2021.03.22

CARS

パガーニの最新作は、約4億円のロードスター

イタリアのスーパースポーツカー・メーカー、パガーニ・アウトモビリの最新作「ウアイラ・ロードスターBC」が、輸入元であるスカイ・グループによって日本で公開された。


限定40台も、残念ながらすでに完売

現在パガーニの製品は、そのすべてが限定車となっており、ロードスターBCもまた40台に生産数は限られ、残念ながら、すでにソールド・アウトの状態。100台限定だったベース・モデルの「ウアイラ・ロードスター」も同様に新車のストックはない。


ならばこの発表会の目的は何なのか。それはパガーニというブランドの存在と、クルマ作りの哲学を、再度日本のカスタマーに訴求すること以外にはありえないのではないか。あるいは近くパガーニから、何らかのニューモデルが発表される序章であるのかもしれない。


今回お披露目されたウアイラ・ロードスターBCは、ウアイラ・ロードスターをベースに製作された高性能軽量バージョン。BCは、1990年代終盤にパガーニにとって初のカスタマーとなったベニー・ケイオラ氏のイニシャルを表している。ちなみに、ウライアはケチュア語で風を意味する言葉であるとされる。以前発売されたクローズド・モデルのウアイラBCは20台の限定生産車であったから、40台というロードスターBCの生産台数は、パガーニにとってはかなり大きなものであると同時に、世界からそれが強く求められていたことを物語っている、


ダウンフォースは280km/h時に500kg

ウアイラ・ロードスターBCのスタイリングは、もちろん最新の、そして世界最高峰のエアロダイナミクスを意識したものだ。オンロードとレース・トラックのどちらでもドライブを楽しめるよう十分な最低地上高を確保しながら、ダウンフォースは280km/h時に500kgが生み出される。モノコックは、もちろんカーボンファイバーとカーボンチタンによる軽量かつ高剛性なもので、従来までのものと比較して、曲げ剛性で20%、捻じり剛性では12%の向上を得ることになった。前後のサスペンションにはボッシュ社の電子制御技術が採用されているという。


800ps/1050Nmの6リッターV12を搭載

リア・ミドシップに搭載されるエンジンは、ドイツのメルセデスAMG社から供給を受ける、6.0リッターのV型12気筒ツインターボをベースとしたもの。最高出力/最大トルクは、それぞれ800ps/1050Nm以上。こちらにもボッシュの電子制御システムが導入され、動力性能のみならず、アメリカ・カリフォルニア州の規制を含む排出ガス規制をクリアする。ミッションはXtrac製の7段シーケンシャルだ。


今回改めて実車のパガーニを見て、パガーニのクルマづくりには一切の妥協がないことを確信した。例えば無数に使われるビスも、最も小さなミリ単位のものにまで、パガーニの文字が彫り込まれていたり、パガーニ・デザインの基調である楕円のモチーフを各部に徹底して使ったりという具合にだ。ちなみに完売している現在においては何の意味もないが、このウアイラ・ロードスターBCの価格は308万5000ユーロ(約3億9488万円)。


かのレオナルド・ダ・ヴィンチの芸術と科学の基礎概念に基づき設計されたという究極のスーパースポーツ・オープン。それだけの価値は十分にあると評価してよいだろう。同時にデザイナーであるオラチオ・パガーニが考えているであろう次作のデザインに、早くも大きな興味が湧いてきた。


文=山崎元裕


(ENGINEWEBオリジナル)

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