2021.08.09

CARS

アストン初の本格量産ミドシップ・スポーツ、ヴァルハラは950psのPHEVハイパー・スポーツ

2019年のジュネーブ・モーターショーで世界初公開されたアストン・マーティンの新しいミドシップ・スポーツカー、「ヴァルハラ」の進捗状況が明らかになった。今回発表されたモデルは量産型とは銘打たれていないものの、コンセプト・カー然としていたジュネーブ・ショーでの展示車と比べると各部が煮詰められていて、かなり量産仕様に近いものと思われる。

レーシングカーを彷彿させるスタイリング

かつてのグループCカーを思わせるボディはショーのときに「AM-RB 003」という車名で展示されていた初期モデルと比べると、ディテールが市販車に近い形状に刷新されているだけでなく、ボンネットをはじめとするフロントまわり、サイドパネル、ディフューザーを含むリアまわりのデザインを変更。「AM-RB003」というよりも、同じジュネーブ・ショーで発表された「ヴァンキッシュ・ヴィジョン・コンセプト」と呼ばれるもう1台のコンセプト・カーに近い意匠になった。





外皮にはカーボンを多用

外板パネルには主にカーボン素材を使用。前後に備わる可変型空力付加物(アクティブ・エアロ)と、気流を最適化するアンダー・ボディにより強力なダウンフォースを発生させる。また、エグゾースト・パイプは上方排気が取り入れられた。

前方跳ね上げ式のディヘドラル・ドアから乗り込む室内は、フットウェル(足先)より着座位置が低いF1マシンのようなポジションを採用。シートは固定式で、ポジションはペダルとステアリングコラムで合わせる。ハンドル位置は左と右のいずれもが選択可能だ。室内の写真は公開されなかったが、レース・カーもかくやという仕立てながら、2ゾーン・エアコンやタッチ画面式のインフォテインメント・システム、スマートフォンのミラーリング機能などの快適装備も備える。ハイビーム・アシストとアダプティブ機能を持つLED式ヘッドライト、各種ADAS(運転支援装備)などの安全デバイスも充実させているという。





自社製からAMGユニットに変更

ショーで発表されたモデルと比べて一番異なるのはエンジンだろう。当初予定された自社製V6ツインターボではなく、メルセデスAMG製のフラット・プレーンのクランクシャフトを持つV8ツインターボが採用された。出力は750ps/7200rpm。これに電気モーターを前後アクスルに1基ずつ計2基のモーターを装着したプラグイン・ハイブリッド(PHEV)、モーター2基合計の出力は204ps、システム全体では950psに達する。乾燥重量の目標値は1550kg未満で、0-100km/h加速タイムは2.5秒、最高速度は330km/hに達するという。前輪用モーターのみで行われるEV走行の航続距離は15km、最高速度は130km/hだ。また、e-リバースと呼ばれる、後退をモーターで行うヴァルキリー同様の機構を採用しているため、新設計のデュアルクラッチ式8段自動MTはバックギアを備えていない。

フレームはカーボン製のバスタブ・タイプで。サスペンションは、フロントがバネ下重量を軽減するプッシュロッド式、リアがマルチリンク式を採用。車高と減衰力の調整が可能で、低速時にフロント・ノーズを上げるリフト機構も備わる。

開発にはF1ドライバーのセバスチャン・ベッテルらも参加したヴァルハラは、ニュルブルクリンクで6分30秒のラップタイムを刻む目標を掲げながら、日常使いにも耐えうるスーパースポーツとして開発が進められる。生産台数は500台の予定。ヴァルキリーの150台よりは多いとはいえ、かなり限定された数字だ。

発売時期は明言されていない。ジュネーブ・ショーの公開時にアナウンスされた2021年後半発売予定から考えると遅れている感は否めないものの、公道デビューに向け大きく歩を進めているのは間違いないようだ。









文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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