1989年の創業以来、常に新たな技術や価値の提供に挑戦してきたというレクサス。今後新たにブランド改革を行うことで、世界的に多様化するニーズやユーザーのライフスタイルに寄り添ったクルマづくりを、さらに加速させるという。
大きな柱は電動化の拡充だ。脱炭素の気運が上がり、世界各国がにわかに内燃機関のタイムリミットを打ち出すなど、自動車業界には100年に1度と言われる大変革期が訪れている。それにともない、ユーザーの電動車へのニーズも従来以上に高まりつつある。
他のメーカーと比べると電動化への対応が早かったレクサスは現在、世界約90の国と地域で9車種のハイブリッドとEVを展開している。2020年末までに販売した電動モデルの累計台数は約193万台。ブランド累計1000万台を達成した19年2月における電動車の販売台数は145万台超だったから、この1年弱で50万台近く上積みしたことになる。
レクサスはその流れをさらに加速させる。2025年までに導入する約20車種の新型車や改良モデルのうち、10モデル以上、つまりその半分以上がEV、PHV、ハイブリッドのニューモデルになる予定だ。さらに、2025年には全車種に電動車仕様を設定し、販売比率で電動車が内燃エンジンのみのクルマを上回ることを目指すという。
その新モデル群にも用いられるであろう新技術のショーケースとなるのが、今回発表されたコンセプト・カーの「LF-Zエレクトリファイド」だ。EV専用のハードウェアや制御システムはもちろん、カーシェアや非接触での宅配受け取りにも対応するデジタル・キーのような、クルマの使い方の多様化を見据えた技術も提案している。
また、レクサスは2050年までに材料製造から廃棄・リサイクルまで含めたライフサイクル全体でのカーボン・ニュートラルを目指しているが、電動化は必然的に素材調達や廃棄における環境負荷の大きいバッテリーの使用量増加を伴う。電動化を推し進めるとなれば、その対策も大きな課題となるだろう。
そうした技術や商品の企画・開発を強化するべく、2024年3月には新たな事業拠点を開設する。愛知県豊田市のトヨタ・テクニカルセンター下山に置かれるそれは、開発やデザイン、企画、生産技術の各部門を集約したレクサス棟と、社外パートナーとの協業を行うメッセ棟を併設。敷地内のテスト施設は、2019年に開設され、新型ISの開発にも活用された高低差約75m、全長約5.3kmのカントリー路に加え、約10種類のコースを新設する予定だ。なお、この建設においても、周辺の自然環境の保全に最大限の配慮がなされるという。
電動化を推進し、体制強化も図るレクサスは今後、ショーファードリブンの新しいあり方や、新ジャンルの開拓にも力を入れていくという。いっぽうで、運転の自動化が進むなかでも、スポーツ・モデルでクルマを操る楽しさを提供し続けるとも述べている。時代の変化に合わせつつ、旧来の価値観も満足させるクルマづくり、その可能性をぜひとも示してもらいたい。
文=関 耕一郎
(ENGINEWEBオリジナル)
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