2021.12.26

CARS

ルノーは新しいSUVクーペ、アルカナでプレミアム・ブランドを目指す

先日、先行生産車の試乗記をお届けしたルノー・アルカナは、ルノー・ブランド初のSUVクーペである。ラテン語の「アルカナム(秘密)」を語源とするこのニューカマーをルノーはなぜ考えし、デザインしていったのか。オンラインでプログラムダイレクターのマロリー・ニオックス(Malaury Niox)さんとフランソワ・ロラン(Francois Laurent)さん、デザイナーのポーラ・ファブレガ・アンドルー(Paula Fabregat-Andrew)さんに話を聞いた。

なぜ、SUVクーペなのか?

まず伺ったのは、なぜSUVクーペを作ろうと思ったのか。これに対して、プレミアム・ブランドに振っていきたかったという答えが返ってきた。すでに同種のモデルがジャーマン・プレミアムから登場していることもあり、それ以外のブランドで最初にSUVクーペを出すことにこだわり、開発を進めていったという。



ロシアで先行導入されたモデルとは別モノ

その背景には2021年1月に発表されたルノーの新しい経営戦略「ルノールシオン(Renaulution)」がある。その中で、ルカ・デ・メオCEOが掲げたのが「ボリュームからバリューへ」、つまり量から質への転換であり、その象徴としてルノー5(サンク)の電動化による復活をアナウンスしたことは記憶に新しい。

アルカナは最初にロシアで2019年に発表されたが、今回欧州と日本に導入されるアルカナは、名前は同じでもプラットフォームは異なる。スタイリングも似ているが、欧州や日本で販売されるモデルは95%のパーツが別物であるとのこと。ちなみに、欧州と日本仕様は韓国のルノーサムスンでもXM3という名前で販売されている。

Cセグメントに属するにもかかわらずCMF-Bプラットフォームを使うのは、同じCセグメントのメガーヌも用いているCセグメント用プラットフォームがCMF-Bよりひと世代古いため。CMF-BはADAS(先進運転支援機構)などの充実に有利で、軽量化にも貢献する新世代のを起用したという。(下の赤いクルマが2019年に発表されたロシア市場向けのルノー・アルカナ)



滑らかなルーフとワイドな前後デザインが特徴

デザインではサイドから見たときの滑らかなルーフ・ライン、フロントやリアのワイド感がポイントだと語っていた。シルエットではリア・ゲートやスポイラーまで滑らかな曲線でつなげることに気を配り、フロントはグリルやヘッドランプを横長にしてメガーヌに近づけ、リアはフェンダーのショルダーの張り出しを強調したそうだ。

グレードによる差別化も積極的に行ったそうで、日本に導入される見込みのR.S.ラインは、フロントバンパーにメガーヌR.S.でもおなじみのF1タイプのエアインテークブレードを内蔵し、ホイールは赤いアクセントの入った専用デザインとした。



クーペなのに室内を犠牲にしない

クーペでありながらキャビンの広さにこだわったところにも触れていた。インパネは幅を広く感じさせるために水平基調とし、後席は前席の背もたれ裏をえぐることでレッグ・スペースを確保している。

このパッケージングは、1965年に発表されたミドルクラス・ハッチバックのパイオニア、ルノー16(セーズ)からインスピレーションを得たという。たしかにセーズもファストバックに近いスタイリングでありながら広いキャビンを実現していた。キャプチャーより長い2720mmのホイールベースも、セーズとほぼ同じという説明があった。



エルゴノミックに配慮し、スイッチは最小限に

インテリアもグレードごとの差別化は考えており、インパネはキャプチャーに近いものの、R.S.ラインでは助手席側にカーボン調パネルをあしらい、赤いラインを入れることでスポーティにした。細かいドットの入ったレザーとアルカンタラのコンビとしたシートもR.S.ライン独自の装備だ。

操作系については面白い考察があった。ドイツ車はスイッチを多めに用意するのに対し、ルノーは機能をまとめる傾向にある。ユーザーは数ある装備のうち1割程度しか使わないので、エルゴノミクスに配慮し、複数の機能をひとつのスイッチで兼ね備えたほうがいいという結論になったそうだ。



ダイレクトなステアリング・フィールを実現

乗り心地やハンドリングでは、ホイールベースを長くすることで前後のオーバーハングを短くしたうえで、サスペンションはクーペということでほかのルノー車より少し硬めとしており、ステアリングの反応もダイレクトにしたという。

200mmという最低地上高を感じない身のこなしに仕上がっているはずという言葉は、実際に試乗して納得したところでもある。ただしプラグイン・ハイブリッド仕様は電池容量が増えるのでボディが重くなり、ダイナミック性能がスポイルされるので、この面を重視する人はハイブリッド車がお勧めとのことだった。

フランスでアルカナはかなり人気で、最近は月毎の販売台数でプジョー3008を抜いてCセグメントのSUVのトップになることも多くなっている。ハイブリッドの比率も、当初は欧州全体で20〜25%と考えていたそうだが、蓋を開けてみると58%に達し、イタリアでは89%がハイブリッドという驚きの数字も教えてくれた。

ハイブリッド・システムについては専門のエンジニアに話を聞いているので、別の機会に紹介する。



文=森口将之

(ENGINE WEBオリジナル)

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