クルマ好きのゲストを迎え、「これまでに出会ったクルマの中で、人生を変えるような衝撃をもたらしてくれた1台」を聞くシリーズ。今回は、趣味のレースやドライブはもとより、自らの楽曲に数多くのクルマが登場するほど、クルマには深い思いがあるクレイジーケンバンドの横山 剣さん。なかでも最も印象深いクルマは映画『男と女』のあのクルマ。元町を疾走するビッグ・ヒーレー横浜・元町を前にした交差点で信号待ちをしていると、左からドゥロロロロ……という太い排気音を響かせながら、黒いオースチン・ヒーレーが現れた。右のリア・フェンダーがキラリと光ったと思ったら、交差点を左折、つるんとしたヒップを見せながら山手トンネルへ向かって走って行った。突然現れた英国の旧車は明らかに周りの風景から浮き立っていた。これから取材する横山 剣さんのビッグ・ヒーレーに違いない。なんてカッコイイんだろう!その漆黒のビッグ・ヒーレーは古びたビルのガレージに収まっていた。ガレージの内壁にはグラフィティ・アートが描かれ、ビッグ・ヒーレーの隣には純白のヒーレー・スプライトが並んでいる。奥にはバイクも収まっていて、まさに大人の秘密基地といった印象だ。2台のヒーレーのオーナーはクレイジーケンバンドを率いる横山 剣さん。自他共に認めるクルマ好きである。
「6歳のときに観た映画“グラン・プリ”がモータースポーツと4輪への最初の憧れですね。小学校の頃は朝、インディのレースや“サンセット77”などのドラマをテレビで観てから学校へ行ってました。父も船橋や鈴鹿のサーキットに連れて行ってくれて、クルマやレースはカッコイイなあと思っていました」 お小遣いが溜まると、カーショップでSTPやエッソなどのステッカーを買いあさっていたという。いきなり乗ったフルサイズのアメ車18歳で免許を取り、最初に買ったのはオールズモービル・カトラス。「レースのベース車両として日産サニー・クーペもほぼ同時に買いました。自家用はカトラスだったんですけど、7.5リッターの税金が13万弱もしてきつかった。5.7リッターのカトラス・サロン・クーペに乗り換えました。そのあと、カトラス422へと続きます。キャデラックやシボレーより有名じゃない分、渋い感じでいいかな? と」買ってしばらくして、右ドアを擦ったという。「アメ車をベコベコにしたまま乗るのは、映画みたいでアリかな? と、そのままワイルドな感じで乗ってました。いきなりフルサイズに乗ったおかげで車幅感覚は培われました」
大排気量アメリカンの次は空冷のフォルクスワーゲン・タイプIII。「中古車屋で一目惚れです。懐かしく思いながらも、こんなにカッコよかったんだと。いまでもそうですけど、クルマ選びの基本は見た目にグッと来るかどうか。パンチが物足りなかったら改造すればいいと思ってました。タイプIIIもVW専門店のフラット4でチューンして、ものすごく速かったです」その後も40台近くのクルマを乗り継いできた横山さん。代表的なものに絞って話を続けてもらった。
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