2021.11.30

CARS

6.2リッター対660cc キャデラック・エスカレードとスズキ・ジムニー 一番大きいのと一番小さいのを乗り比べ!


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さて、さらなるジムニーの魅力は「ホンモノ感」。基本構造は先代から継承され、つまり、モノコックボディではなくラダーフレームを用いた、本格的クロス・カントリー4WDだ。角ばったデザインは無駄を省いたプロポーションで、見るからに機能性、悪路走破性の高さをアピールしている。室内に乗り込んでも同様に、シンプルで質実剛健といった雰囲気だ。試乗車はマニュアル・トランスミッションだったが、その手前に「副変速機」が誇らしげに構える。先代ではボタン式だったが、4代目でレバー式に戻っている。FRベースで、トランスファーを持つパートタイム4WD。軽自動車でここまで本格的なオフロード性能を持つモデルはなく、ヘヴィデューティーな機能性の高さが窺える。



そんな潔い割り切りも人気の理由なのだろう。2018年に約20年ぶりのフルモデルチェンジを行って以来、高い人気を誇っている。とはいえ、ユーザーのほとんどはオンロード・ユース。やはり日常的な走りの性能も気になる。今回は、高速道路から一般道、ワインディングを走ったが、オンロード性能も先代から進化していた。乗り心地も快適で、やはり下道を走る方が楽しい。オンロードを走る限りにおいては、トランスミッションの多段化やハイブリッド化など、スズキの他モデルですでにある技術の採用があってもいいのでは? と考えなくもないが、スペースや重量、走破性、そしてコストなどのバランスを考えた末の着地点なのだろう。



インフォテイメントも備わる。エスカレードで音楽を聴きノリノリな気分でジムニーに乗り換えると、ブルートゥースを接続しなくてもiPodのメニューがあるから即、BGMが聴けるのは便利だった。

ところで、ジムニー人気は日本国内に留まらない。ボディやエンジンは大きい普通車サイズのシエラとなるが、それでも海外においては十分コンパクトだし、世界的に見てもライバルはいない。新型開発時にはドイツの森林組合にもヒアリングしたという。海外のあちこちでも、このサイズしか入っていけない林道などで、「働くクルマ」として活躍しているのだ。ミニマリズムの体現のようなクルマであり、日本の誇るべき1台、と言っても過言ではないだろう。

大きい代表、小さい代表、それぞれに「唯一無二」の強さが感じられた2台だった。

文=佐藤久実 写真=望月浩彦



■キャデラック・エスカレード・スポーツ
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 5400×2065×1930mm
ホイールベース 3060mm
車両重量 2740kg(車検証)
エンジン形式 V型8気筒OHV
総排気量 6156cc
最高出力 416ps/5800rpm
最大トルク 624Nm/4000rpm
変速機 10段AT
サスペンション (前)ダブルウィッシュボーン/エア、(後)マルチリンク/エア
ブレーキ(前&後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前&後) 275/50R22
車両本体価格 1520万円

■スズキ・ジムニーXC
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 3395×1475×1725mm
ホイールベース 2250mm
車両重量 1030kg(車検証)
エンジン形式 直列3気筒DOHCターボ
総排気量 658cc
最高出力 64ps/6000rpm
最大トルク 96Nm/3500rpm
変速機 5段MT
サスペンション (前)3リンク式リジッド、(後)3リンク式リジッド
ブレーキ(前&後) ディスク/ドラム
タイヤ(前&後) 175/80R16
車両本体価格 177万6500円

(ENGINE2021年12月号)

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