームは駆動用バッテリー・ケースを骨格の一部として使用するEV専用の設計のものを導入。これにより剛性を高めることで、車両の動きの応答性を向上させるとともに、ロード・ノイズや振動を抑制している。ちなみに、車両重量は先に日本に導入されている2.0リッター直4のマイルド・ハイブリッド車より190kg重い1650kgだ。
パワートレインは水冷式交流同期モーターで、最高出力は145ps(107kW)、最大トルクは270Nmを発生し、前輪を駆動する。駆動用のリチウムイオン・バッテリーの容量は35.5kWhで、一充電走行距離はWLTCモードで256km。これは日常における実用的な使用環境を考慮して決定されたスペックだという。
マツダ独自のシャシー制御技術である「G-ベクタリングコントロール(GVC)」は、EV用の「エレクトリックGVCプラス」となった。GVCは操舵とトルク制御の協調により操縦安定性を高めるデバイスだが、トルクをエンジンより緻密にコントロールできる電気モーターの特性を生かし、シームレスな車両挙動を実現したとしている。
操作系は、エンジン車から乗り換えても違和感なく、運転を楽しめることを目指した。アクセレレーターは人間の感覚に合うトルク・コントロールを追求。ブレーキはペダルの操作量から必要と判断した制動力を可能な限り回生ブレーキで出しつつ、不足分を摩擦ブレーキで補うような制御にしている。
ステアリング・ホイールにはパドルが設置され、Dレンジを基準に上下2段階ずつ設定された加減速度のレベルを選択することで、変速感覚を得られる。さらに、モーターの作動状況に同期した人工音で、発生トルクの状態を認知できる機構も搭載した。
グレード展開は装備の異なる3タイプで、モーターをはじめ走りの機能に差はない。価格は451〜495万円。
文=関 耕一郎
(ENGINEWEBオリジナル)
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