時計ジャーナリストが選ぶ"これぞ"の1本! コロナ禍の影響で時計フェアは軒並み中止になったものの、魅力的な新作が数多く発表された2020年。その中から時計ジャーナリストが選んだ"本気で欲しい!"と感じた傑作モデルとは?
本誌の2020年時計予測では、大晦日に訪れた落成直後の新国立競技場の前で、国産時計の新たなレガシーについて考えた。誰もがそうだけれど、まさかこんな1年になるとは夢にも思わなかっただろう。それでも時は進み続ける。秋にはグランドセイコー60周年を迎えて新設されたグランドセイコースタジオ 雫石を訪れた。
奇しくも設計は、新国立競技場も手がけた建築家の隈 研吾氏。なんだかデジャブーのようだ。この新たな製造拠点で作られているのが、約22年振りにフルモデルチェンジしたグランドセイコーの自動巻き式キャリバー9SA5だ。10振動の高精度に、80時間の長持続を併せ持つ。けっしてスペック偏重主義ではないが、組み立て担当者の「気持ちよく精度が出る」という話から真価が伝わる。しかも週末の間、外しても正確に動き続けるのだ。これを搭載したステンレススティール仕様こそ現代の最高峰の実用時計だろう。
スマートウォッチの時代、機械式時計にとって実用性とは何か。このグランドセイコーの新作は、かつてクオーツの台頭時、スイスが導き出したその意義を踏まえつつ、新たな次元で国産ならではの品格と矜持を添える。2020年を記憶に止めるためにも手に入れたい、価値ある1本だ。
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