2021.09.03

CARS

なぜジープばかりが売れるのか? 新型ジープ・コンパスに乗ってわかったジープの魅力とは

新型ジープ・コンパスの試乗会が東京のホテルで開かれた。イッキにモダンになった内装を持つ一方、よく出来た実用車であることに変わりはなかった。

価格はほぼ据え置き


コンパクト・ジープのコンパスがマイナーチェンジを受けた。見直されたのはエクステリアとインテリアである。2.4リッター直4エンジンには手が加えられていない。FFとオンデマンド4WDの2車種があり、FFは6段AT、4WDは9段ATが組み合わされるというのも従来通りである。

で、のっけから値段の話で恐縮だが、FFのスポーツが346万円、ロンジチュードが385万円、4WDのリミテッドが435万円。従来型から1万円~10万円の価格上昇に抑えられている。

新たにフロント・グリルの下に車幅一杯に広がるスリットを設けたというが、パッと見は先代とそんなに変わらない。ジープと言ってもドロ臭い感じがなく、スマートな印象だ。それゆえ、試乗会の基地となったホテルのエントランスが似合う。







あらま、全然違うじゃん! と驚いたのは、ドアを開けたとき。インテリアが先代モデルより格段にカッコイイのである。いやあ、内装ってこんなにクルマの雰囲気を変えるのか! 新型ジープ・コンパスのインテリアはとてもモダンで、車格さえ上げたように感じた。

今年日本に導入される予定の新型ジープ・グランドチェロキーと同じ意匠で、水平基調のダッシュボードの中央には大型モニターが備わり、全体としてクリーンなデザインである。

試乗車は4WDのリミテッド。市街地と首都高速を走った。

コンパクトなボディに加えて、アイ・ポイントが高いのでとても運転しやすい。都内をチョコチョコ走るなら、やはりこのサイズがいい。2.4リッター直4(175ps、229Nm)実用域のトルクが厚く1600kgのボディを軽快に走らせる。ここのところ、直4はターボばかり乗っているので、エンジンのフィーリングがナチュラルで嬉しい。

ダッシュボード中央に大型タッチ・スクリーンを備える。

ダッシュボード中央に大型タッチ・スクリーンを備える。

乗り心地はしなやかだ。驚いたのは静かなこと。コンパスってこんなに静かだったっけ? 遮音などにも手が加えられているのかもしれない。

決してどこかが突出しているわけではないけれど、頼もしい実用車であることは変わっていない。

ジープが売れている

さて、コロナ禍でもジープが売れている。2020年の販売台数は1万4255台で対前年比100.5%だった。メルセデス・ベンツ86.1%、BMW82.3%、アウディ91.0%、VW70.7%と、ことごとく前年割れしているなかでの大健闘である。2021年に入っても、半年間ずっと対前年同月比約20%増で推移している。



遠くへ行けないなら、近くの自然を楽しみたい。できれば公共交通機関を使わずマイ・カーで。そんな人がジープを買っているようだ。輸入車にしては価格も手頃だし、ジープが持っている自由でアクティブなイメージも好感が持てるのだろう。子供や荷物を乗せてキャンプ場に行くのが、これほど似合うクルマもない。

ジープがコロナ禍でも人気を博していることは、“クルマで自慢しようと思ってはいないけれど、移動の自由を楽しみたい”といういまの世の中の雰囲気を表わしているからかもしれない。そんなことを新型ジープ・コンパスに乗って思った。

文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正

(ENGINE2021年9・10月号)

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