2021.11.19

CARS

興味津々! カローラ初のSUV、カローラ・クロスの出来栄えは如何に!?

クーペやハッチバック、ミニバンなど、歴代のカローラには、数多くのボディ・バリエーションが導入されたが、SUVはこのクロスが初めて。今や市場のど真ん中に立つSUVをカローラはどのように料理したのだろうか。自動車ジャーナリストの森口将之がリポートする。

今や海外で先に発表発売されるワールドカーのカローラ


カローラにSUVが追加されたと聞いても、驚く人は少ないだろう。今やロールス・ロイスやベントレーもSUVを用意する時代だし、そもそもカローラはクーペのレビンやミニバンのスパシオなど、兄弟の多い車種だった。姉妹車のスプリンターにカリブという、クロスオーバーのパイオニア的存在があったことを覚えている人もいるだろう。



ただし昔と違うのは、カローラは世界的企業トヨタの屋台骨を支えるグローバル・カーに成長したことだ。それが証拠に、現行モデルはすべてのボディがまず海外で発表されている。カローラ・クロスも2020年7月にタイでお披露目されているから、我が国でのデビューより14ヶ月早い。日本の大衆車がここまで成長したという事実は感慨深いものがある。

プラットフォームは現行カローラのセダンやワゴンの「ツーリング」、ハッチバックの「スポーツ」同様、トヨタの新しいクルマづくりTNGAから生まれた新世代GA-Cを採用しており、ホイールベースは全車2640mmで等しい。この数字は、同じプラットフォームを使うSUVのC-HRとも共通だ。

ボディ・サイズで気になるのは、セダンやツーリングが日本の道路事情に合わせて全長や全幅をダウンサイジングしたのに対し、こちらは海外向けとほぼ同じで、カローラで初めて1・8mを超える全幅を持ち、最近登場したSUVでは背が高めであること。クーペ・ライクなSUVとしてC-HRが存在しているので、差別化を図ったのかもしれない。



インテリアはセダンやツーリングと似た造形。カラーをブラックのみとしたことを含めて、オーセンティックという印象だ。ただしベース価格が200万円未満という低価格から想像するような安っぽさはなく、クオリティは他のカローラと同レベルだった。

パッケージングはキャビンよりもラゲッジスペースに重きを置いている感じで、後席はこのクラスのSUVの平均レベルなのに対し、荷室は5人乗車時で487リッターという数字どおり、かなり広かった。開口部の高さを720mmに抑えるなど、使いやすさにも配慮している。



パワーユニットはセダンやツーリングでもおなじみの1・8リッター直列4気筒ガソリン・エンジンと、これにモーターを組み合わせたハイブリッド・システムがあり、試乗したのは後者のZグレード前輪駆動だった。

実用性を突き詰めている

加速はトヨタのハイブリッド・カーでおなじみの感触。速度と音がリンクしない点は気になるものの、1410kgの重さは苦にせず、ドライブ・モードでエコを選んでも思いどおりに速度を上げていく。巡航時は静かだし、4気筒エンジンなので踏んで回しても音があまり気にならないというメリットもある。

もちろんパワー・モードにすれば高回転をキープし、レスポンスは鋭くなる。EVモードは距離は短いながら電動走行ができるので、早朝のお出かけや深夜帰宅、自然豊かな場所での移動などに好ましい。

乗り心地はかなりまろやかだ。走りを重視したスポーツはもちろん、セダンやツーリングよりマイルドだった。伝統的なカローラ・ユーザーも想定しているのかもしれない。そういえばスロットルやブレーキのペダルタッチも軽めだった。

とはいえコーナーでぐらっとロールしたりはせず、操舵に対する反応は自然で、それを目的に選ぶようなクルマではないものの、カローラらしいまとまりの良さは感じた。



このカローラ・クロスと車格的に近い国産SUVというと、C-HR以外ではホンダ・ヴェゼル、スバルXV、マツダCX-30などが思い浮かぶ。デザインにこだわったクロスオーバーが多く、全高はすべて1・6mを下回っている。

これらに比べれば、カローラ・クロスのスタイリングは台形基調で背が高く、SUVの保守本流といえる。そして走りは前にも書いたように、快適性を大切にしている。趣味性は薄いかもしれないけれど、実用車として押さえるべき部分をしっかり突き詰めている。これもまた典型的なカローラだったのである。

文=森口将之 写真=郡 大二郎

■カローラ・クロス・ハイブリッドZ
駆動方式 フロント横置きエンジン+モーター前輪駆動
全長×全幅×全高 4490×1825×1620mm
ホイールベース 2640mm
トレッド(前/後) 1560/1570mm
車両重量(車検証記載前後軸重) 1410kg(前軸880kg/後軸550kg)
エンジン形式 直列4気筒DOHC16V+モーター
総排気量 1797cc
ボア×ストローク 80.5×88.3mm
エンジン最高出力(モーター) 98ps/5200rpm(72ps/-rpm)
エンジン最大トルク(モーター) 142Nm/3600rpm(163Nm/-rpm)
変速機 遊星ギア式無段変速
サスペンション形式(前/後) ストラット式/トーションビーム式
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 225/50R18 96V
車両価格(税込) 299万円

(ENGINE2021年12月号)

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