世界で初めてレベル3自動運転システムの認可を受けた市販車となったホンダの新型レジェンド。これまでの自動運転技術とは何が決定的に違うのか?
レジェンドに世界で初めて「自動運転レベル3」の公的な認可を受けたグレードが追加された。あまり知られていないものの、レベル3で自動運転している時は、携帯電話OK。TVを見ていてもOK。もちろんよそ見など全く問題無し! もし事故を起こしてもドライバーに責任無し。車両を作ったメーカーか、相手の責任となる。信じられないですか?
この内容、ジュネーヴ条約で決められていることなので、私の空想や暴走解釈ではありません。もう少し具体的に書くと、インパネの表示がレベル3の自動運転モード中(他車から見ると前後にブルーのライトが点灯。警察もこのライトの有無で携帯電話などを取り締まる)となっている時に限る。残念ながら常時レベル3とはならない。
どういった時にレベル3運転が出来るか。条件は(1)高速道路であること。(2)精密地図のある区間であること。(3)先行車がいること。(4)車速30km/h以下であること(30km/h以下でセットすれば上限50km/hまで稼働する)の4点。すなわち高速道路の渋滞時をイメージしている。だからこそ正式名称は「トラフィックジャムパイロット」です。
素晴らしく有り難い機能だということは、クルマ通の読者諸兄なら十分理解していただけると思う。高速道路の渋滞ほどイヤな“仕事”は無い。レジェンドなら50km/h以下の渋滞であれば停止&発進まで含め、全て自動で運転してくれるのだった。その間、TVを見たり映画を見たりしても合法。やがて50km/h以上までカバーしてくれるようになる?
ここまで読んで「テスラはとっくにそんなことできる」と思う人もいるだろう。確かにテスラも同じようなことが可能。けれど安全に対する援護無し。レジェンドの場合、ドライバーが居眠りしている際、何か問題が出たとする。するとすぐ警報を出し、運転を代わるよう促される。居眠りなどで15秒以上運転出来なければ、徐々に速度を落とし自動停車します。
車内のカメラで常時ドライバーの目線をチェックしており、15秒でドライバーが運転しなければ緊急事態と判定するのだった。またカメラなどセンサーは同じ機能を持つタイプが2セット別系統で搭載されており、片側故障したら、もう片側でバックアップするようになっている。2系統持つのはセンサーに限らない。ステアリングなど全て2系統。
テスラでセンサーの問題や弱点が出たとしよう。ドライバーが居眠りしていたら気づかずそのまま突っ込む。実際、そういった事故が多発している。東名道で事故で止まっていたバイクに突っ込み死者を出す痛ましい事故があったけれど、オーナーは自動運転だと信じており、居眠りしてしまったようだ。テスラによれば「運転者の居眠りが悪い」。「事故を無くすにはドライバーのミスをカバーするのが最重要」。この点、技術の歴史と言い換えてもよい。横滑り防止装置や自動ブレーキ、エアバッグもその流れ。テスラはルール無しで全開走行するようなもの。かたやジュネーヴ条約に則った「レベル3」はモータースポーツです。
今回1100万円という価格設定(ただしリースのみ)ながら、膨大な開発コストや100台という少量を考えると「高い」とか「安い」とか評価するような“商品”ではないと思う。そもそも高いと考える人にセールスする気もないだろう。関係者や研究機関、お金持ちのホンダファンで売り切れると。
ということでレベル3を試す日が楽しみ! 未来の始まりだと思う。
文=国沢光宏 写真=本田技研工業
(ENGINE2021年5月号)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
2024.07.20
CARS
クルマは「自由な時間をくれる相棒」という漫才師のオール巨人さん 愛…
PR | 2024.06.28
WATCHES
宇宙のロマンがここにある! 壮大なる宇宙の風景を表現する限定モデル…
2024.07.03
CARS
「プレジデントは愛人です」という俳優の寺島 進さん、43歳で買って…
PR | 2024.07.16
WATCHES
ザ・シチズンの100周年記念限定モデルの文字盤はなんと、藍染和紙!…
2024.06.29
LIFESTYLE
MASERATI GranTurismo × FENDI スタイリ…
PR | 2024.07.16
WATCHES
パテック フィリップは旅時計も超複雑時計も革新・進化を続ける! シ…
advertisement
PR | 2024.07.17
アバルト695の最後の限定車、「695 75°アニヴェルサーリオ」が350台限定で登場
2024.07.20
クルマは「自由な時間をくれる相棒」という漫才師のオール巨人さん 愛車は5リッターV8マニュアルの素敵なBMW Z8
2024.07.03
「プレジデントは愛人です」という俳優の寺島 進さん、43歳で買って17年を共にした愛車が工場入り 動かなくなっても持ち続けるという言葉がジンとくる
2024.07.10
500馬力のスーパースポーツよりマツダ・ロードスターのほうが上の理由とは? モータージャーナリストの斎藤慎輔がズバリ指摘するND型ロードスターの魅力
2024.07.18
アウディA4がフルモデルチェンジ A5に改名した理由や、一新された外観や進化した中身を解説