2021.08.13

CARS

ついに上陸した新型シボレー・コルベットでロング・ドライブ! グランドツアラーとしても最高!

FRからリア・ミドシップへと大変身した新型シボレー・コルベットがニッポン上陸!
760kmのロング・ドライブで知る変わったものと変わらないもの。

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コルベット初の右ハンドル

「あっ! 軽い!」

新型シボレー・コルベットを東京・品川のゼネラル・モーターズ・ジャパンで借り出し、走り始めて最初に思ったのが、身の軽さだった。

スロットル・レスポンス、ステアリング・フィール、操舵によるクルマの動きなど、入力に対しての反応が軽い。リア・ミドシップになり、フロントが軽くなったことは、乗り味に大きな影響を与えているようだ。

もうひとつ、市街地における乗り心地の良さにも感心した。日本仕様はZ51パッケージが標準で、強化されたコイル&ダンパーや電子制御LSDを備えている。脚が硬く、フロント245/35ZR19、リア305/30ZR20という極太タイヤを履いているにもかかわらず、乗り心地がいい。しなやかに路面を追従し、荒れた路面でも不快な突き上げは感じなかった。

コルベット初となる右ハンドル仕様だが、ドライビング・ポジションに違和感はない。これは相当期待できそうだ。翌日の本格的な取材を楽しみに新潮社駐車場にコルベットを停めた。



裏磐梯へ

ところが、取材日は関東地方各地に大雨注意報が出て、箱根ターンパイクなどは通行止め。コルベットの助手席に茂呂カメラマンを乗せて、雨予報の出ていない裏磐梯を目指したのである。いきなり感心したのは荷室。フロントとリア2か所にあり、なんと茂呂カメラマンの機材を飲み込んだのである。

ドシャ降りのなか、首都高速5号線から東北道へ入る。ヘッドレストの後ろのガラス1枚隔てた向こうには、6.2リッターV8が縦置きされているわけだが、車内は驚くほど静かだ。8段デュアル・クラッチ・トランスミッションの制御は絶妙で、追い越し加速をするようなときでもパドル操作の必要を感じさせない。

ウェット路面でもコルベットの直進安定性は高く、きわめてラクチンに北を目指す。8速の100km/h巡航は1300rpmである。

「静かですね。ところで、どうしてミドシップにしたんですか?」

助手席の茂呂カメラマンが聞く。

大きな理由はル・マン24時間レースのGTプロ・カテゴリーなど、レーシング・フィールドで戦闘力を上げるためだろう。8月に延期されたル・マン24時間レースに初参戦するレーシング・モデル、コルベットC8Rに期待したい。

コクピットはドライバー・オリエンテッドの考え方が貫かれている。右ハンドル仕様のペダル・レイアウトに違和感はない。

テスト車は3LTというグレードでバケット・シートを備えていた。掛け心地、ホールド性ともに抜群だった。

フロントにも荷室があり、前後合わせて350リッター。

未来的なコクピット

福島県に入ると雨はすっかり上がり、檜原湖近くの駐車場に停めたころには、薄日も差してきた。

水色が鮮やかなコルベットをあらためて観察する。

ミドシップらしいキャビン・フォワードのスタイリングは、明らかに従来のモデルとは一線を画し、スーパーカーのような雰囲気を醸し出している。特にリア周りのボリュームは圧巻だ。ワイド&ローを強調していてカッコイイ。

巨大なリアハッチを開けると、伝統の自然吸気6.2リッターV8 OHVエンジンが鎮座している。OHVに拘る理由は重心を低くするためで、ドライサンプ・オイル・システムを採用、サーキットにおける潤滑性能が高められている。

内装は外観以上に変わった。ドライバーをぐるりと囲むコクピットは未来的だ。天地の削げたステアリング・ホイールはもはや四角いと言っていい。ダッシュボード中央のモニター画面や、センター・スタックにズラリと並べられた空調等のスイッチもドライバー側に傾斜していて、助手席に座ると疎外感さえ覚えるほどだ。大胆な未来的デザインなのに、子供っぽく感じないのは品質が先代と比べて大幅に向上しているからだろう。バケット・シートの出来の良さには「コルベット、オマエもとうとうここまで来たか!」と思った。

リア・ミドに搭載されるエンジンは自然吸気6.2リッターV8 OHVと伝統を継承する。ドライサンプ・オイル・システムを採用し、サーキットにおける潤滑性能が高められている。自社開発の8段DCTが組み合わされる。

ルーフ・パネルが脱着式なのはコルベットの伝統。リア・トランクに外したルーフを収納することができる。リア・トランクはゴルフバッグが収納できるぐらい大きい。

重心が低い

6.2リッターV8に火を入れ裏磐梯のワインディングを攻めることにした。

ドライビング・モードは「悪天候」、「ツーリング」、「スポーツ」、「レース&トラック」の4種類。「スポーツ」を選ぶとデジタル・メーターの表示が変わり、排気音が大きくなる。

最高出力502ps、最大トルク637Nmを発生する6.2リッターV8のスタート・ダッシュはすさまじい。背中からぐっと押されるような感じだ。レヴ・カウンターの針と加速感がシンクロする自然吸気V8のフィーリングがたまらない。

ミドシップ化により先代からガラリと変わったシャシーの剛性は高く、めちゃくちゃ速いけれど、重心が低いせいか、とても安定している。0-100km/h加速2.9秒というパフォーマンスを持っているのに、いい意味でドキドキしない。FRコルベットが持っていた豪放磊落な印象は薄くなったようだ。



重心の低さはコーナリングにも効果絶大だった。ミドシップだから、クイッとシャープに鼻を向けるのかと想像していたら、操舵に対しての反応はとても自然だ。かなりのスピードで旋回しているはずなのに、そう感じさせない。運転が上手くなったと思わせてくれるクルマだ。

タイト・コーナーでも姿勢は安定している。リーフ・スプリングからコイルに変更されたリア・サスペンションは、後輪をしっかりと路面に貼り付け、不安を感じさせない。戦闘力はポルシェ911に匹敵するかもしれないと思った。

帰路はボーズ・オーディオを楽しんだ。14のスピーカーによる音の再現は素晴らしい。お気に入りの音楽をかけ、高速巡航していると、コルベットだけが持つ自由でおおらかな雰囲気に包まれる。V8のフィーリングがそうさせるのだろうか? どんなにコーナリング性能が上がっても、血統は変わっていないことが嬉しかった。



この日の走行距離は760km。ドライブ・コンピューターによる燃費は8.6kmリッターだった。ちなみにエンジン負荷がかからない状況ではV4になる気筒休止システムを備えているが、メーター内のV4表示を確認したのは2回だけだった。

朝の5時からほとんど1日中、走りづめだったのに疲労はほとんど感じなかった。戦闘力に磨きのかかった新型コルベットは、最高のグランドツアラーでもあったのである。

文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正

■シボレー・コルベット
駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4630×1940×1220mm
ホイールベース 2725mm
車両重量 1670kg
エンジン形式 V型8気筒OHV
総排気量 6153cc
最高出力 502ps/6450rpm
最大トルク 637Nm/5150rpm
変速機 8段自動MT
サスペンション前&後 ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ前&後 通気冷却式ディスク
タイヤ前/後 245/35ZR19/305/30ZR20
車両本体価格 1180万円~

(ENGINE2021年9・10月号)

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