2021.07.22

CARS

ポルシェのチューニングの凄さがわかる 630馬力のターボSと480馬力のGTS、2台のパナメーラを比較試乗!

マイナーチェンジしたパナメーラのGTSが上陸したのを機に、先に登場していたターボSと乗り比べてみた。試乗にのぞんだのはモータージャーナリストの島下泰久氏とエンジン編集部の村上、塩澤、荒井の3名。乗ってわかった驚きの違いとは?

赤と青、乗り味も対照的

村上 今回はフェイスリフトした2台のパナメーラです。少し前にターボSは上陸していたんだけど本誌では初出。今回新たにGTSが上陸したので、改めて2台揃えて乗ってみることにした。赤と青。色も対照的だったけれど、乗ってみると乗り味もまったく対照的なのにビックリした。GTSはなんでこんなにスポーティなのっていうくらいスポーティな味付けで、一方のターボSはといえば、メルセデスSクラスもかくやというくらいのラグジュアリー感があった。

島下 この作り分けは見事でしたね。先代のターボSはプラグイン・ハイブリッドしかなかったのを、今回はこの内燃機関オンリーのものを加えて両方を出してきた。ポルシェが力を注ぎ込んで一番イイモノをつくったらこんなものができるんだということを誇示するかのように、ラグジュアリー性最高、パフォーマンス最高のものを出してきた感があります。



サーキットを走りたい

荒井 GTSの方は、どうしてこういう性格のものが必要なの?

村上 パナメーラでもサーキットを走りたいという人がいるんだよ。

島下 たとえサーキットまで行かないにしても、普段のドライブフィールとしてポルシェであることを実感できるものに乗りたい。いろいろな事情で911には乗れないけれど、911みたいなポルシェに乗りたいという人のためのモデル。僕はどちらかというと、先代のパナメーラは全体がこっちよりのクルマだったと思っているんです。タイトなスポーツカーみたいな4ドア・サルーン。後席があるのを忘れて山道を飛ばせるようなクルマだった。それが現行型ではラグジュアリーな方に寄せてきたんだけど、GTSだけはこうして従来のテイストで残したという。

塩澤 キャラクターをハッキリと分けてきたわけね。

島下 今回のGTSには後輪操舵のオプションがついていなかったことも、よりタイト感があって、自分で曲げるといういかにもポルシェらしい感じを醸しだす原因になっていたと思う。ターボSの方には標準で後輪操舵がついていますからね。

塩澤 4枚ドアがついている911頂戴という人はGTSだ。

乗り味の違い同様、まったく同じデザインでも異なるテイストで仕上げられたインテリア。右のGTSはブラックのレザーとアルカンターラを組み合わせた上にボディ同色のステッチを施して、スポーツ志向を前面に打ち出している。一方のターボSはといえば、ホワイト・レザーのコンフォート・シートを装備するなど、ゴージャスなサルーン仕様となっていた。





島下 そうそう。一番イイモノ持って来いという人はターボS。同じ4リッターV8ツインターボで、ターボSは630ps、GTSは480psというくらい明確にパワーまで差別化している。その代わり、GTSのターボチャージャーは小さくてレスポンスのイイモノにしているんだと思うんです。だから踏み始めた瞬間から自然吸気エンジンのようにパワーがついてくる。一方のターボSでは多少のラグはあってもいいからドッカーンとパワーが炸裂するような設定。

Sクラスかパナメーラか

村上 このあいだ新型メルセデスSクラスが出て、あれはラグジュアリーの粋を究めたような乗り味のクルマだったけれど、それが山道を走らせてみると物凄くスポーティで呆気にとられた。それとは逆に、このターボSはパフォーマンス的に言えば630psの超スポーティなクルマなのに、フツーに乗っている分にはラグジュアリーな部分も持っている。そのサジ加減がどちらも絶妙で、私は最近乗った4ドア・サルーンの中ではこの2台が突出して凄いと思った。ちょっと比較テストをやってみたいくらいだよね。



島下 Sクラスに大きなエンジンのAMGでも出たら比べてみたいですね。今やるならAMG・GTの4ドア・クーペということになるんでしょうか。あれはまさにパナメーラに対抗して出してきたクルマですから。

塩澤 メルセデスAMGはずっとポルシェ911の客を奪いたいと考えてきて2ドアのGTを出したけれどうまくいかなかった。それなのにポルシェは4ドアのパナメーラを出してAMGの客を奪いにきた。奪えなかったのに奪われてどうするんだ、となってGTの4ドアを出して対抗してきたという構図でしょ。同じ土俵で激しく争っている。





村上 なるほど。でも、その激しい争いのおかげで、結果として新型Sクラスにしても、このパナメーラ・ターボSにしても、こんなにイイモノが出てきて、我々はそれを享受できるんだから、こんなに有難いことはないよね。お金さえあったらどっちにしようかというくらい、Sクラスもパナメーラも素晴らしいクルマ。

島下 両方買っちゃったっていい。

絶妙なサジ加減

村上 それはともかく、この大きさのクルマに乗ると、後輪操舵は必要だと思うよね。全然ラクだもの。

島下 狭い道に行くと、あって良かったと思いますよね。でも、そういうラクなのとかいいんで、という人がGTSを買う。僕、自分で曲げるから、というスポーツ派。

荒井 でも、911じゃなくて4ドアのこの大きさのクルマじゃなきゃダメなんでしょ。



島下 そりゃ、奥さんの了解がもらえませんからね。マンションに住んでいると絶対的に駐車場の数が限られる。1台で趣味と実用がまかなえるクルマでなければならない。

村上 さっきはSクラスとの比較でラグジュアリーとスポーツのサジ加減が絶妙だと言ったけれど、そもそも、このGTSとターボSが、そのサジ加減の違いによって、こんなに性格の違ったクルマになるというのが驚きだよね。まったく同じクルマなのに全然違う乗り味になっている。

島下 それでいてどっちも間違いなくポルシェ、というのが凄い。

荒井 ポルシェというのはチューニングが凄いんだよ、と斎藤前副編がいつも言っていたのを思い出したな。

話す人=島下泰久+村上 政(まとめも、以下ENGINE編集部)+塩澤則浩+荒井寿彦 写真=柏田芳敬

■パナメーラ・ターボS 
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 5049×1937×1427mm
ホイールベース 2950mm
車両重量 2190kg(前軸1150kg:後軸1040kg)
エンジン形式 直噴水平V型8気筒DOHCツインターボ
排気量 3996cc
ボア×ストローク 86.0×86.0mm
最高出力 630ps/6000rpm
最大トルク 820Nm/2300-4500rpm
トランスミッション デュアルクラッチ式8段自動MT(PDK)
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エア・スプリング
サスペンション(後) マルチリンク/エア・スプリング
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前) 275/35ZR21
(後) 325/30ZR21
車両本体価格(税込み) 2882万円

■パナメーラGTS 
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 5053×1937×1417mm
ホイールベース 2950mm
車両重量 2100kg(前軸1120kg:後軸980kg)
エンジン形式 直噴水平V型8気筒DOHCツインターボ
排気量 3996cc
ボア×ストローク 86.0×86.0mm
最高出力 480ps/6500rpm
最大トルク 620Nm/1800-4000rpm
トランスミッション デュアルクラッチ式8段自動MT(PDK)
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エア・スプリング
サスペンション(後) マルチリンク/エア・スプリング
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前) 275/40ZR20
(後) 315/35ZR20
車両本体価格(税込み) 1949万円

(ENGINE2021年7月号)

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